楽天グループにとってロイヤルティの高いユーザーにさらなるサービスを提供

楽天トラベル(株)

楽天トラベル(株)は、2007年1月23日から「楽天トラベル」において、厳選した一流ホテル・旅館のみの情報・予約を提供する新サービス「Platinum Collection ~for Celeblities~」をスタートした。「プラチナコレクション」には特別機能がいくつか用意されており、「プライベートコンシェルジェ」はそのひとつ。楽天グループにとってロイヤルティの高いユーザーにさらなるサービスを提供することを狙いとしている。

「プラチナコレクション」の特別機能のひとつとして「プライベートコンシェルジェ」を設置

 楽天トラベル(株)が運営する「楽天トラベル」は、現在、登録宿泊施設数で国内2万2,197軒、海外で1万8,299軒(2008年5月2日現在)、宿泊予約数で月間222万件(2008年4月末現在)の実績を持つ。そもそも同サイトは、楽天(株)のトラベル事業として2001年に開設されたもの。その後2002年8月には、楽天から同事業を「楽天トラベル(株)」として分社化。さらに2003年には、当時の競合サイトであった「旅の窓口」を運営するマイトリップ・ネット(株)の株式を日立造船(株)から323億円で買収。翌2004年に法人・サイトともに「楽天トラベル」に統合し、現在に至っている。
 国内旅行向けサービスでは、高級ホテル・旅館「プレミアム(現・ゴールドプレミアム)」(2004年7月開始)や「高速バス予約」(2005年11月開始)に加え、国内航空券+ホテル予約の「ANA楽パック」を2006年10月よりスタート。海外旅行向けサービスでは、「海外航空券予約」(2005年1月開始)や海外航空券+ホテル予約の「楽パック」(2006年2月開始)を提供するなど、国内最大級のインターネット総合旅行サービスに成長している。
 同社は、2007年1月23日から「楽天トラベル」において、厳選した一流ホテル・旅館のみの情報・予約を提供する新サービス「Platinum Collection ~for Celeblities~」(以下、プラチナコレクション)をスタート。これは、ここ数年、外資系高級ホテルの開業が東京を中心に続いている中、絶対的なクオリティを求めるユーザーに、“真の魅力”や“楽しみ方”を伝えることを狙った、同社の新しい宿泊予約サービスである。
 「プラチナコレクション」に掲載されている宿泊施設の宿泊予約に関しては、楽天会員ならば誰でも利用可能だが、同コーナーには特別機能がいくつか用意されており、これらに関しては「楽天プラチナ会員」や楽天KC(株)が運営する楽天カードの「楽天プレミアムカード」会員、および提携のクレジットカード会員など、限定されたユーザーのみに提供している。今回フォーカスした「プライベートコンシェルジェ」は、その特別機能のひとつ。2007年1月のスタート前後に、すべての楽天会員にメールマガジンで紹介したほか、楽天トラベルをはじめ、楽天市場や楽天オークション、インフォシークなど、楽天グループのほかのサイトにバナー広告を掲出し、認知度を高めていった。
 ちなみに、楽天プラチナ会員の資格は、楽天スーパーポイントを6カ月間で2,000ポイント以上獲得、かつ6カ月間で15回以上ポイントを獲得することで取得できる。100円につき1ポイントが付与される仕組みなので、単純に計算すると、6カ月間で20万円以上の購買実績のある、まさにロイヤル顧客といえるだろう。

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専用フォームから旅の相談をすると旅の専門家が対応

 「プライベートコンシェルジェ」は、「プラチナコレクション」の立ち上げと同時にスタートしたが、その狙いは楽天のロイヤル顧客、および「ダイナースクラブカード」や「シティカード」といったステイタスの高いクレジットカード会員に付加価値の高いサービスを提供することにある。従って、同サービスには売り上げ目標はなく、戦略顧客に対するサービスの一環と位置付けられている。
 同サービスの内容は、専用のフォームから旅にかかわる相談をすると、旅の専門家が適切なアドバイスをしてくれるというもの。例えば、「大切な人とゆったり過ごせる素敵なホテルを探している」「季節に合った思い出に残る旅のプランを教えてほしい」といった抽象的な質問でも構わない。また、お勧めのホテルや旅館の紹介、予約時の特別な注文など、自分専用の窓口として利用することが可能だ。
 利用する際には、楽天プラチナ会員の場合は、「プライベートコンシェルジェ」ページの入力ボックスに「ユーザーID」と「パスワード」を入力し、「送信」ボタンをクリックすると、専用フォームが開く仕組みになっている。また提携クレジットカード会員の場合は、入力ボックスに利用しているクレジットカード番号の最初から8ケタまでの数字を入力し、利用しているクレジットカードを選択、「送信」ボタンをクリックすると、専用フォームが開く仕組みだ。ちなみに、当初の狙い通り、楽天プラチナ会員による利用が一番多いという。
 また、「プライベートコンシェルジェ」サービスを担う旅の専門家については、人数などの詳細は公開していないものの、旅行業界での経験が豊富で全国各地の情報に精通しており、さらに情報感度が高い人材を起用しているとのことだ。

楽天

「プラチナコレクション」のサイト。「プラチナコレクション選考委員」により厳選された超一流ホテル・旅館のみをご紹介する宿泊予約サイト。特別機能のひとつとして、「プライベートコンシェルジェ」サービスを楽天グループの戦略顧客に提供している

電話などeメール以外の対応チャネルの導入も検討

 「プライベートコンシェルジェ」サービスの利用者からの実際の相談・問い合わせの内容としては、「旅行先に良いホテル・旅館などの宿泊施設がないか」「宿泊先の近くに遊べる場所はないか」「おいしい料理を出すお店はないか」といったお勧め情報がほとんどとのこと。
 ユーザーとのやり取りはeメールになるが、相談内容によっては、希望に沿った旅行プランなどを返信するだけで終了する場合もあれば、eメールによるやりとりの回数はケースバイケースで対応に当たっているという。また、ユーザーからeメールによる問い合わせが寄せられた際には、まずお礼メールを送信するとともに、一両日中には顧客にとって最適な情報を提供できるよう努めているという。
 「プライベートコンシェルジェ」サービスを開始して、約1年3カ月が過ぎたが、利用した顧客からのクレームは1件もなく、おおむね好評を得ている模様。
 現在、同サービスにおける対応チャネルはeメールに限定されているが、これまで以上に気軽に利用していただくためにも、今後は電話などeメール以外のチャネルを導入することを検討していく意向である。


月刊『アイ・エム・プレス』2008年6月号の記事