多彩なソーシャルメディアの活用による“ファミマ”ファンづくりに取り組む

(株)ファミリーマート

(株)ファミリーマートでは、2009年12月に運用を開始したTwitterを皮切りに、Facebook、Mobage、Gree、Ameba、Mixiなど多彩なメディアで公式アカウント/ページを運用。幅広い層のユーザーとのコミュニケーションを図り、“ファミマ”ファンの拡大につなげている。

多彩なソーシャルメディアを活用

 2011年7月末現在、1万8,574店(国内外エリアフランチャイズ含む)の店舗網を誇るコンビニエンスストア・チェーン大手、(株)ファミリーマート。同社ではTwitter、Facebook、Mobage、Gree、Ameba、Mixiなど多彩なソーシャルメディアで公式アカウント/ページを運営し、幅広い層のユーザーとのコミュニケーションを行うことで、“ファミマ” ファンの拡大を図っている。
 同社がTwitterのアカウントを取得し、ソーシャルメディア活用を開始したのは2009年12月のこと。当初はクリスマス・シーズンにおけるフライドチキンの期間限定プロモーションの一環として、イメージキャラクターの“ファミ吉”にツイートさせるかたちでスタートしたが、その反響が期待以上であったことから、継続的な活用に踏み切ることになった。さらに、その運用において一定の効果が確認されたことから、Twitterとはユーザー層が異なる他のソーシャルメディアの活用にも取り組むこととし、2011年5月にFacebook、Mobage、Gree、Amebaの活用を相次いで開始。さらに同年8月末にMixiページも開設し、現在の体制を整えている(Mobage、Gree、Amebaについてはモバイル専用)。
 なお、同社ではTwitter、Facebook、Mixiについては基本的には“大人”のユーザーが多いという認識から、あくまでも“企業”としての立場で情報発信を行っているのに対して、Mobage、Gree、Amebaでは若年層のユーザーが多いという認識から、社名・店舗名をもじった“家間3姉妹”というキャラクターを設定。Mobageでは“家間みどり”、Gree では“家間ましろ”、Amebaでは“家間あおい”がニュースレポーターを務めるというスタイルで、親近感の演出を図っている。

ソーシャルメディアの活用目的は情報発信および生活者の意見や感想の傾聴

 同社のソーシャルディア活用の最終的な狙いは、ユーザーとのコミュニケーションの活性化による“ファミマ”ファンの拡大であるが、その実現のための具体的な目的としては「商品・キャンペーンなどに関する情報の発信」と「生活者の意見や感想の傾聴」が挙げられている。
 前者については、従来からTVCMの放映やニュースリリースの配信などの施策を行っているが、同社をはじめ、コンビニエンスストア業界の店頭には毎週数多くの新商品が投入されており、TVCMだけではそのすべてをカバーすることはできない。また、ニュースリリースを配信したところで、必ずしもマスコミに取り上げられるわけではない。そこで、人的リソースにかかわる部分を除いてはさほどコストの掛からないソーシャルディアを活用し、ユーザーに直接情報を発信することでこれらの補完を図っているのだ。
 後者については、従来から「ファミリーマートお客様相談室」でWeb、電話による問い合わせを受け付けてきたが、これらの受動的なチャネルでは、顕在化した不満に対応することはできても、わざわざ企業に連絡するほどのことはないちょっとした不満や、同社の商品・取り組みに対するポジティブな意見・感想などを汲み上げることはできない。そこで、ソーシャルディア上に行き交う同社に関連する情報を“傾聴”することにより、従来は聞くことができなかった生活者の意見や感想を収集し、それを商品の企画・開発をはじめ、同社の事業全般に活用していこうとしているのである。

メディア特性やユーザー層によって表現を使い分ける

 同社でソーシャルメディア対応を担当しているのは、総合企画部マーケティング室のコミュニケーション戦略グループ。各メディア(アカウント)に1~数名の担当スタッフを配し、基本的には就業時間内に対応している。
 情報発信については、Twitter、Facebookでは1日当たり数件の投稿を実施。運用開始から間もないMixiについてもこれに準じていく考えである。一方、Mobage、Gree、Amebaについては前述の家間3姉妹によるニュース配信、日記、ブログという形態で1週間当たり数件の情報発信を行っている。発信内容は新商品・キャンペーンの告知や同社が展開するCSR活動の紹介などで、メディアによる大きな違いはない。しかし例えば、Facebookページでは比較的詳細な説明を行い、ビジュアルも多用している一方で、モバイル向けで若年層ユーザーが多いMobage、Gree、Amebaではカジュアルな口調で興味喚起を図るなど、メディア特性やユーザー層を意識して、表現の使い分けを行っている。
 傾聴についてはTwitterを中心に実施。ツールを導入して「ファミリーマート」「ファミマ」などのキーワードでの検索を実施し、関連する投稿をピックアップしている。対象件数は1日数万件にも及ぶとのことであり、現在の体制では公平な対応が難しいという判断からアクティブサポートは実施していないが、ピックアップされたツイートの内容を検証し、絞り込んで、必要に応じて社内各部署や、場合によってはフランチャイズ・チェーンの各店舗にも伝達している。特にキャンペーン展開時などには、反応をいち早く察知し、反響の大きさや内容に応じて機動的な対応を行うことで、キャンペーン効果の最大化につなげているとのことである。

ソーシャルメディアを具体的なプロモーションに活用する試みも展開

 同社のソーシャルメディア活用では、例えばTwitterでは3万1,000人を超えるフォロワー、Facebookでは6万1,000人を超えるファンを獲得して、彼らとの継続的なコミュニケーションを実現しているが、さらに同社では、ソーシャルメディアをプロモーションに活用する試みも展開している。例えばTwitterではもともと“おむすび”に関するツイートが多かったことから、2010年9月~11月に「みんなで作るおむすび選手権」を展開。おむすびのアイデアをTwitter上で募集。同社Webサイトで人気投票を行い、グランプリに選ばれたおむすびを商品化して全国発売するというスタイルで、3,500件を超える応募を獲得。実際に「明太チーズと青じそごはんおむすび」など3種類の“Twitterおむすび”を発売している。
 また、Facebookでは2011年6月、「Facebookチェックインクーポン」を利用した「あじわいFamima Café」のクーポン配信サービスを実施。対象となった東京都内のファミリーマート約1,450店のうち、約8割の店舗でクーポンが利用されるといった成果を上げている。
 なお同社では、日々進化・拡大するソーシャルメディアについて、人的リソースの問題からどこまで取り組みを拡大できるかは不透明としながらも、「取り組みを行わないことはチャンスロスにつながる」という認識を持っており、今後も基本的にはこれらの取り組みを継続・拡大していく方針である。

famima_now

3 万人以上のフォロワーがいるT w i t t e r の公式アカウント「@famima_now」

familymart

6万人以上のファンを持つFacebookページ。プロモーションへの活用も進んでいる


月刊『アイ・エム・プレス』2011年10月号の記事