人気キャラクターを使って双方向コミュニケーション

(株)湖池屋 

キャラクターに専用のEメール・アドレス

 (株)湖池屋は、1954年創業。1962年に日本ではじめてポテトチップスの量産化に成功して以来、ポテトチップスをはじめとするスナック菓子の分野で、息の長いヒット商品を数々生み出してきた。顧客に「おいしさ」と「楽しさ」を提供するという理念の下、長く愛される商品作りに力を注ぐ菓子メーカーである。
 同社は、1999年3月、顧客との双方向コミュニケーションを実現するために、スナック菓子「ポリンキー」の人気キャラクター、スリーポリンキーズを起用した「ポリンキーメール」を開始した。
 「ポリンキー」は、1989年に発売されたスナック菓子。現在、「バーベキュー」「あっさりコーン」「梅」の3つの味が販売されている。関東圏では最も売れているポテトチップス「のり塩」、「カラムーチョ」に続く同社の主力商品。発売当初から、ジャン、ポール、ベル(ベルモントから改名)の3人からなるスリーポリンキーズという名のオリジナル・キャラクターを採用し、CMで人気を博した。スリーポリンキーズは、友達同士3人が、劇場で踊りのアルバイトをしながら絵描きを目指すというキャラクター設定。

人気キャラクター、スリーポリンキーズ。左からジャン、ポール、ベルジャンのメールは、jean@polinky.comポールのメールは、paul@polinky.comベルのメールは、bell@polinky.com

人気キャラクター、スリーポリンキーズ。左からジャン、ポール、ベル
ジャンのメールは、jean@polinky.com
ポールのメールは、paul@polinky.com
ベルのメールは、bell@polinky.com

 この人気が高いスリーポリンキーズ・キャラクターそれぞれにメール・アドレスをもたせて、顧客とのEメールの交換を可能にしたのが「ポリンキーメール」。これにより、テレビCMなどでは不可能だった双方向コミュニケーションが実現したのである。
 「ポリンキーメール」のコンセプトは“お客様に喜んでいただくこと”。できるだけ多くの方に楽しんでいただきたいとの観点から、パソコンはもちろん、携帯電話等の携帯型端末からでもEメールが交換できる仕組みにした。
 メール・アドレスは、商品パッケージと同社ホームページで告知。アクセス数は着実に増加しつつある。スタート当初はパソコンからのアクセスが多かったが、8月現在では、パソコンからのアクセスが48.3%、携帯型端末からのアクセスが51.7%と、特に携帯型端末からのアクセスが増加している。
 顧客からのメールは同社企画室のスタッフが受け、対応に当たる。メールの内容は、日常の出来事について、悩みごと、キャラクターへの質問などが多い。がんばりやのジャン、ハンサムなポール、ちょっとドジなベルのそれぞれの性格に応じて、1通1通のメールに返信がされる。メールによるコミュニケーションは、当初、子どもを想定してはいたものの、特に年齢制限を設けていないこともあり、あらゆる年齢にわたっているものと想定される。それぞれのキャラクターに届くEメールの数は拮抗しており、「ポリンキーメール」をはじめたことで、スリーポリンキーズというグループとしてだけではなく、キャラクターそれぞれがファンをつかまえていることが判明した。
 そこで同社では、1999年7月12日からキャラクターひとりひとりをパッケージに印刷した、内容量29g、オープンプライスの「ポリンキージュニア」を全国発売。ジャンに「バーベキュー」、ポールに「あっさりコーン」、ベルに「梅」味を担当させ、スリーポリンキーズをソロで活動させている。

【図表1】ポリンキーメールの推移

商品のホームページを開設

 「ポリンキーメール」の開始と同時に立ち上げた「ポリンキー」商品のホームページでは、商品やスリーポリンキーズ、これまでのCMの紹介、キャラクター・グッズの通信販売などを実施している。「ポリンキー着メロ」や、8月には「ベルの絵描き歌」を作って掲載するなど、ホームページでもキャラクターを前面に打ち出して、「楽しさ」を演出しているのが特徴。
 同社にはもともと、お客様との最大の接点は“商品”であるという認識があった。そのためホームページも企業ではなく、商品ブランドを主役にして作成されている。いち早くホームページが開設された商品は、3年前に未来型食品を開発・製造するために設立された同社のグループ会社、フレンテ(株)が販売している「ピンキー」。「ピンキー」は若い女性層に人気のあるすっきり系のタブレット菓子である。1998年6月末に開設し、ほかでは買えない「ピンキーホルダー」などを通販しているほか、ピンキー川柳を募集したり、「フレンテスパイラル」の名称で登録顧客にメールで、ピンキーに関する情報を提供するなど、顧客との濃密なコミュニケーションを実現している。トップページへのアクセス数は、これまでの累計で20万件以上。ほかにも、新製品の発売を期に、1999年6月末に「カラムーチョ」のホームページを立ち上げている。

湖池屋のホームページは商品を中心に構成されいる。 URL:http://koikeya.co.jp/

湖池屋のホームページは商品を中心に構成されいる
URL:http://koikeya.co.jp/

 「ポリンキー」のホームページでの通信販売は、1999年7月にスタート。現在、ポリンキー・キャラクターをあしらったバッグと「ポリンキージュニア」を詰め合わせた「ポリンキー・バラエティセット」を販売。通販のスタートに当たっては、「少年ジャンプ」誌にも広告を掲載した。
 ホームページ上には商品への意見や感想を募る“ちょっと一言”のコーナーがあり、商品に関しての意見などはEメールよりも主にこちらで受け付けている。対応に当たっているのは、Eメール対応部署と同様。
 1999年8月現在、ホームページのトップページへのアクセス数は10万件を突破。8月だけでも、3万件を超えた。
 同社では、今後ますます「ポリンキーメール」を充実させ、より多くの人に気軽に参加して楽しんでもらえるようにしたい考え。そのために、たとえば、ホームページでの通販の品数を増やしたり、ゲームなども採り入れていく計画である。
 また、「ポリンキーメール」への携帯端末からのアクセスが多いことを踏まえて、8月から、「ピンキー」「ポリンキー」「カラムーチョ」のそれぞれに携帯専用のホームページ画面を設け、多くの顧客が楽しめる環境を整備した。
 「ポリンキーメール」やホームページの最大の狙いは、顧客に楽しさを提供すること。しかし、もちろん、ここから得られる情報は、商品の改良や開発に活かしていく方針である。
 CM、ホームページ、「ポリンキーメール」、プレゼントなどいろいろなアクセス・チャネルで、お客様に心から楽しんでいただければと同社では期待している。


月刊『アイ・エム・プレス』1999年10月号の記事