表参道を彩るイルミネーションと連動してケータイを駆使したプロモーションを展開

(株)エイチ・アイ・エス

旅行業界のベンチャーとして格安航空券などの革新的な商品を販売し、シェアを伸ばしてきた(株)エイチ・アイ・エス。現在、海外100拠点、国内275店舗のネットワークを誇っている。創設30周年を迎える今冬は、「表参道H.I.Sイルミネーション ベルシンフォニー」に協賛。1,000万人の通行人を対象にケータイを駆使した過去最大級のプロモーションを展開する。

格安航空券販売のパイオニア 総合旅行会社として成長

 「ツーリズムを通じて、世界の人々の見識を高め、国籍、人種、文化、宗教などを超え、世界平和・相互理解の促進に貢献する」という企業理念の下、海外や国内旅行の企画・販売・手配を行っている旅行会社(株)エイチ・アイ・エス。
 1980年にリーズナブルな海外航空券の販売からスタートした同社は、日本における海外旅行の敷居を下げると同時に、海外渡航者数の拡大に寄与してきた。2007年11月から2008年10月までの1年間では、航空券とパッケージツアーの販売を通じて、245万5,000人強の日本人を海外に送客、人数ベースでのシェアは15.0%を占め、国内でもトップクラスを誇っている。
 また、これに比例して同社における営業・サービス拠点も増加を続けている。2009年11月末現在、海外76都市に100拠点、国内では275店舗を展開し、全世界合わせたスタッフは約7,000人を数える。さらに、1996年からはウォーターマークホテルグループを国内外でオープンさせるなど、いまや総合旅行会社として確固たる地位を築いている。
 同社ではこれまで、テレビ・ラジオのCMや店頭のチラシなどで旅行商品を紹介していたが、ここ数年特に注力しているのが、ケータイとのクロスメディアによるプロモーションである。2001年にケータイ・サイトを開設したのと同時にメルマガ会員制度を発足。その会員数は12万人ほどで推移していた。特に会員を増やすような施策を採ってこなかったために、日々旅の情報を求め、また、実際に掘り出し物の情報が出た時すぐに応じられるような、身軽でコアな層を主な会員登録者としていた。

積極的なメルマガ会員獲得策が功を奏し1年半で3倍の登録者に

 ケータイ機器の進化や定額通信制の普及などにより、今やケータイはマスメディアに劣らない情報伝播能力を持つに至っている。そこで同社では、ケータイeメールをこれまでにないプッシュ型のツールと位置付け、2008年6月から積極的な会員獲得策に打って出た。
 具体的な施策としては、WebサイトやチラシにQRコードを表示するとともに、メルマガ会員には抽選による海外旅行のプレゼントがある旨の告知を行った。また、2009年秋には少しでも機器操作の煩わしさを減らすために、東日本地域の全店頭におサイフケータイ機能に対応したリーダ・ライターを設置、簡単に入力・会員登録を行える環境の整備に努めた。入力する項目は海外旅行の発着空港と興味のあるメルマガテーマ、性別と職業という最小限にとどめた。ここで選んだデータに基づきセグメントされたメルマガが配信される仕組みだ。その結果、過去7年間は12万人程度で推移していた会員数が、1年半で約37万人にまで増加。また、会員の属性にも変化が見られた。従来はいわば“旅のプロ”のような中高年の男性が多かったが、最近では20~30代の女性が大多数を占めているのだ。
 メルマガは基本的には週1回の配信で、その時期に展開しているキャンペーンの告知や、先行予約受付の告知など“お得感”が盛り込まれた内容となっている。特にケータイからの先行予約受付は好評で、いわゆる「安・近・短」と呼ばれるアジアやグァム便などは、ほとんど予定数を完売する状況となっている。また、週1回の定期eメールに載らないスポット的なメルマガも2週間に1回ぐらいの割合で不定期に配信されている。これは、例えば「明日出発パラオツアー、6席のみ3万9,800円」のようなもので、間違いなく完売する。このような場合、常に手元にあり、常に使える状態にあるケータイは、まさに“うってつけ”の情報伝達ツールとなっている。

表参道に復活したイルミネーションに合わせて大規模プロモーションを展開

 2009年12月1日、東京・表参道の街路樹を彩るイルミネーションが復活した。これは1991~1998年に開催されていたものの、環境問題などへの配慮から中断されていたイベントを復活させたもの。同社は会社創設30周年を記念して、今回の「表参道H.I.Sイルミネーション ベルシンフォニー」のスポンサーとなっている。このイベントは、中断前に使用していた豆電球をLEDに換え、また照明数も42万球から63万球に増やした大掛かりなものである。
 今回のイベントでは、同社史上最大のプロモーションが展開される。それは、2010年1月10日までの期間中、明治神宮への初詣も含めると1,000万人が見込める表参道の通行人を対象に、キャンペーンへの応募を呼び掛けるというもの。キャンペーンへの応募条件はないにもかかわらず、30組60人への海外旅行プレゼントをはじめデコメ100種類、電子コミック、占いなど、応募者全員に必ず何かが当たる大盤振る舞いの企画である。応募方法は、表参道と、近隣の協力店舗内に設置するリーダ・ライターからケータイを使ってeメールアドレスを入力するだけ。表参道には等間隔で約70台、近隣の協力店舗には約30台を設置した。また、イベント期間にはテレビCMの出稿と店頭SPも行っており、ケータイを中心に据えたクロスメディア・プロモーションの効果を見据える方針である。
 このプロモーションを企画するに当たって苦心した点は、1,000万人の通行人の中には、旅行に興味を持っていない人が多数含まれると予想されるため、特に旅行関連のものに限らないプレゼント品を用意しなければならなかったことで、その選考には頭を悩ませたとのことである。
 同社ではこのキャンペーンの応募者全員に、メルマガ会員への登録を呼び掛けるeメールを送付。50万人の新規会員獲得を目指している。また、さらに積極的な施策を推し進め、近いうちに100万人のメルマガ会員を集めたいとしている。
 今後の課題としては、まだまだケータイ・サイトのコンテンツが不十分であるとの認識から、さまざまなシーンで利用できるコンテンツを充実させることが挙げられる。同社では、ただ漠然と海外の情報を眺める段階から、具体的に旅の計画を練る段階、旅の出発直前の段階、旅の途中の段階、旅を終え振り返る段階まで。それぞれのシーンに合わせたコンテンツを自前で製作・提供することで、旅好きの人すべてが集える空間を創造していく意向である。

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11年ぶりに復活した東京・表参道のイルミネーション(上)/おサイフケータイをリーダ・ライターにかざすだけで応募完了(下)


月刊『アイ・エム・プレス』2010年1月号の記事