ケータイを生活メディアとする若年層をターゲットにコンタクトレンズのファースト・トライアルを喚起

チバビジョン(株)

チバビジョンは、2005年12月、目の潤いに着目した一日使い捨てコンタクトレンズ「デイリーズアクア」を発売した。本製品の発売に当たり、同社は、新学期を控えた中学生・高校生をターゲット層に、ブランディング強化を目的としたケータイのみのサイト「うる★コン HAPPYナビ」を開設した。

ファースト・トライアル・ユーザーの獲得を狙いキャンペーンサイトを設計

 コンタクトレンズおよびレンズケア商品を輸入・製造・販売するチバビジョンは、2005年12月、画期的な“潤い”の一日使い捨てコンタクトレンズ「デイリーズアクア」を発売した。
 コンタクトレンズは3月が需要期と言われている。新入学や新学期を迎えるのを機に、メガネからコンタクトレンズに切り替える層が多いのだ。そこで同社では、この商機に「デイリーズアクア」のユーザーを一気に拡大するべく、クローズド・キャンペーンの「お試しサポートキャンペーン」や「アクアでワクワクニューライフキャンペーン」を展開。同時に、コンタクトレンズを使用した経験のない中学・高校・大学生といった10代の若年層をターゲットに、ケータイを活用した「うる★コン HAPPYナビ」キャンペーンを展開した。
 コンタクトレンズ業界は競合大手のシェアが大きく、ブランドスイッチさせるのは容易なことではない。従って、コンタクトレンズの使用経験のない若年層へのアプローチは、同社にとって重要な意味をもつ。そこで同社では、「うる★コン」というキャンペーン名を冠することで、“潤い”という「デイリーズアクア」の付加価値をアピールすると同時に、若年層にとって生活メディアとなっているケータイの活用を決めたわけだ。
 キャンペーンの狙いは、あくまでも商品の認知とブランディング。コンタクトレンズはそもそも高度管理医療機器であることから、初回購入に当たっては、必ず眼科医師の診察を受けることが必要だ。このことは、プロモーションの告知からクロージングまでを一貫してコントロールすることができないなど、さまざまなマーケティング上の制約につながると言えるだろう。
 同社にとって、ケータイを活用したキャンペーンは今回が初めての試み。ケータイ・マーケティングというと、とかく店頭POPや紙媒体、テレビCMなどの従来の媒体とのメディアミックスの例が語られがちだが、同社ではあえて媒体をケータイに限定してキャンペーンを設計した。これには、ケータイ・マーケティングの本格展開に先駆けて、その有効性を検証するという側面もあるという。
 同キャンペーンは、同社のWebサイト上での告知以外では、ケータイ内の媒体メニューにある「yahoo!mobileとくするプレゼント」(3キャリア)、「とくするメニュー注目キャンペーン」(imode)、「とくする情報」(EZweb)、「とくする情報局」(vodafone)、「メッセージフリー」(imode)、「T-fashion」(3キャリア)などに週ごとに掲載して告知した。

15~19歳女性を意識した身近で好ましいイメージのコンテンツを企画

 「うる★コン HAPPYナビ」独自のサイトを構築するに当たっては、デイリーズアクアの商品パッケージの色に合わせて、ケータイサイトでもブルーの色合いを踏襲。色によるブランディングを図った。
 また、主なターゲット層である、15~19歳女性向けのコンテンツ作りに留意した。まず、「医薬品=硬い」というイメージを払拭し、身近で好ましいイメージにするため、彼女たちの周辺で話題となり得るメニューを揃えた。例えば、彼女たちが親近感や憧れを抱くような7人のナビゲーターのページを用意。ヘアメイク、メイクアップ、ネイルなどのアーチストや、モデル、占い師、スポーツ用品店店員など “カリスマナビゲーター”へのインタビュー記事を掲載している。本文を読んでいくと、最後にそれぞれのナビゲーターがお勧めする景品が当たる応募ページへ飛ぶ仕組みになっている。
 今回のキャンペーンでは、製品の認知が主目的であるため、これによる会員化は目的とはしていない。従って、応募時に入力する情報は、年齢・性別・eメールアドレス、eメール配信の許諾、メガネやコンタクトレンズの使用有無といった簡単なアンケートのみ。当選の発表は、キャンペーン終了直後の5月初旬を予定している。当選連絡は、応募時に登録されたメールアドレスに当選eメールを送信。eメール内URLをクリックしてプレゼント送付の宛て先を入力してもらい、登録完了としている。
 ほかにも、ケータイでは定番のお楽しみコンテンツとして、着メロ&着うたを先着1万名にプレゼント、ケータイを開けるたびに待ち受け画面の絵がかわる「うる★コン待ち受け」など、複数のフックを用意。着メロ&着うたの応募はサイト開設から11日間で1万名に達するなど、“引き”としての効果は十分だったようだ。

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今回のキャンペーン結果を基に今後の方針を検討

 取材時はキャンペーン半ばということもあり、アクセス結果の分析はこれから。なお、ケータイのアクセス数に関しては、ユニークユーザー数がとれないためアクセス総数のみのカウントとなっているという。
 メディアを絞り込んで訴求しているため、単に数字だけで見ればアクセスはそれほど多くはないが、いたずらにメディアに露出するよりも、媒体を絞り込んで興味のある層を誘導した今回の結果を、ひとつの指標と位置付ける意向のようだ。
 前述の通り、今回のキャンペーンは、同社にとって初めての試み。結果を見て、今後ケータイの活用をどのように継続していくか、その戦略的な使い方を検討していくという同社の取り組みに注目していきたい。


月刊『アイ・エム・プレス』2006年5月号の記事