グループ企業やパートナー企業と連携することで相乗効果を発揮

ムトウグループ

準大手通販として知られる(株)ムトウ。このムトウを中心としたムトウグループでは、これまで培ってきた通販情報システムの開発・運用ノウハウと、物流センターや決済サービスなどグループ会社の経営資源を有効活用した、通販トータル・ソリューション・サービスを提供している。

(株)ムトウの情報システム部門が母体となり(株)ミック設立へ

 「信頼される企業、奉仕の精神」を社是に、お客様から愛され、喜ばれる企業を目指す(株)ムトウ。創業以来、「安心・確実・信頼」を基本に培ってきた60年の歴史と経験を活かし、すべてのお客様がリアルに実感できる真の喜びを提供し続けている。
 現在、同社は、ブランド価値創造に向けて策定したブランドビジョン「FUN to FAN」(うれしい、楽しいをお客様へ)のもと、あらゆるニーズに柔軟に対応することはもちろん、うれしさや楽しさ、ワクワク感をプラスして、お客様に喜ばれ、愛される商品を提供していく意向だ。
 同社は、「ムトウグループ」として店舗や訪問販売、流通/物流管理、クレジット事業・個人融資事業、カード事業を担う関連企業と連携しながら、顧客のニーズに応えるサービスを展開している。
 こうした関連会社のひとつで、1986年に同社の情報システム部門が独立してスタートしたのが(株)ミックだ。親会社であるムトウとの提携により、ムトウが培った流通業務や情報システムのノウハウとその経験に加え、ミックが独自に培ったノウハウをもとに、ソフトの提供、業務・IT関連の受託からコンサルティングまで、幅広く事業展開している。
 会社設立当初は、富士通(株)と共同開発した汎用機用通信販売システムを大手通信販売企業向けに、ムトウグループが培ってきた通販ノウハウやソフトとともに、提供してきた。その後、バージョンアップを数回にわたり繰り返してきたが、バブル崩壊以降、汎用機のダウンサイジングが進み、1993年にパソコン用通販システム「スーパー通販」の開発・販売を開始。その後、1998年にパソコン用通販総合システム「通販シェルパクラブ」の開発・販売をスタートした。現在、同社のクライアント企業は、大手通販企業から中規模通販企業まで広がってきており、通販事業の立ち上げから通販システムの再構築まで手掛けている。
 さらに、「スーパー通販」の開発・販売をスタートした頃から、システム開発以外のビジネスを展開し始めた。それは、「ムトウさんでしたらコンビニ決済もやっているでしょうから、そのルートはなんとかなりませんか」「出荷が追い付かなくなってきたので、物流関係もやってもらえませんか」といった声が掛かるようになってきたのである。クライアント企業のほとんどが成長過程にあり、インフラ拡充への投資が必要であるにもかかわらず、ノウハウがないという問題を抱えていた。そこで、情報系のノウハウ提供に限らず、ムトウが長年培ってきた決済や出荷、受注のためのコンタクトセンターにかかわるサービス、および顧客開拓ルートとしてのカタログなどへの封入サービスのニーズに応えるため、1997年、グループの資産を集結し、通販代行ビジネスをスタート。2003年から、通販トータル・ソリューション・サービスとして「通販ワンストップサービス」を提供している。情報システムを核に、これと連携したかたちで、出荷や決済、コンタクトセンター業務を請け負っているのだ。

中規模企業から大手までにサービスを提供 クライアント数は250社以上に上る

 「通販ワンストップサービス」は、個別の業務をすべてミックで実施しているのではなく、同社ではシステム関連業務を中心に実施。コールセンターにおける受注業務や物流業務などは、ムトウグループ各社、もしくは各業務に長けたパートナー企業が実施するかたちを採用している。同社のサービスは、①システムサービス、②コンサルティングサービス、③マーケティングサービス、④業務代行サービス、⑤IT運用サービスの5つになる。サービス内容は次の通り。
 ①は、受注処理、出荷処理、顧客管理、返品処理、債権管理、在庫管理、発注仕入れ、各種紹介、マスタ管理、企画管理、個人情報保護のためのセキュリティ機能といった通販業務に必要な基本機能をフルサポートする「通販シェルパ・プラス」に加え、インターネット通販に対応するオンラインショップ構築システム「Webシェルパ」、eメール配信システム、さらには電子認証システム、分析システムを提供。
 ②は、クライアント企業に最適なITフルフィルメントシステムの設計と、最適な業務インフラの設計および通販ノウハウの提供を行うことで、売上利益の拡大と費用の最適化を実現。
 ③は、新規顧客獲得施策、固定化プロモーションなど、マーケティングプランの立案から検証評価サービスを提供。
 ④は、専任の通販コーディネーターが、通販事業の実態に応じてコンタクトサービス(受注代行)、物流サービス(出荷代行)、決済サービスをコントロール。⑤は、IT運用コストの削減、運用負担の軽減、スペースの有効活用などを目的に、運用調査・企画からシステム構築、システム・業務運用代行、メンテナンスを提供。
 同社には、「販促支援」→「顧客開発」→「データ分析」→「受注」→「出荷」→「債権管理」といった全体をコーディネートできるという強みがある。従って、同サービスは、ムトウグループが培ってきた通販を動かすためのノウハウ、動かした後のフォローのノウハウを活用しながら行っているのが一番のポイントだ。現在、同社のサービス提供企業数は250社以上に上る。その顔ぶれは、中規模企業から大企業まで多岐にわたるが、最近の傾向としては、大手消費財メーカーやネット通販専業企業が増えてきているという。

ムトウ図表

通販ワンストップサービスは、各サービスをトータルで提供するだけでなく、クライアント企業の希望に応じた個別提供も実施しており、クライアント企業の通販事業の成長段階に応じたフレキシブルな対応が可能だ

「安心していただける環境の提供」をモットーにセキュリティレベルの強化を推進

 同社では、今後の課題として「安心していただける環境の提供」をモットーに、セキュリティレベルの強化や、信頼できる運用基盤のさらなる整備に注力している。また、インターネット関連のサポートについては、販促だけではなく、コンテンツ作りまで含めた幅広い支援ができる体制を一層強化していく意向だ。かつては、すでに独自のオンラインショップを展開している企業に同社の「Webシェルパ」を提供しても、「通販ワンストップサービス」とのスムーズな連携が難しいケースもあったが、現在ではサービスを強化し、さまざまなケースに対応できるようになった。
 そのほか、決済サービスのさらなる充実も図っている。具体的には、従来からのコンビニ決済に加え、この10月25日からはクレジット決済の提供をスタートした。来年以降は、郵便振替、代金引き換えにも決済サービスのメニューを拡大していく意向だ。
 ムトウがこれまで培ってきた経営資源に加え、ミックが独自に蓄積してきたシステムやサービスノウハウが、通販トータル・ソリューション・サービスとして、これまで以上にパワーを発揮していくことだろう。


月刊『アイ・エム・プレス』2005年12月号の記事