顧客の要望に応えて段階的にシステムを拡張

ぴあ(株)

テレマーケティング部
部長
小熊 一実氏

電話をよりかかりやすくするために

編集部: 電話でチケット予約をするのは、いまや世の中の常識ですが…。
小熊: 情報誌『ぴあ』と連動した「チケットぴあ」がスタートした1984年には、それまでにない、まったく新しいサービスだったのです。原券と呼ばれるチケットそのものを、興行主やプレイガイドが個別に管理するのではなく、興行情報をデータとして我々が一括管理することで、お客様は手に入るかどうかわからないチケットを求めてプレイガイドを探し回る必要がなくなりました。誰もが、どこでも簡単にチケットを購入できるシステムを目指して、「チケットぴあ」ははじまったのです。
 『ぴあ』については関東版が週刊で各号40万部、関西版と中部版は隔週刊で各号それぞれ30万部、 18万部の発行です。
編集部: これまでどのような経緯で、どんなシステムを導入されてきましたか?
小熊: お客様のご要望に応えて、できるだけ予約の電話をつながりやすくするために、順次、回線数や設備を拡張してきました。
 スタート当初から使用している「03-5237-9999」の通常電話に加えて、特に人気が集中する興行のために「特電」を設置しています。また東京だけでなく、大阪、名古屋、福岡にもセンターを設置しました。「特電」以外であれば、全国どこのセンターでも予約ができるようにしています。
 また、クラシック、演劇、スポーツには、ジャンルごとの専用ダイヤルを設けました。
 これらはすべてオペレータによる受付窓口ですが、 1993年には音声自動応答装置による「Pコード予約」をスタートさせ、現在、東京と大阪で自動予約を行っています。予約件数の約60%が「P コード予約」によるものですが、近い将来にはこの比率を75%にまで高めたいと考えています。
編集部: この仕組みは?
小熊: 電話機のプッシュボタンで入力されたPコード(情報誌『ぴあ』に掲載)、公演目、席種、枚数をシステムが認識し、希望のチケットが用意できるかどうかを確認します。チケットがご用意できた場合は、さらに電話番号などを入力してもらい、こちらから予約番号を発行します。お客様はこの番号を持って「チケットぴあ」の店頭に行き、チケットを購入するという流れです。電話、音声自動応答装置、店頭のいずれの場合でも、チケット予約・発券はすべて当社の「NTS」というシステムが担っています。
編集部: 現在、使用している電話回線数は?
小熊: 「特電」の利用状況によって変動がありますが、最大で、東京が700回線(うちPコードが220回線)、大阪が400回線(うちPコードが130回線)、名古屋が250回線、福岡が150回線。受付時間帯はオペレータによるものが午前10時から午後6時まで、「Pコード予約」が午前10時から午後8時までです。

チケットぴあの発売システム

会員番号で顧客情報を管理

編集部: 顧客情報の管理は?
小熊: 「チケッ トぴあ」開設と同時に、先行予約などの特典が受けられる「PIAカード」というクレジットカードを発行していますが、この会員が現在、約39万人です。会員には入会の際に、住所や電話番号のほか、興味のある音楽やスポーツのジャンル、趣味などを登録してもらっています。それから会員は、好きなアーティストを登録しておくと、郵送でそのアーテイストの公演情報がいちはやく手に入る 「エントリーBOX」を利用することができます。会員データベースに蓄積されているこれらの登録内容をもとに、ダイレクトメールで個別に情報配信を行っています。
 また、会員以外の一般のお客様については、顧客データを蓄積して、次回からは住所などを再度入力する必要のないようにしています。
編集部: 9月 16 日から新しい「CAN DO!PIA CARD」の会員募集をはじめていらっしゃいますね。
小熊: これはクレジット機能を持たないIDカードです。10月7日創刊の『Can Do!ぴあ』や『ぴあ』で紹介されている店舗・施設で割引などの特典が受けられ、 500円の年会費でどなたでも会員になっていただくことができます。「PIAカード」会員も同じ特典を受けられます。このカードの導入を機に、特典のひとつとして、発売日の前に申し込みを受け付け抽選をして、当選した人はチケット予約成立となる 「オーダー登録制」というシステムを設けました。事前の受付期間中、お暇な時に電話をかけられる、新しいタイプのサービスです。
 10月7 日には当社のホームページが開設されたのですが、「PIAカード」会員の方で、「CLUB@ぴあ」という組織に登録された方は、ここからチケットの予約をすることもできます。いったん登録していただきますと 、ID 番号が発行され安全、確実にチケットが手に入る仕組みです。まず、 30~50の興行からスタートしますが、将来的にはチケットぴあで扱う全興行に対応できるようにしたいと考えています。
編集部: 10月から NTTの「ナンバー・ディスプレイ」がスタートしていますが、この活用については?
小熊: いくつかアイデアは持っていますが、今はまだ、秘密です(笑)。


月刊『アイ・エム・プレス』1997年11月号の記事