Twitterの活用でクチコミサイトの活性化を図る

ケンコーコム(株)

健康関連商品のインターネット通販を手掛けるケンコーコム(株)では、2008年8月から運用している健康関連情報クチコミサイト「ケンコミ」の活性化を目的にTwitterアカウントを運用。機動的な情報発信を行うとともに、同社関連のツイートに対するアクティブサポートにも取り組んでいる。

Twitterでの情報発信・コミュニケーションで投稿の促進を図る

 2000年5月から健康食品、医薬品、健康機器などの健康関連商品、14万点以上を取り揃えるECサイト「ケンコーコム」を運営するケンコーコム(株)。同社では2010年9月からTwitterを運用し、「ケンコミ」の活性化に役立てている。
 「ケンコミ」は、同社が2008年8月から運用している健康関連情報クチコミサイトだ。「ケンコーコム」で取り扱う商品(医薬品を除く)に関するレビューやクチコミの投稿が可能であり、さらに、ブログからのトラックバック方式によるレビュー投稿機能なども備えられていることから、より詳しい健康・美容情報を発信できる場として、一般ブロガーからの投稿も多い。オープン以来、寄せられた商品レビューやクチコミは、2011年5月に累計で10万件を突破しており、それらは「ケンコーコム」の各商品の売り場にも反映されるかたちとなっていることから、ユーザーが商品購入を検討する際の貴重な参考情報となっている。
 同社におけるTwitterの運用は、外部メディアで「ケンコミ」に関する情報を発信し、また、「ケンコミ」に関連するコミュニケーションを行うことで、投稿の促進など「ケンコミ」の活性化を図ることを目的とするものであり、アカウント名も企業名の「ケンコーコム」ではなく、「ケンコミ」(@kenkomi)として登録している。
 Twitter対応は、「ケンコミ」の運営も担当する同社リテール事業部マーケティング部のスタッフ1名で担当。基本的に就業時間内での対応となっている。
 現状、「ケンコミ」アカウントの告知については、「ケンコミ」会員向けに週1回プラスαの頻度で配信しているメールマガジンや、「ケンコーコム」のアフィリエイト会員向けに週1回配信しているメールマガジンなどで実施。コストを掛けずに、コミュニケーションを通じて緩やかに知名度を向上させることを狙っている。
 情報発信については特に頻度は定めていないが、「ケンコミ」で毎日実施しているレビューコンテストの当選者発表や、商品分野を定めて毎週実施している「心に響くレビューコンテスト」の告知と当選者発表、さらには、随時実施しているモニター募集企画やメーカー協賛によるリアル会場での商品紹介イベントの告知など、多彩な内容を随時、ツイートしている。
 ツイートに対する返信やRTなどについては随時チェックを行い、内容によって返信やダイレクトメッセージなどで対応を行っている。また、フォローに対しては、そのフォロワーのツイートの内容などを確認した上で“フォロー返し”をするケースもあり、これらを通じてTwitter上でのコミュニケーションの質と量の充実化を図っている。

同社に関連するツイートに対するアクティブサポートも実施

 さらに同社では、“ケンコーコム”などのキーワードでのTwitter検索を随時実施。同社に関連するツイートに対して、「ケンコミ」アカウントからの返信を行うアクティブサポートも実施している。ただし、特にネガティブな内容のツイートの場合は、返信することによってかえって“火に油を注ぐ”結果にもなりかねない。そこで、好意的なツイートに対して感謝の意を示したり、質問・問い合わせを含む内容のツイートに対して回答を行ったりするなど、建設的なコミュニケーションが成立しそうなツイートを選んで対応している状況である。
 Twitter上でのコミュニケーションにおいては、企業が運営するアカウントとして、あまりフランクになり過ぎないことを心掛けている。Twitterでは多くのユーザーがカジュアルな表現でツイートを行っており、ややもすれば、それにつられて“友だち感覚”の対応になりがちである。しかし、同社ではあくまでも企業アカウントとしての節度を保つことを意識しており、例えば、多くの企業が採用しているキャラクター設定などは行わず、書き込みも必ず敬語で行うかたちとしている。
 また、公平性を保つことにも留意している。「ケンコミ」には数多くの投稿を行う“ヘビーユーザー”も少なからず存在しており、それらのユーザー間でTwitterによる活発なコミュニケーションが形成されているケースもある。その中で、特定のユーザーのツイートに対応を行い、別のユーザーのツイートには対応しないというようなことがあれば不公平感につながり、「ケンコミ」への参加意欲を減退させてしまうことも考えられる。そこで同社では、特定のユーザーを“VIP待遇”してしまうようなことがないよう、十分に配慮しているという。
 なお、ソーシャルメディア・ポリシーについては、現状では確立・明文化されていないが、将来的には社内で明文化して共有できるように、現在、知見の蓄積を行っている途上にあるとのことだ。
 Twitter活用の効果については、2011年8月現在1,000人近くに及んでいるフォロワー数や、約1,400件に及んでいるフォロー数などを一応の定量的指標としているものの、Twitterのアカウントと「ケンコミ」のID連携が難しいことから、「ケンコミ」を活性化し、ひいては「ケンコーコム」の利用を促進するといった最終的な目的への貢献度については、具体的な検証が難しいと感じている。ただし、例えばフォロワーを通じてコミュニケーションの輪が広がり、「ケンコーコム」に関連するツイートが増加するような効果は発揮されつつあるため、今後も地道に運用を続けていくことで、効果の拡大を図っていきたい考えである。

1110C11

レビュー数が10万以上に上るクチコミサイト「ケンコミ」

1110C12

Twitterの公式アカウント「@kenkomi」

自社メディアと外部メディアの連携性を高めてコミュニケーションの充実化を図る

 「ケンコミ」では、前述の通り、累計の投稿数が10万件を突破しているが、取扱商品数は14万点以上に上り、また、新規取扱商品も随時追加されていることから、商品レビューやクチコミがひとつも付いていない商品も数多く存在する。こういった状況は、ユーザーが商品購入を検討する際の情報不足にもつながるとの認識から、同社ではなるべく多くの商品に商品レビューやクチコミが付くことを目指している。今後は、例えば“初レビュー”を推奨するキャンペーンなどを実施することも検討しており、それらの活性化にもTwitterを有効活用していく考えである。
 なお、同社では2011年3月、Facebookページも開設しており、商品やキャンペーンなどに関する情報を発信しているが、こちらについても現状では「ケンコーコム」や「ケンコミ」との連携が十分になされていない。そこで同社では今後、「ケンコーコム」「ケンコミ」などの自社メディアとTwitter、Facebookなどの外部メディアとの連携性を高めることにより、ユーザーとのコミュニケーションの質と量を充実させていく方針である。


月刊『アイ・エム・プレス』2011年10月号の記事