“共存共栄”を基本に販売店を「ウェイユー」で支援

カネボウ(株)

インターネット・カウンセリング化粧品「ウェイユー」

 化粧品、薬品、食品等の生活消費財を中心に、暮らしに関わるさまざまな分野の事業を展開しているカネボウ(株)。
 同社は2001年7月に発売したインターネット・カウンセリング化粧品「Weiyou(ウェイユー:以下ウェイユー)」の販売を軸としたウェイユー事業の積極的な展開に乗り出した。
 「ウェイユー」は、カネボウ漢方ヘルスケア研究所が長年培ってきた「漢方(中医学)理論」をベースに、西洋の「ビタミン」「ハーブ」療法を採り入れた「美療法」に基づき、顧客ひとりひとりにカスタマイズした商品を提供する、同社の総合力(化粧品事業、薬品事業、食品事業)を発揮して開発されたユニークなブランド。ウェブを通じて行う、ライフスタイルや肌の悩み、体調、心理面など61の項目に上る質問から、顧客の心身の状態を深く探る。そして、そのウェブ・カウンセリングの結果に基づいて、それぞれの顧客に合った化粧品やサプリメント等を約1週間で届ける「カスタム・オーダー」システムを採用している(図表1)。

10-2 図表1

「ウェイユー」で販売チャネルを支援

 「ウェイユー」の販売方法は、“インターネット・カウンセリング販売”。顧客個人のパソコンから同社の「ウェイユー・サイト」にアクセスし、前述のウェブ・カウンセリングを受けた上で、商品を注文する方法と、販売店等の店頭に設置したウェブ端末で、同様のカウンセリングを受けて、系列店経由で注文を行う方法がある。
 「ウェイユー・サイト」にアクセスする方法は基本的に同社からの直販。一方、販売店等の店頭に設置したウェブ端末からアクセスする方法では、既存の流通チャネルを経由することになるが、カウンセリングの手間がかからず、在庫のリスクもないところから、販売店への支援といった意味合いも大きい。
 同社の化粧品は、全国10カ所の販売会社、75カ所の支社を通じて、同社とチェーン契約を結んだ販売店に商品を卸す仕組み。外部の問屋を経由しないゆえに同社と販売店の結びつきが強いことが特徴だ。販売店との“共存共栄”が同社の基本姿勢であり、これまでも販売店に商品を卸す際は、「商品」だけでなく顧客へのカウンセリング実施の際に必要な「商品に関する情報」も一緒に提供してきた。
 ウェイユー事業も販売店との“共存共栄”を図るというこれまでの販売店支援の延長線上に位置するものであり、販売店の活性化をさらに強力に推進すると同時に、同社の高収益事業の柱のひとつになるものと期待されている。

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ウェイユー商品

ピンクの端末が集客装置としても威力を発揮

 販売店は店頭にウェブ端末を設置する際に導入費用として50万円を負担する。また「ウェイユー」には、ポイント制度が採用されており、購入額1,000円につき50ポイントが商品購入者に付与される。貯まったポイントは、1ポイントにつき1円換算で、ポイント相当の商品と交換できる仕組みだが、販売店で購入した場合には、付与ポイントが2倍になる特典を用意しており、これも販売店活性化の一環となっている。さらに、購入決定の段階では店員の介入が必要なものの、ウェブ端末でのカウンセリングは基本的に顧客ひとりで完結するので、店側はその間に他の顧客の相手をすることができ、より多くの販売の機会を得ることができる。
 また、ウェブ端末は顧客の目を引くように、「ウェイユー」のテーマカラーであるピンクに塗装されており、集客にも効果があると見られている。
 同社のその他の販売店支援としては、前述の顧客へのカウンセリング実施の際に必要な「商品に関する情報」の提供、ビューティー・カウンセラーの派遣、商品に関する月1回のセミナー開催などのほか、DMや店頭装飾物を、それぞれの商品プロモーションやシチュエーションごとに店側の必要に応じて提供していることなどが挙げられる。

「店頭のウェブ端末」

店頭のウェブ端末

新規顧客の開拓にも期待

 以上のように同社は、販売店の支援にかなり力を入れており、ウェイユー事業においてもその意味が大きいのは前述の通りであるが、販売店を経由しない“インターネット販売”にも新しい販売チャネルとして大いに期待しており、新規顧客の開拓に威力を発揮するものと予測している。
 「ウェイユー・サイト」への1日のアクセス数は、マス広告を打っていないにも関わらず、約8,000件とかなりの数に上り、ウェブ・カウンセリングを受けた顧客は8月現在で約1万人。実際に「ウェイユー」商品を購入した顧客からの評判は、ほとんどが好意的なものであるという。
 今後は、顧客の声をダイレクトに聞けるというインターネットの特性を活かし、「ウェイユー・サイト」をますます充実させ、さらなる顧客満足の向上を目指す。また、雑誌媒体や自社ホームページ、化粧品検索サイト等を通じてブランドの知名度アップを図るほか、購入者に商品情報を掲載したeメールを配信するなどして、「ウェイユー」への関心を喚起することで、販売店との“共存共栄”にもさらに力をいれていく考えだ。

ウェイユー・ホームページ

「ウェイユー・ホームページ」http://www.bell-shop.com/weiyou_index.html


月刊『アイ・エム・プレス』2001年10月号の記事