通信ネットワーク最前線(第42回)

NTT移動通信網(株)東京電話受付センター

東京23区内、および関東甲信越のお客様からの各種問い合わせ受付を行っている、NTT移動通信網(株)東京電話受付センター。その現状とお客様サービス向上施策について話を聞いた。

お客様サービス向上と販売支援を目指して

 NTT移動通信網(株)東京電話受付センターの開設は1992年6月。電話受付業務、およびコスト面における効率化を図ることを目的に、東京ムーバセンターとポケットベル受付センターを統合するかたちでの開設となった。
 その後、1998年12月にNTT中央パーソナル通信網(株)の営業譲渡にともない、PHSに関する電話受付業務を受け入れ。1999年5月より外国語案内サービスを開始。同年11月にはiモードに関する問い合わせの受け付けを開始し、現在に至る。
 東京都新宿区にある同センターでは、携帯・自動車電話、iモード、モバイルマルチメディア関連商品、PHS、ポケットベルに関するお客様からのオプション契約の申し込み・廃止受付、商品説明、ドコモショップの案内を実施。併せて、外国語での案内サービスも提供している。
 担当エリアは、携帯・自動車電話は東京23区内、PHS、およびポケットベルは関東甲信越、外国語案内は日本全国が対象。受付センターでは、顧客サービスの提供のみならず、担当エリアに属する各支店と緊密に連絡を取りあって情報の共有化を図ると同時に、ドコモショップの販売支援を推進するという役割も担っている。

お客様サービス向上のための施策

 東京電話受付センターでは、お客様サービス向上を目指してさまざまな取り組みを実施してきた。昨年1年間の取り組みは以下の通りとなっている。
 まず、1999年4月より午前9時から午後5時までだった受付時間を2時間延長。これにより、一層お客様サービスを向上させるとともに、午後7時までの営業が主流となっている東京23区内のドコモショップのバックアップが可能となった。同じく4月よりホームページ上での申し込み・廃止受付を開始。料金プランの変更、留守番電話やショートメールなどのネットワークサービスの注文、資料請求、請求書送付先の変更、その他問い合わせをホームページ上で受け付けることで、電話受付業務の負担を軽減するとともに、お客様がいつでも思い立ったときに手続きができるように、利便性の向上を図った。
 同年5月より外国語案内サービスの業務移管により、全国からの受付業務をスタート。同センター内で受け付けることにより、外国語案内専任のオペレータに新商品情報などの周知がタイムリーにできるようになり、外国語でのサービス・レベルを向上することができた。
 続いて6月より、コールセンターのサービスレベル向上施策の展開に着手。まず、同月からスタートした新サービス「いちねん割引サービス」専任グループを設置すると同時に、IVRのメニューに追加。これにより、新サービス提供時に増加するコール数にも対応できる体制を整えた。次に、オペレータの勤務シフトの見直しを図り、コールが多く寄せられる時間帯や新サービス開始時などでも充分な受付体制を整備した。また、電話を切った後の後処理業務にかかる時間を短縮するために、後処理業務の改善を図った。さらに、オペレータの増員、増回線を行い、対応の即時応答率を高めた。
 11月には独自に開発したCTIシステム「ALADIN-CTIシステム」を導入。問い合わせ履歴の確認や、受付内容の分析に活用している。

フリーダイヤルの付加サービスを利用して着信呼を制御

 東京電話受付センターでは、お客様からの問い合わせにはすべてフリーダイヤルで対応しており、iモードを含む携帯・自動車電話、PHS、ポケットベル、外国語案内等それぞれに専用のフリーダイヤル番号を設けている。フリーダイヤル番号の告知には、請求書、および請求書に同封しているコミュニケーション・ツール「ドコモ・ムーブメント」、カタログ、パンフレットのほか、新聞などのマス媒体を活用。フリーダイヤル番号は、全国共通の番号となっており、他の地域の受付センターでも利用しているため、フリーダイヤルの付加サービスのひとつである「全国共通番号サービス」を利用して、携帯・自動車電話、iモードに関する電話は23区内からのみ、PHS、およびポケットベルに関する電話は関東甲信越からのみ着信する仕組みを採用。これにより、効果的にお客様から最寄りのコールセンターで受け付けている。
 フリーダイヤル回線数は、携帯・自動車電話が130回線、PHSが35回線、ポケットベルが19回線、外国語案内が5回の合計189回線。受付時間帯は、月曜日から金曜日までの午前9時から午後7時まで、土日・祝日は休業となっている。受け付けに当たるのは、スーパーバイザーの役割を担うアドバイザー約20名とオペレータ約300名。
 受付時間終了後、および休業日にはIVRを活用して24時間受付を実施している。前述の通り、コールセンター・システムには独自に開発した顧客管理システムALADINとCTIシステムを統合した「ALADIN-CTIシステム」を導入している(図表1)。各オペレータには端末が2台ずつ用意されており、ひとつの端末で応対スクリプトを参照し、もうひとつの端末で顧客データベースを参照することができる。
 応対スクリプト画面は、画面両サイドに「新規申込」「住所変更」「ショップ案内」「各種注文受付」といった項目がボタン表示されており、お客様の用件に応じてボタンをクリックすれば必要な応対スクリプトが参照できる仕組み。
 また顧客データベースには、お客様の氏名、住所、電話番号といった基本情報のほか、契約内容などの利用状況や問い合わせ履歴などが構築されている。これらの情報を駆使することにより、オペレータはスピーディで的確な対応が実現できるわけだ。
 ALADIN-CTIシステムは、他のグループ会社にも順次導入される予定。全社的に情報の共有化を推進することが目的である。

【図表1】ALADIN-CTIシステム構成図

受付状況について

 2000年1月に、東京電話受付センターに寄せられた総コール数は約34万件。このうち約26万件が携帯・自動車電話、およびiモードに関する問い合わせと最も多く、以下PHSに関する問い合わせが約6万件、ポケットベルに関する問い合わせが約1万6,000件、外国語での対応が約4,000件となっている。さらに、この中でオペレータが対応に当たったコール数は、携帯・自動車電話が約12万6,000件、iモードが約1万7,000件、PHSが約3万4,000件、ポケットベルが約5,000件、外国語での対応が約4,000件となっている。
 ホームページ上での各種注文の受付件数は、1999年4月が約2,000件、7月が約5,000件、10月が約7,000件となっており、サービス開始以降、その認知度が高まるにしたがって、緩やかではあるが増加傾向にある(図表2)。2000年1月には、月間受付件数1万件を突破した。このうちの約50%が営業時間外である午後7時から翌日の午前9時までと、土日・祝日に受け付けられている。ホームページ上で各種注文を受け付けることにより、電話受付業務にかかる負担を軽減しているのである。

毎月の請求書に同封するかたちで送られる小冊子「ドコモ・ムーブメント」2000年1月号。各種フリーダイヤル番号やホームページのアドレスが分かりやすく明記されている 毎月の請求書に同封するかたちで送られる小冊子「ドコモ・ムーブメント」2000年1月号。各種フリーダイヤル番号やホームページのアドレスが分かりやすく記されている

毎月の請求書に同封するかたちで送られる小冊子「ドコモ・ムーブメント」2000年1月号。
各種フリーダイヤル番号やホームページのアドレスが分かりやすく明記されている

【図表2】ホームページへのアクセス件数、および各種注文受付件数

オペレータのレベルに合わせた効果的な研修を実施

 東京電話受付センターでは、充実したオペレータ研修を実施することにより、オペレーション・スキルの向上に注力。
 代表的な研修は、業務知識の向上を目的とした「新人オペレータ研修」と「フォローアップ研修」、および、お客様とのコミュニケーションを円滑に行うための話法を習得する「応対技法研修」の3つ。
 まず、新人オペレータを対象に行われる「新人オペレータ研修」では、サービス内容や商品知識、受付業務マニュアル、端末操作といった受付業務に必要な基本的な内容を習得。9日間の座学の後、8日間の電話受付業務全般の隣席指導を経て実際のオペレーションに入る。研修にはビデオを活用したり、自習項目を設けて効率的な研修を行っている。
 次に、一定期間経験を積んだオペレータを対象に行われる「フォローアップ研修」では、各種割引サービス、本人性確認、料金明細等について習得。主に閑散期を利用して、1項目につき1時間程度の研修を行っている。研修後はQ&A形式のテストを実施。その結果に基づき、必要に応じてアドバイザーが個別指導を実施している。
 最後に、外部講師を招いて実施される「応対技法研修」では、約2時間のスタート・ミーティングを行い、応対を自己チェック。自分の強みや弱みを認識する。その後、応対テープの収録を行い、それを基に応対分析シートを用いて 能力を判断。1名につき約30分の個人カウンセリングを行った後、応対能力別にコースを設け、集合研修を行っている。
 東京電話受付センターでは、(財)日本電信電話ユーザ協会主催による電話受付応対コンクール東京大会に出場するなどして、オペレータの研修の成果を賛え、モチベーションの向上に努めているという。

東京電話受付センターのオペレーション風景。センター内には、グリーンや加湿機を置き、奥には見晴らしの良い休憩室を設けるなど、オペレータの働く環境にも細心の注意を払っている

東京電話受付センターのオペレーション風景。センター内には、グリーンや加湿機を置き、奥には見晴らしの良い休憩室を設けるなど、オペレータの働く環境にも細心の注意を払っている

さらなるお客様サービス向上のために

今後も、東京電話受付センターでは、お客様サービスの向上を目指して、コールセンター・システムに新機能を追加したり、サービス内容を拡充させるなど、多面的な取り組みに着手する予定である。
 具体的には、2000年6月より、土日・休日の受け付けを開始する予定。オペレータが年中無休(年末年始を除く)で受け付けることにより、さらなるお客様サービスの向上とドコモショップの販売支援を強化していく意向。
 人材の面では、現在約20名のオペレータに1人の割合で配置しているアドバイザーを増員。よりきめ細かくオペレータを管理・指導していく体制を整えたいとしている。
 一方、システム面では、Voice Mail System(VMS・自動音声受付装置)による各種申込・廃止の受付を開始する予定となっている。
 また、これまで蓄積してきたお客様からの問い合わせ履歴を基に受付状況を分析、サービス内容や受付体制の改善に反映させていきたいとしている。


月刊『アイ・エム・プレス』2000年3月号の記事