ニーズごとに3種類のサポートを提供
シャープ(株)は、かつて日本のパソコン市場でN0.1のシェアを誇っていた時期があるものの、“民生用機器”に関しては、一時期半ば休止状態にあった。しかし、「Windows95」の日本での発売を目前に控えた1995年11月、パーソナル・ユースを狙ったノート型パソコン「メビウス」シリーズを市場に投入し、主に個人ユーザーをターゲットに、再びパソコン市場での巻き返しを図っていてる。
シャープ(株)のカスタマー・サポート・センターは現在、3種類、5カ所。購入前、購入後にかかわらず、同社の全製品のあらゆる相談を受け付ける、東日本、西日本のお客様相談室「コンシューマーセンター」、パソコン購入後の操作方法などについての質問に応じる、東日本、西日本の「メビウスユーザーサポートセンター」、そして、系列会社のシャープシステムサービス(株)が行う、各種サポートの依頼受付の窓口となる「シャープOAハートフルサポートサービス」である。いずれも受け付けは一般加入回線で行っている。
シャープ(株)の「コンシューマーセンター」
「コンシューマーセンター」の受付時間は、月~土曜日の午前10時から正午までと、午後1時から午後5時まで。窓口の電話番号は広告とカタログで告知している。
「コンシューマーセンター」は全製品・全対処を網羅するため、サポートに当たるスタッフは、全員、同社の社員である。OJTを中心にスタッフの教育を行い、新製品発売前には、集合研修を行っている。スタッフに求められているのは、パソコンに対する知識と応対態度。社内公募でスタッフを募ることもある。
土曜日も稼働する「メビウスユーザーサポートセンター」
操作方法の説明を行う代表的な窓口「メビウスユーザーサポートセンター」には、1日1,500件ほどの電話がかかってくる。受付時間は、月~土曜日の午前10時から正午までと、午後1時から午後5時まで。電話番号やサービス内容は、マニュアルに記載されている。
電話が混み合うのは、土曜日終日と月曜日の午前中、比較的つながりやすいのは、強いて言えば平日の午後3時台。現行の主力パソコンは全部で7機種あるが、そのうちの6つまでがパーソナル・ユースを睨んで開発されたものであり、やはり個人ユーザーが圧倒的に多い。このためシャープでは、土曜日にもセンターを稼働させ、ユーザーのニーズに応えている。
通話時間は平均して10~20分。利用者層、問い合わせ内容は千差万別で、特徴的な傾向を挙げることはできないという。
運営に当たるのは関連会社、SBCで、スタッフは同社の社員と派遣社員とで構成されている。
「メビウス」のユーザーが増えるにつれ、コール数もそれに比例して増加している。スタッフ数は公表されていないが、2年前に比べて約倍の数になったという。
カスタマーサポート窓口にかかってきた問い合わせの中で、受け付けたオペレーターが、“重要”と判断したものについては、随時データが蓄積される。このデータは該当部署にレポートとしてフィードバックされるほか、各オペレーターが端末から引き出し、回答例として活用している。また、同じ顧客から再び相談を受けた時に、このデータをもとにスムーズな会話がなされるわけだ。
カスタマー・サポートにもユーザーの声を生かす
同社では、製品ごとにモニターを組織しており、随時、製品についてのヒアリングを実施している。もちろんモニターはシャープのユーザーだけではない。「“お客様の声を商品に生かす”というのがわが社の基本姿勢。当然、パソコンに関しでも、これらモニターの意見を商品開発・改善に大いに役立てています」(東京広報室 副参事 赤木邦昭氏)。
同社ではこうして集めた声をもとに、「メビウス」シリーズ発売を機に「シャープOAハートフルサポートサービス」をスタートさせた。ユーザーの技術支援から、データ入力サービスまでの20のメニューからユーザーが希望のコースを選択し、サポートを受けることができるサービスだ。シャープ製品のユーザーであり、メニューごとに設定された料金を支払えば、個人でも企業でも利用できる。サービスエリアは、現在のところ首都圏と近畿圏に限られているが、コースの中にはシャープ主催の集合教室や、「お子様コース」「女性コース」などユーザーの希望に添った内容で教室を開催できるカスタマイズコースもあり、バラエティーに富んだサポート内容となっている。
「シャープOAハートフルサポートサービス」の問い合わせ・予約受付時間は、月~金曜日の午前10時から午後5時まで。電話番号やサービス内容は、マニュアルに記載している。運営に当たるのはシャープシステムサービス(株)で、スタッフは同社の社員と派遣社員とで構成されている。
一方、電話以外のカスタマーサポート窓口としては、FAXによる情報提供、インターネットのホームページが用意されている。ホームページには、電話窓口に数多く寄せられる問い合わせに対する回答が掲載されており、ここには1日平均30万件、新製品発売時には40万~50万件のヒット件数がある。また、対面窓口として、千葉県幕張市にあるハイテクノロジーホールをはじめ、全国4カ所(幕張のほかに東京・大阪・名古屋)にショールームが設置されており、こちらも多数のパーソナル・ユーザーの利用があるという。