独自のコーディング・ガイドラインに基づくサイトづくりでSEO対策を強化

保険マンモス(株)

2005年8月の創業以来、インターネットによる生命保険・医療保険のマッチング事業を展開してきた保険マンモス(株)。同社では、コンテンツを大幅に拡充するなどしてポータルサイト「保険マンモス」への集客を強化。多くの相談案件を獲得するとともに、高い顧客満足度を実現している。

インターネットによる生命・医療保険のマッチング事業のパイオニア

 2005年8月の創業以来、インターネットによる生命保険・医療保険のマッチング事業を展開する保険マンモス(株)。同社では、ポータルサイト「保険マンモス」への集客を事業の成否を左右する重要なミッションと位置付けており、さまざまな手法の組み合わせによって、集客の質と量の最適化を図っている。
 同社のビジネスモデルは、生命・医療保険に関する無料相談を希望する、保険商品購入の見込客をポータルサイト「保険マンモス」に集客して、申し込みフォームから希望の条件を入力してもらい、その情報を同社と提携しているファイナンシャル・プランナー(FP)に有料で紹介するというもの。提携FPは800名近くに及んでおり、全国各地の見込客に対応できる体制を整えている。
 同社のビジネスの根幹には、「人生で2番目に大きな買い物である生命保険で、お客さまが失敗しないように適切な相談相手(FP)をご紹介したい」という起業時からの理念がある。この理念は、「保険マンモス」のコンテンツのたゆまぬ充実化や、生命保険・金融サービス専門職のうちトップクラスのメンバーで構成されるMDRT登録者をはじめとする、質の高い提携FPを数多く抱えるなどのかたちで具現化されている。この結果、同社が2010年7月に行った満足度調査では、「保険マンモス」を通じた無料保険相談が保険の見直しに役立つと思った人の割合は約96%に及んでいた。また、提携FPへの見込客情報の販売数も月間2,000件前後に上っており、類似のビジネスを展開する後発企業の追随を許さない状況だ。

SEO対策を意識しながらコンテンツの内容とボリュームの拡充に注力

 同社が、「保険マンモス」への集客において最も力を入れているのが、コンテンツの内容とボリュームの拡充だ。従来からビジュアルを使った見やすくわかりやすいサイト設計を心掛けてきたが、さらに2010年6月にはサイトの全面リニューアルを実施し、その方向性の強化を図った。
 同社が「保険マンモス」を通じて提供しているのは、“生命・医療保険の無料相談”だ。そもそも保険はカタチが見えない商品であり、また、人間の根源的欲求に対応する商品ではないだけに、生活者が積極的に欲しがるものでもない。しかし社会人においては大多数が加入しており、「自分が入っている保険の内容を詳しく知りたい」「同じ保障ならば、できるだけ保険料を安くしたい」というニーズは、常に顕在化しているわけではないものの、確実に存在する。
 同社が「保険マンモス」のコンテンツづくりにおいて目指しているのは、このような潜在的なニーズを刺激し、さらに興味を感じた生活者の情報に対する欲求に丁寧に対応することで、最終的に保険無料相談の申し込みにつなげることだ。具体的には、わかりやすいキャッチコピーを用いたり、ビジュアルやマンガを効果的に組み込んだりすることなどで、その実現を図ってきた。
 2010年6月に実施したサイトの全面リニューアルは、このような従来からの取り組みをさらに強化すると同時に、一方でSEO対策を強く意識したものでもある。リニューアルに当たっては、コンサルティング会社の助言に基づいて独自のコーディング・ガイドラインを作成。従来からのコンテンツ約400ページのコーディングをこのガイドラインに沿って変更するとともに、新たなコンテンツ約600ページを追加し、質・量の両面で検索ポータルサイトでのヒット率向上を図った。このような取り組みの結果、「保険マンモス」の月間ユニークユーザー数は40万~80万人、月間PV数は100万~150万PVに及んでおり、さらに緩やかながらも着実に集客を拡大しつつある。

他社メディアとの提携を強化

 コンテンツ拡充以外の「保険マンモス」への集客を目的とする取り組みでは、例えば、マスコミ取材に積極的に協力するなどしてパブリシティ戦略にも力を入れているというが、中心となっているのは、インターネット上でのさまざまな施策である。
 まず、インターネット広告については、キーワード広告、バナー広告、アフィリエイト広告など、さまざまな形態での出稿を実施。いずれもPDCAサイクルに基づき、「小さく試して、大きく展開する」方針で対応を行っている。
 そのほか、近年注力しているのが、他社メディアとの提携強化である。
 例えば、「Yahoo! JAPAN」を運営するヤフー(株)との提携により、2009年8月から「Yahoo! JAPAN保険」のコンテンツとして、家族に関するいくつかの情報を入力することにより、約1,000の家族構成パターン分類の中から自分に合った保険をFPがアドバイスしてくれる「からだの保険診断」を提供。また、毎日新聞社のデジタル部門である(株)毎日新聞デジタルとの提携により、2009年10月から生命・医療保険ポータルサイト「毎日新聞デジタル保険ナビ」の共同運営を開始している。
 これらはいずれも「保険マンモス」の運営とは別個の事業として展開しており、リンクの設定といった「保険マンモス」との直接的な連携は図られていないが、「Yahoo! JAPAN保険」の「からだの保険診断」では監修者として同社代表取締役・古川徹氏のプロフィールを紹介。また、「毎日新聞デジタル保険ナビ」では共同運営企業として同社概要を紹介するなどして、同社の知名度向上を図るとともに、ヤフーや毎日新聞社のブランド力を生かして、同社や同社が運営する「保険マンモス」への信頼度のアップを図っている。

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「Yahoo! JAPAN保険」の「からだの保険診断」では、監修者として同社代表取締役・古川徹氏を紹介。「毎日新聞デジタル保険ナビ」では、共同運営企業として保険マンモスの名前が掲載されている

ソーシャルメディア対応にも着手

 ソーシャルメディアについては、例えば(株)ベネッセコーポレーションが運営する「ウィメンズパーク」などのクチコミサイトや、(株)オウケイウェイヴが運営する「OKWave」やヤフーの「Yahoo!知恵袋」などのQ&Aサイトで、「保険マンモス」を通じた無料保険相談に関するクチコミが相当数発生しており、「保険マンモス」への来訪のきっかけとなったケースも確認されている。今まで同社としては、ソーシャルメディアに関する積極的な取り組みはほとんど行ってこなかったが、2011年度には重点目標のひとつである“新技術導入”の一環として、スマートフォン対応などと並んでソーシャルメディア対応が挙げられており、すでに2011年7月にFacebookページを開設するなどの試みを開始している。
 また、インターネット以外のメディアへの対応については、これまでのところ、前述の通りパブリシティが中心であったが、将来的に財務力が強化された段階では、新聞・雑誌などの活字媒体やテレビ・ラジオなどの電波媒体での広告出稿なども手掛けていく意向。今後、可能な範囲でスポット出稿などを行っていくことで、本格的展開への準備を進めていく方針である。


月刊『アイ・エム・プレス』2011年11月号の記事