客観的指標を用いて英会話スキルの向上度合いを明確化

(株)7アクト

(株)7アクトでは、「ネイティブ講師の自宅やカフェで行うマンツーマンレッスン」「レッスン料の毎回払い」をコンセプトとする英会話スクール事業を展開。特に「コンプリート・プラン」では充実したカウンセリングにより、受講者の英会話スキルの確実な向上を強力にサポートしている。

従来の英会話スクールに対する不満の解消を目指して設立

 (株)7アクトは、(株)オリコンによる「オリコン顧客満足度ランキング」の英会話スクール部門において、2007年度から2010年度まで4年連続第一位を獲得している英会話スクールの運営企業である。
 同社の設立は2000年8月。数多くの英会話スクールの中では新進企業であると言える。浅い歴史しか持たない同社が、なぜ高い顧客満足を獲得できているのか。その要因は同社の成り立ちに求めることができる。
 そもそも、同社の設立のきっかけは、現在も代表取締役社長を務める創業者のトーマス理恵氏が、カナダへの留学からの帰国後、英語力を維持するための英会話スクールを探したところ、なかなか満足できるスクールが見つからなかったことにある。同氏は結局、大手英会話スクールに入学したが、不満が解消されなかったため、引き続きインターネットで英会話スクールに関する情報を収集した。
 すると、「英会話スクールについて語る」というコミュニティサイトに行き当たり、多くの人が「コースが先にあるのではなく、生徒一人ひとりに合わせたカリキュラムがあると良い」「生徒の声を反映して改善できるシステムがないとダメだ」「教室にお金を掛け過ぎている」「膨大な広告費が受講料を圧迫している」「グループレッスンではなくて1対1のマンツーマンレッスンが良い」といった意見を持っていることがわかった。
 そこで同氏は、「理想の英会話スクールがないのなら、自分たちで創ったほうが早い」と考え、早速、「生徒の手で作る理想の英会話スクール」というWebサイトを作り、設立の準備を開始。サイト上での議論などを元に、「ネイティブ講師の自宅やカフェで行うマンツーマンレッスン」「レッスン料の毎回払い」といったコンセプトを定め、2000年8月に(株)7アクトを設立して、英会話スクール事業をスタートした。
 つまり同社は、従来の英会話スクールに存在していたユーザーの不満を解消することを目指して設立された企業であり、その意味では高い顧客満足を獲得することこそが同社のミッションであるとも言える。
 なお、同社は現在、首都圏、関西、および名古屋で、レッスン中心の「シンプル・プラン」、カウンセリングを含む「コンプリート・プラン」などさまざまなプランのサービス提供を行っているが、いずれの場合でも無料体験レッスンの機会を設けており、納得した上で受講を決められるようになっている。

顧客満足の最大の源泉は“英語を話せる”ようになること

 しかし、同社が高い顧客満足を獲得している要因は前述のコンセプトだけにあるわけではない。同社では、最終的には受講者が“英語を話せる”ようになることこそが、顧客満足度の源泉であると考えており、その実現のためにさまざまな仕組みを提供しているのだ。
 例えば、同社では講師紹介料と入会料各3万1,500円、計6万3,000円で受講をスタートすることができ、週1回1時間のレッスンであれば、平均1万4,000円強で継続することができる。しかし、このようなレッスンを続けても受講者自身が勉強することなしに“英語が話せるように”なることは難しい。このような考えから、同社が提供している仕組みのひとつが「コンプリート・プラン」である。
 「コンプリート・プラン」では半年プランと1年プランを用意。いずれも設定期間内で目標とする英会話レベルを達成することを目指しているが、そのための英会話講師の紹介、オンラインによる学習情報の提供、講師変更希望時の再紹介、各種英会話イベントやセミナーへの招待、カウンセリング、電話カウンセリング、レッスンガイド、自宅学習カリキュラム、電話レベルチェックなどを組み合わせて提供している。
 同プランは、まず、電話によるスピーキングレベルのチェックからスタート。在日アメリカ大使館でも使われている英会話能力判定テスト「Versant」によって、受講者の文章構文力、語彙力、流ちょう性、発音、それぞれのレベルを客観的に数値化し、その結果に基づいて目標とする数値を定めて、カウンセリングを開始する。
 カウンセリングでは、経験豊かな英会話学習の専門カウンセラーが、受講者の疑問や質問に対応しながら、アドバイスを含めて詳しく説明し、安心して学習に集中できる環境づくりに努める。そして、レベルチェックの結果を基に、受講者それぞれの弱点と課題を特定し、これらを克服するためのムダのないカリキュラムを作成、目標を明確化して、それを達成するための最短距離のトレーニング方法・学習方法を提案。
 また、レッスンを“学習成果を試す場”と位置付け、レッスン中に解決できなかった疑問などについては、経験豊かな専属日本人アドバイザーが受講者一人ひとりをフォロー、効率的な学習をサポートしている。
 このような仕組みの中で真剣に取り組んだ受講者は確実に英会話レベルを向上させる。受講期間終了時に前出の「Versant」によって、自らの英会話レベルの向上度合いを客観的に確認することで、いかに“英語を話せる”ようになったかを実感でき、それが高い顧客満足につながっているというわけだ。
 なお、同社では独自の英会話教材などは提供しておらず、必要な教材に関しては市販のものの中で受講者に合ったものを推奨するようにしている。従来の英会話スクールでは、ともすれば高額な独自教材の購入が必要となる中、この点もコストパフォーマンスという面で、顧客満足度の向上につながっているようだ。

今後は受講者との直接コミュニケーションを増やす

 同社では現在、東京・新宿の東京スタジオ、および大阪・梅田の大阪オフィスにおいて、教室型のレッスン「サクセスコース」も提供しているが、それ以外のコースでは、レッスン場所はネイティブ講師の自宅やカフェであり、同社担当者によるカウンセリング時などを除いては、講師が直接コミュニケーションを担うこととなる。そのため、講師の人選には特に力を入れており、ほかの英会話スクールの講師経験者などから採用する場合でも、コミュニケーション能力の高い人材を厳選して採用。さらに受講者ごとのレッスン内容、コメントなどを記載したマンスリーレポートを提出してもらうことなどにより、担当コーディネーター、カウンセラーとの受講者情報の共有化を図っている。
 そのほか、受講者とのコミュニケーションとしては、月に2回メールマガジンを配信。英会話学習に関するお役立ち情報や、英会話における米・英の相違点などの関連情報を提供するほか、継続的な学習の効能などを訴求することで、積極的な受講意欲の喚起を図っている。
 さらに今後は、受講者との直接コミュニケーションの機会を増やすことも考えている。例えば、最近では大阪で、体験レッスン時に講師を紹介するコーディネーターを中心に、受講者が集まるミーティングを3カ月に1回程度開催しているが、受講者の評判が良ければ、このような試みを全国的に拡大していく考えである。

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カフェでのレッスン風景

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代表取締役社長を務める創業者のトーマス理恵氏


月刊『アイ・エム・プレス』2010年12月号の記事