カードの実稼動増加を図るとともに個店ごとの客層に合った品揃えを推進

(株)ローソン

「マチのほっとステーション」をモットーに掲げ、全国にコンビニエンスストア「ローソン」を展開する(株)ローソン。同社では、クレジット機能付き&機能なしのポイントカードを発行することで、カードを活用した販売促進を強化。また、カードの実稼動増加を図るとともに、個店ごとの客層に合った品揃えを推進していく意向だ。

クレジット機能付き&機能なしのポイントカードを発行

 「マチのほっとステーション」をモットーに掲げ、全国に8,564店(2007年2月末現在)のコンビニエンスストア「ローソン」を展開する(株)ローソン。同社では、これと併行し、美と健康をキーワードにした「ナチュラルローソン」、生鮮コンビニ「ローソンストア100」を展開。これら2業態で培ったノウハウや商品を「ローソン」と生鮮品を数多く扱う「ローソンプラス」に活用し、そのマチ(お店が立地する地域)に合った店作りを行っている。
 出生率低下に伴い、少子高齢化が進む日本の消費市場を考えると、コンビニエンスストア業界では、従来、コアの顧客層(20~30代の男性)ではなかった中高齢者層や女性層に向けた商品・サービスを提供し、顧客拡大に取り組むことの重要性が一層高まっている。こうした中で同社では、販売促進と顧客の情報収集を目的に、女性客の支持が高いポイントプログラムの取り組みを推進し、2002年8月から、(株)クレディセゾンと三菱商事(株)、同社の3社出資により設立された(株)ローソン・シーエス・カードを介してクレジット機能付きポイントカード「ローソンパス」を、2007年1月からはクレジット機能なしの同社独自のポイントカード「マイローソンポイント」を発行。2006年3月からは、JALグループと顧客サービスの向上と新規需要の創出を目的に業務提携し、「JMBローソンパスVISA」も発行している。
 現在、「ローソンパス」と「マイローソンポイント」の両カード会員を合わせると500万人以上を数えており、2008年2月末までに合計で600万人の会員数を目指している。同社では、カードを活用した販売促進の強化によって、カードの実稼動増加を図るとともに、個店ごとの客層に合った品揃えを推進していく意向だ。

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入会金/年会費無料で、クレジット機能付きの「ローソンパス」(左)とクレジット機能なしのポイントカード「マイローソンポイント」(右)の2種類のポイントカードを発行。2008年2月末までに会員数600万人を目指している

ポイントの有効期限は最長2年間 店舗での買い物や多彩な特典に利用可能

 「ローソンパス」には、ローソン以外のVISA加盟店でのクレジット決済ができる「ローソンパスVISA」(18歳以上)、ローソン限定でクレジット決済ができる「ローソンパス(ハウス)」(18歳以上)、クレジット機能のない「ローソンパスジュニア」(18歳未満)の3種類がある。カードは入会金・年会費無料。ポイントの有効期限は最長2年間で、ポイント取得日の翌々年1月31日まで利用可能である。
 「ローソンパス」の特典・機能は、ローソン店内の商品やサービスが会員だけの特別価格で購入できる(対象商品は随時入れ替わる)、ローソンチケットの先行予約サービスが受けられる、現金でもクレジットでもローソンでの購入金額100円につき1ポイント、レジで精算するごとに1ポイントが付与される、ローソン以外のVISA加盟店でのクレジット決済1,000円につき5ポイントが付与されるなど。貯まったポイントの交換方法としては、ローソンで利用できる買い物券・クーポン券と交換する「もれなくもらえるコース」、スキンケアやデジタルグッズ、10万円分のプリペイドカードなどが当たる抽選に応募できる「懸賞コース」、「50ポイント=1口」でバングラディッシュの学校運営支援や盲導犬の育成支援などの社会貢献ができる「環境社会貢献コース」がある。
 クレジット決済については「口座引き落しコース」と請求書を持ってローソンのレジで支払う「店頭払いコース」が選択でき、店頭払いを選択すると、銀行口座や印鑑がなくても入会できる。店頭払いはリボルビング方式で、予算に応じて返済計画を繰り上げることも可能だ。
 会員には、毎月利用料金明細書を送付する際に、特典情報などを同封。また、メールマガジン「ローソンパス便」(パソコン・ケータイ)も配信している。これにより、カードの実稼動増加を狙っているわけだ。

【図表1】ローソンパスとマイローソンポイントの特典・サービス一覧
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女性客やシニア層のカード会員が拡大中

 同社では、「ローソンパス」の会員獲得を進めるとともに、クレジットカードの保有に心理的抵抗感のあるお客様に向けて、2007年1月からポイントカード「マイローソンポイント」の全国展開を開始した。入会金・年会費は、「ローソンパス」と同様に永年無料で、ポイントは「ローソンパス」同様の条件で付与され、貯まったポイントは、ローソン店内のマルチメディア端末「Loppi(ロッピー)」で確認・利用できる。懸賞コースなら、10ポイントから希望の賞品にエントリーできるほか、「もれなくもらえるコース」では150ポイントから買い物券・クーポン券との交換が可能。ただし、ローソンチケットの先行予約は、「ローソンパス」のみのサービスとなる。また、「ローソンパス」に関しては、楽天(株)や(株)ネットマイルとのポイント交換もできる。
 「ローソンパス」と「マイローソンポイント」の会員属性は、男性が7割で、20~30代を中心とした若者が半数を占める。ただ最近では、「マイローソンポイント」の提供とともに、女性客やシニア層が増えつつある。こうした傾向は、数年前から、20~30代の男性をコア・ターゲットとした店作りを見直し、女性客や中高齢者層といった新たなターゲットに向けた商品開発を推進してきた同社にとっては嬉しい結果だ。
 月当たりのカード稼働率は公表していないが、「“死にカード”はほとんどない」とのこと。また、「懸賞コース」や「環境社会貢献コース」には、年間を通して数多くの会員からの応募や寄付が寄せられているという。
 同社ではこれまで、FC加盟店オーナーの経営判断資料として、個店ごとのマーケティング分析と経営分析から構成される「個店カルテ」の提供や、「ミステリーショッパー」を活用した品揃えの改善を進めてきたが、今後はこれらに加えて、ポイントカードで獲得した顧客情報を活用し、これまで以上に個店ごとの客層に合った品揃えを目指していく。
 また同社では、「マイローソンポイント」会員に対して、Webや店頭チラシなどを活用し、「ローソンパス」限定の特典やサービスを告知することで、「ローソンパス」への切り替えを促していく考えだ。
 さらに同社では、ポイントカード会員のますますの増大を図っていくために、レジ袋を辞退した人へのポイントの付与や、店舗のある地域の商店街やスーパーのポイントプログラムとの連携も検討していく意向だ。


月刊『アイ・エム・プレス』2008年3月号の記事