野球観戦における新たな楽しみ方を提供し東京ドームなどの球場への来場促進を図る

(株)読売巨人軍

(株)読売巨人軍では、これまで把握できていなかった来場者のプロフィールを把握するための試みとして、2007年シーズンからポイントプログラム「G-Po(ジーポ)」をスタートさせた。「G-Po」により野球観戦における新たな楽しみ方を提供することで、東京ドームなどの球場へのリピート来場の促進を図っている。

来場ポイントとゲームポイントを組み合わせたユニークなポイントプラグラムを展開

 プロ野球球団「読売ジャイアンツ」を運営する(株)読売巨人軍。同社では、2007年シーズンから、球場での野球観戦における新たな楽しみ方を提供するポイントプログラム「G-Po(ジーポ)」をスタートさせた。
 読売ジャイアンツは、日本のプロ野球を代表する人気球団。ジャイアンツ戦のチケットは入手困難であり、その主催ゲームは満席が当然という時代が長く続いていた。しかし昨今では、プロ野球全般の人気が低下傾向に陥ったことにより、ジャイアンツ戦といえども必ずしも満席にはならなくなり、実際、2005年シーズンと2006年シーズンを比較しても、観客動員数は減少傾向にあった。このような状況の中で、今後の観客動員策を検討すると同時に、実際に球場に足を運んでくれるファンを増やすため、これまで把握できていなかった来場者のプロフィールを把握するための試みとしてはじめられたのが「G-Po」である。プロ野球では、言うまでもなく試合自体が最大のコンテンツであるが、さらにその魅力を増し、リピート来場を促すコンテンツとして、ポイントプログラムを用意したのだ。
 2007年シーズンを通じて展開された「G-Po」の基本的な仕組みは、まず、入会金・年会費無料で会員を募集。会員が東京ドームで行われる読売ジャイアンツの主催ゲームに来場し、会員カードをカードリーダーにかざすと、平日20ポイント、日・祝日10ポイントの来場ポイントを付与。さらに来場した試合の内容によって、ジャイアンツ選手の「ヒット」1本につき1ポイント、「ホームラン」1本につき3ポイント、「盗塁成功」につき2ポイント、投手の「三振奪取」につき1ポイント、ジャイアンツの「得点」が入るたびに2ポイント、ジャイアンツが「勝利」した場合20ポイントといったゲームポイントを付与し、累積ポイントが最低200ポイントから最高1,500ポイントまで9段階に設定したポイント数に達すると、次回来場時にジャイアンツ選手をモチーフにしたピンバッジセット(3個)がプレゼントされるというもの(一部の商品については、シーズン終了後郵送)。さらに、シーズンを通じて各会員専用のWebページ「MY G-Po」で自分のポイントランキングを確認できるようにし、最終的な上位入賞者にはスタジアムジャンパー(1~10位)、ウインドブレーカー(11~20位)、ジャージ(21~100位)、エンブレムワッペン(101~200位)を贈呈。また、その時点において一定以上のポイントに達している会員のみを対象に、「スイートルームでの観戦」「バックネット裏席のペアチケット」「エキサイトシート」等が当たる抽選を実施するなど、会員のポイント獲得欲を刺激する試みも随時行った。
 会員とのコミュニケーションについては、月2~3回程度メールマガジンを配信。また、「MY G-Po」で獲得ポイント数や自分が来場した試合の勝率などを確認できる仕組みも作った。

「G-Po」会員における2007年シーズンの東京ドーム来場回数は平均5.9回

 会員の募集については、5万人を目標に、2007年3月のオープン戦時期から東京ドームで告知を行ったほか、「ジャイアンツファンクラブ」会員、(株)ジェーシービーとの提携クレジットカード「ジャイアンツプロ&キッズカード」会員、シーズンシートの購入者、背番号・名前入りのユニフォーム「I’m GIANTS」購入者など、合計約4万人を対象にダイレクトメールを送付した。
 最終的な会員数は、目標をやや下回る約4万7,500人。入会のきっかけとしては、シーズン当初はダイレクトメールによるものが多かったが、最終的にはWeb・モバイルでの入会や東京ドームでの告知によるものが上回ったとのことである。
 シーズンを通じた会員の来場回数は平均5.9回。1試合平均では5,000人前後が「G-Po」会員であった。ちなみに東京ドームは4万6,000人で満席となるので、10%以上を「G-Po」会員が占めたことになる。
 平均獲得ポイントは300ポイント前後となり、会員の約半数が最低200ポイントに設定されているピンバッジセット・プレゼントを受けた。ちなみにポイントランキング最上位者のポイントは6,000ポイント以上にも及んだとのことである。
 なお、属性別で最もよく来場したのは30~40代の男性会員であり、おおむね事前に予想していた通りであったが、「20代より、10代以下の会員の来場数が多い」「60代以上の会員の来場数も多い」など、新たな発見もあった。

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2008年シーズンからは無料の「エンジョイ・メンバー」に加えて、有料の「プライム・メンバー」、「ジュニア・メンバー」(写真)のカードを発行

2008年シーズンは有料会員制度も導入し15万人規模の会員組織に育成する計画

 2007年シーズンの「G-Po」会員からは、「負け試合でもジャイアンツの選手にヒットが出るとポイントが貯まるなど、楽しみが増えた」「通常なかなか購入できない席が抽選で当たるのは楽しみ」など、「G-Po」を好意的に評価する声が多く聞かれた。また、最後まで優勝争いに絡み、リーグ優勝したこともあるが、実際に観客動員数の減少にも歯止めが掛かったことから、同社では2008年シーズンも「G-Po」を継続実施することとした。
 内容については、大幅な変更を行った。まず、従来の「ジャイアンツファンクラブ」と合体し、名称を「ジャイアンツCLUB G-Po」に変更。無料の「エンジョイ・メンバー」に加え、有料の「プライム・メンバー」(中学生以上対象)、「ジュニア・メンバー」(小学生以下対象)を設けた。そして、有料会員については、入会記念にオリジナルグッズをプレゼントするほか、ジャイアンツ主催ゲーム毎試合200組400人の招待、主催公式戦チケット先行抽選販売、ファンフェスタ招待、年6回の会報誌送付などの特典を用意した。
 そのほか、来場ポイントについては平日と日・祝日の区別をなくし、ゲームポイントについては「ダブルプレー」も対象に加えた。また、各会員専用のWebページ「MY G-Po」、または東京ドームのチケット販売所での観戦チケット購入についてもポイントを付与することとした。2007年シーズンでは東京ドーム開催ゲームだけであった対象ゲームは、地方開催の主催公式戦にも拡大。さらに、累積ポイント数によるプレゼントがピンバッジセットだけではつまらないという声があったことから、オリジナルグッズや主催公式戦ペア招待券などを加え、バラエティーに富んだ内容にした。
 なお、「G-Po」ではその日の試合にどの会員が来場しているかをリアルタイムで把握することが可能であるが、この機能を利用して2007年シーズンから徐々に行っていたサービスを、2008年シーズンにはより強化していく意向だ。例えば18時半までに来場した会員から抽選で試合終了後のグラウンド上でのイベントの参加者を選んだり、来場した会員全員に特典付きの来場御礼メールを送ったりすることで、球場でのサービス向上につなげるプランがある。
 2008年シーズンの会員数目標は、無料会員5万人、有料会員3万人の計8万人。2007年シーズンの「G-Po」「ジャイアンツファンクラブ」会員に継続入会を促すほか、球場での告知を強化することで、これをクリアする考えだ。
 なお、2009年シーズン以降については、詳細は未定であるが、基本的には継続していく意向であり、有料会員を中心に15万人規模の会員組織にしていく方針である。


月刊『アイ・エム・プレス』2008年3月号の記事