109系の有名ブランドを揃えて若年世代の女性客の高い支持を集める

(株)モバコレ

(株)モバコレはハイティーンから20代前半の女性をターゲットにしたファッション系のショッピングサイトだ。親会社である(株)ディー・エヌ・エー(DeNA)が蓄積してきた集客力を武器に、独自のビジネスを展開している。

カタログ通販の老舗企業と提携し新会社とともに物販系のサイトをオープン

 携帯電話専用のファッション系ショッピングサイトの「モバコレ」。インターネットのオークションサイト「ビッダーズ」を運営する(株)ディー・エヌ・エー(DeNA)と、カタログ通販の老舗企業である(株)千趣会が共同出資し、2006年にサイト名と同じ(株)モバコレという合併会社を設立したことで誕生した。
 「DeNAではケータイでの物販を以前から計画していました。しかし、物販に対するノウハウがなかった。一方、千趣会は、560万人強の会員を擁するカタログ通販の老舗ですが、若年層を開拓したいという課題を持っていました。まさに相思相愛で誕生したのが“モバコレ”なのです」。同社代表取締役社長の林光洋氏は、設立の経緯をこう説明する。
 同サイトはハイティーンから20代前半の女性をメインターゲットとしたファッション系のショッピングサイト。主力商品は“109系”と言われるブランドだが、サイトをオープンした当初は、いかにこの層を集客するかが最大の課題だった。ケータイが必需品の世代だが、それだけに多くの情報が氾濫。新規のサイトへのアクセスをアップさせるには、それなりの仕掛けが必要だったのだ。
 「DeNAは、『モバオク』と『モバゲータウン(モバゲー)』という、ケータイサイトを運営しています。モバオクは会員数が94万人を超え、出品数は200万件強。モバゲーは会員数743万人、月間PV133億8,300万アクセスという実績を持っていました。しかも両サイトとも、10代、20代で会員構成の大半を占めている。これらのサイトからの顧客誘導を図ったのです」(林氏)
 現在、モバコレへの集客は、モバゲー経由が45%に達しているほか、キャリア3社の公式メニュー、モバオクなどのDeNA運営のケータイサイト、DeNAが提供する「ポケットアフィリエイト」を利用して集客を促進している。
 このほか、モバゲーで使用されている仮想通貨である「モバゴールド」を、モバコレで商品を買うと取得できるサービスを投入することにより、サイト開設後1年で課題としていたハイティーンから20代前半の若年層の集客に成功したという。

サイトの魅力を充実させるためモバコレ発のブランドを育成

 では、さらなる戦略とは何なのか。それは新しいブランドの掘り起こしだと林氏は断言する。
 「サイトオープン当初は、CECILMcBEEといった109系では有名なブランドを中心に品揃えをしていました。この路線は維持していきますが、今後は“モバコレ発”のブランドを育てていきたいと考えています。そこで、まだまだ無名だけれど、ポテンシャルの高いブランドなどとコラボするなど、ブランドの発掘と育成に取り組んでいきます」(林氏)
 一方、新規顧客への情報発信についても新たな試みをスタートさせた。先ほども触れたように、同社ではモバゲーを強力な顧客誘導チャネルとしている。このため、新着商品やイベントの告知に関しても、同サイトでの情報発信に頼ってきた。しかし、今後の成長を考えると、新たな情報チャネル開拓が不可欠である。そこで、10代後半~20代前半に人気が高いファッション雑誌とタイアップ。モバコレに関する4ページ程度の特集広告を出稿して読者へ訴求した。広告記事にはどの雑誌を見てアクセスしたのかが分かるように専用のURLが表示されている。そして、成約に至った場合、掲載雑誌に対して一定割合の金額を成功報酬として支払うことにしたのだ。
 「モバコレ」の中心ユーザーである若い女性は、とにかく流行に敏感だ。「今一番流行っているもの」はいわば常識で「これから人気が出るもの」に関して常に情報を集めている。そんな彼女たちの情報収集に必需品とも言える人気ファッション雑誌との提携は、確実にアクセス数のアップにつながっているという。

メールマガジンの配信によりリピーターを確実に確保

 ところで、同サイトは月間売り上げの6~7割をリピートユーザーが占めている。これは、ほかのケータイ通販サイトと比較しても、かなり高い数字だ。その最大の要因は魅力的な商品をラインアップしていることだが、乱立気味のケータイ通販サイトにおいては、それだけではリピーターを確保することは難しい。
 そこで、同社ではサイトの利用者に対して、同サイトの最新情報を満載したメールマガジン(メルマガ)を配信するという、プッシュ型の訴求でリピーター化を促している。発行頻度は基本的には週1回。その顧客に対して魅力的だろうと思われる情報が多い時には最大で週3回の配信を行っている。
 「特定のファッションブランドにこだわっているため、人気のある商品が多く、弊社のサイトでは“完売”が非常に多い。そこで、できる限り多くのお客様が、お気に入りのアイテムを購入できるように、“再入荷案内”をたびたび行います。その情報をメルマガで配信すると、レスポンスがいいんですよ。“濃いファン”がそれだけ多いということだと思います」(林氏)
 今後は、ライフスタイル別のファッション情報をユーザーが双方向で交換できるサービスも展開する予定だという。ケータイ通販のビジネスでは、ユーザー同士の口コミ喚起が大きな集客力につながるからだ。
 同社はeコマースで実績のあるDeNAのシステム構築やサイト運用と、カタログ通販最大手の千趣会の商品調達などのマーチャンダイジングや在庫管理、物流ノウハウという双方の強みを活用し、“ケータイオンリー”のケータイ通販企業として、さらなる成長を目指していく意向だ。

モバコレ mbdp

ケータイファッション通販サイト「モバコレ」。ハイティーンから20代前半の女性の高い支持を集めている(写真左)/モバゲータウン会員専用の総合ショッピングサイト「モバデパ」(写真右)


月刊『アイ・エム・プレス』2007年11月号の記事