代理店による店舗展開を推進 “顧客との継続的な関係づくり”に貢献

アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)

保険業界の営業スタイルは、これまでの“売り手主導型”から、顧客自らが能動的に必要な保障を選択する“顧客主導型”へと変化しつつある。アフラックでは、同社販売代理店が運営する来店型店舗「アフラックサービスショップ」の展開を他社に先駆けて推進。急速な拡大を見せる来店型店舗に対する、同社の各種支援策を取材した。

代理店による販売体制 本社営業組織はサポート機能

 アフラックは、主力商品であるがん保険や「EVER」をはじめとする医療保険などの第三分野商品の販売が好調に推移し、2005年度の個人保険・個人年金保険合計の新契約件数は対前年度比2.2%増の150万件に到達。生命保険業界で最多の保有契約件数を誇っている。がん保険および医療保険の新契約件数が3年連続No.1*に輝いたことを受け、「No.1ダック」を起用して放映されたTVCMは記憶に新しいところだ。
 同社は創業以来、独自の販売チャネルとして「アソシエイツ制度」と呼ばれる販売代理店制度を採用。2006年3月末現在、全国のアソシエイツ(販売代理店)の総数は1万8,363店(うち6割超が専業代理店)に及ぶ。このアソシエイツをサポートする営業体制として、同社では全国に支社とそれらを統括する「テリトリー」を設置。2007年1月現在では10テリトリー・100支社(浜松開設準備室を含む)体制で、顧客に最適な商品・サービスを提供できるよう、アソシエイツの育成、サポートなどを行っている。
 今回は、同社商品を専門に取り扱う、地域密着型のアソシエイツによる来店型店舗「アフラックサービスショップ」への支援策についてご紹介しよう。

顧客ニーズの変化に応えて急伸する来店型店舗

 保険業界では、ここ数年、店舗開設の動きが盛んだ。その背景には、医療費自己負担の増加やインターネットの普及などによって顧客の購買行動が変化したことがある。従来のように売り手主導型ではなく、自ら積極的に情報を収集した上で商品を選択したいというニーズを持つ顧客が増えてきたのだ。また、電話やインターネットなどを通じて、複数の保険会社から手軽に資料請求することが可能になったものの、一方では情報過多のために最終的な判断がつかず、結果として商品選択の際に専門家の意見を求めたいという顧客も少なくない。こうした顧客が気軽に相談できる場として、同社では1998年から他社に先駆け「アフラックブランド」を前面に打ち出した来店型店舗「アフラックサービスショップ」を展開している。
 同ショップの特徴は、日本で最多の契約件数を保有する強力な「アフラックブランド」の看板を、アソシエイツが掲げ、運営している点だ。
 現在、生命保険会社の商品を取り扱う来店型店舗は大きく分けて3種類ある。ひとつ目は、保険会社が自社のブランドを掲げて直接運営するいわゆる「直営店」。日本生命保険相互会社の「ライフプラザ」やアリコジャパン(日本支社)が首都圏で展開する「アリコいいなショップ」など数社が延べ約50店舗ほど展開している。2つ目が、複数の保険会社の商品を取り扱う乗合代理店が運営する店舗。大手保険代理店の(株)アドバンスクリエイトによる「保険市場」などがこれにあたり、このタイプは現在全国に約400店ほどといわれている。そして、3つ目が、販売代理店が特定の保険会社の統一看板を掲げて出店している店舗である。このタイプは、現在アフラックのみが展開しており、その数だけでも約600店舗に上る。また、来店型店舗を全都道府県に設置しているのもアフラックだけである。
 保有契約件数が業界最多であるため、必然的に契約者数も多い同社では、細やかな顧客対応をそれぞれの地域に根ざしたアソシエイツが行っている。アソシエイツの活動は営業が主体だが、既存顧客から保全や給付に関する相談を受けることがしばしばあった。同社では、こうした地域サービスのニーズをいち早くつかみ、大きな顧客基盤と強力な代理店網を有する「競争優位性」、顧客動向に迅速に対応する「先進性」、地域に密着しているアソシエイツへの顧客からの「信頼」とアフラックの「ブランド力」を武器に、サービスショップの展開を決めたのだ。1998年に1号店が誕生してから、2005年12月末には407店、2006年12月末では570店と急速に拡大。2008年3月末には800店に達するのではないかと予想している。

AIS(エステック外観)

アフラックサービスショップの外観。ひと目でわかるよう入口がガラス張りになっている。現在、全国で600店舗を数える

教育、出店、集客など経営全般を支援 質と量の両面から強力にサポート

 アフラックでは、「アフラックサービスショップ」における質の高いサービスの提供を目指して、サービスショップに特化したさまざまな支援策を拡充させている。今回は「教育支援」「出店支援」「集客支援」の3点を紹介する。
 まず、来店型店舗を開設するに当たり、アソシエイツは厳しい基準をクリアしなければ「アフラックサービスショップ」としての認定を受けることができない。その上で、認定を受けたアソシエイツに対して行う「教育支援」は、具体的かつ実践的な内容になっている。実際に来店型店舗で接客をしながら学ぶOJT研修や、顧客タイプ別の接客方法をパターン化した映像オリジナル教材を活用した研修を行っているほか、アソシエイツ支援システム「AANET」上にショップ専用のコンテンツを用意し、eラーニングによる研修・学習の場を提供している。
 また「出店支援」は、「入りやすいお店・分かりやすいお店づくり」を目指したものである。出店検討段階では、多角的データによる分析はもちろんのこと、これまでの成功・失敗事例から集積した経験値などをもとに助言を行っている。また、大型商業施設と連携を図り、個々の代理店では収集しにくい好立地物件情報を提供するなど、保険会社ならではの支援を行っている。さらに、店舗のオペレーション支援として、規格化された意匠(ブランド)に基づいた什器や看板を提供しているほか、店舗オリジナルグッズを作成するなど、アフラックのブランド力をアソシエイツも共有できる仕組みとしている。こうした出店支援は、コンビニエンスストアを展開している流通業界に学ぶところも多いという。
 「集客支援」においては、保険会社が主体となって各種集客プロモーションを担当することにより、見込客をサービスショップに誘導することを志向している。具体的には、アフラックがサービスショップの存在を認知してもらえるようTVCMで訴求したり、同社オフィシャルホームページで全国のサービスショップを紹介していることなどが挙げられる。このほかにも、たとえば結婚情報サイトなど、ターゲットがセグメントされている顧客層を狙い、結婚・出産・住宅購入などの大きなライフステージの変化をとらえた上で同ホームページへの誘導を図るなど、アフラックならではの各種支援を行っている。
 ショップ1号店が出店してからまもなく10年目を迎える。試行錯誤を繰り返してきた「経験値」を生かし、同社とアソシエイツとが“質”“量”ともにバランスよく成長するためのサポート体制をますます強化させていく方針だ。

* 2003~2005年版「インシュアランス生命保険統計号」による。


月刊『アイ・エム・プレス』2007年4月号の記事