「ショップジャパンクラブ」でCSを向上

(株)オークローンマーケティング

世界のテレビショッピング・リーダーと業務提携を結ぶことにより、海外の大ヒット商品を定期的かつ継続的に国内に紹介するシステムを構築している(株)オークローンマーケティング。同社は会員制カタログショッピング「ショップジャパンクラブ」を組織するなどして、顧客との関係を強化している。

グローバルアライアンスを締結

 1993年に名古屋で設立され、当時ほとんど知られていなかった米国製インフォマーシャルの概念を日本の市場に合わせて取り入れた(株)オークローンマーケティング。全国120局の地上波にはじまり、40近くのCS(衛星放送)局、北海道から沖縄まで全国各地のケーブルテレビ局などで番組を放送しており、今日では24時間365日、国内のどこかで、同社のテレビショッピング番組「ショップジャパン」が放映されている状況にある。
 同社は、世界のテレビショッピング・リーダーとのグローバルアライアンス(世界規模の業務提携)を結ぶことにより、アメリカ、イギリス、ドイツ、カナダ、メキシコなどをはじめとした世界各国の大ヒット商品を定期的かつ継続的に国内に紹介するシステムを構築している。マーチャンダイジングにはブランドマネジャー制を導入しており、各ブランド(商品)のマネジャーが担当商品の日本市場での商品化業務からブランド構築までを担っている。
 現在の同社の主力は以下の商品。小型ミシンの「ソーイングジニー」、大型洗浄機の「スチーム・バギー」、パワフルジューサー「パワージューサー」、小型の掃除機「ターボ・タイガー」。加えて数種のダイエット食品が挙げられる。
 同社の顧客の年齢層は全体的には若干高めであるという。これは、早朝の放送が多いためだ。しかし地方局などでは、日中の放送が多く、ここでの顧客は主に主婦である。2002年3月期の年商は98億7,000万円に上っている。

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「ショップジャパン」で紹介されている「スチーム・バギー」

「ショップジャパンクラブ」を組織

 同社は、受注・発信業務のために、自社で管理・運営するインハウスのコールセンターを擁している。同センターには400ブースを設けており、回線数は500を超える。このコールセンターのクオリティーを高く保ち、スムーズ、かつ親切な対応を実践することで、顧客満足度を向上させている。
 さらに既存顧客維持の施策として、同社は1997年に「ショップジャパン」で買い物をした顧客を対象とした会員制カタログショッピング「ショップジャパンクラブ」を開設。年会費は3,500円であり、2002年7月現在でおよそ13万名の会員を擁している。
 「ショップジャパンクラブ」に入会すると、会員には、希少性の高い商品を掲載した「メンバーズ・カタログ」が、年5回送付される。また、会員専用のフリーダイヤルが設けられており、ここに電話をかけて商品を注文すると、割り引き、クーポン送付といった特別なサービスを受けることができる。割引券の中には、3,000~5,000円相当のプレゼント券など、カタログで商品を購入する際に使用できるものや、同社が提携する全国展開の飲食チェーン店で使用できる割引券なども含まれている。
 「ショップジャパンクラブ」会員は1年ごとに会期を更新する必要があるが、3割強の会員は更新の手続きを行うという。会員の満足度の高さがうかがえよう。
 また、ダイエット食品などのリピート商品に関しては、なくなるころ合いを見計らい、購入者に向けたアウトバウンド・コールを実施しているほか、新規顧客からの注文を受けるファースト・コンタクトの際には、アップセル/クロスセルを積極的に行い顧客との関係の強化に努めている。

「商品力」を向上

 一方、新規顧客の獲得にも力を入れている。この点に関して同社は、とにかく「お客様にとって魅力的な映像をたくさん流す」ことが重要だとしている(事業部DRTVチーム チームリーダー 伊藤秀人氏)。
 また、テレビをあまり見ない人へのアプローチも、同様に重要である。同社は新聞、「ショップジャパンクラブ」会員以外に向けたカタログ、雑誌、DM、ラジオなどのメディアの活用にも意欲的で、テレビ以外でも「ショップジャパン」の存在をアピールしていきたい考えだ。
 これらに加え、2001年の夏からは、自社ホームページを通じたインターネット通販も開始。Realplayerなどを介して、テレビでおなじみの商品CMを、ストリーミングビデオで見ることができる。この利点は、商品の映像を何度でも繰り返し見られること。ブロードバンドの普及をにらんでの施策である。
 こちらはまだ、テレビ通販の売り上げには遠く及ばないものの、当初考えていたよりは、かなり好調に売り上げを伸ばしているということで、今後はインターネットを利用した動画配信による通販にも大きな期待を寄せている。
 テレビ通販の利用は“一度きり”で終わってしまうことも多い。同社においては、「ショップジャパンクラブ」会員以外の顧客との関係作りをいかに深めていくかが課題となっており、有効な方法を模索中である。
 しかし、「ショップジャパンクラブ」には入会しないが、複数回商品を購入する顧客も決して少なくはない。顧客を引き付けるものは、やはり「商品力」であり、これを高めていくことが何より大切であると同社は考えている。

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「メンバーズ・カタログ」

「ショップジャパン」を今以上に多くの人の目に

 「ショップジャパン」の特徴として、アメリカで制作された番組を、そのまま日本国内で流していることが挙げられる。
 これは、アメリカのテレビ通販の歴史が、日本のそれよりはるかに長いことを尊重してのことであるという。歴史が長いということは、当然、番組作りに関する経験が豊富で、顧客が楽しめる“つぼ”を押さえた番組制作がなされているということである。制作費用も日本円に換算して3,000万~6,000万円とかなり高額だ。
 同社でも、日本独自に制作した番組を何度か試験的に放映したことがあるが、多くの場合、反響はアメリカで制作されたものには及ばなかったという。当面は現在のスタイルを踏襲していく考えだ。
 しかし、中にはアメリカでは売れるが、日本ではそれほど売れない商品(大型エクササイズ商品、電子レンジ関連商品など)もあるという。これは、アメリカ人と日本人の考え方の違い、習慣の違いなどに起因していると考えられる。異文化圏のヒット商品を、どう国内向けにアレンジして販売していくかはひとつの課題である。
 他社同様、同社でも、テレビ通販の市場規模はさらに拡大すると期待しており、「ショップジャパン」を放映するテレビ局網をいかに拡張していくか、また、いかに今以上に多くの人の目に触れるゴールデンタイム枠にもっていくかも今後の課題。「ショップジャパン」をひとりでも多くの人が見られる環境を作りたいという。
 同社は既存顧客、新規顧客のそれぞれに対するさまざまな戦略を検討中である。さらなる飛躍に向けて、「ショップジャパン」ブランドの確立、信頼性の向上を図っていく意向だ。


月刊『アイ・エム・プレス』2002年9月号の記事