「Let’s talk about your Geteway」を合言葉に

日本ゲートウェイ2000(株) 

コンピュータを「受注生産」「通信販売」

 ゲートウェイ2000は、1985年、アメリカのアイオワ州スー・シティの牧場の片隅でスタートをきった。会社設立に当たって創立者のテッド・ウエイト氏が描いたビジョンは、「ユーザーひとりひとりに価値と満足を提供していきたい」というものだった。現在、同社は世界最大手のパソコン直販メーカーのひとつに数えられているが、そうした初心を常に持ち続けようという姿勢からだろう、同社の広告やパッケージにはスー・シティで飼われていた牛の模様が使われている。それは、パソコンという無機的な商品も、扱うのは人間という有機体だということを忘れないための旗印のようにも見える。
 日本ゲートウェイ2000(株)は1995年の設立。扱っている製品の基本仕様は現在20種類。実物を見たいというお客様のために、東京、大阪、名古屋に直営ショップを設けているが、主な販売チャネルは通信販売。パソコン関連の雑誌や新聞などに通販広告を出稿し、注文やカタログ請求を募っている。注文はフリーダイヤル、直営店、およびインターネットで受け付け、マレーシアにある工場で生産。でき上がった製品は日本での受け入れ検査を経た後、顧客の手もとに届けられる。
 “最新のテクノロジーと最高のパフォーマンス”を最速でユーザーのもとへ届ける仕組みが、多くのユーザーに支持されている。

“フレンドリー”な対応を実践

 カスタムメイドは顧客対応においても徹底されている。アフターサービスを担当するのは、同社のカスタマーサポート部。この中には、技術的な問い合わせや相談に応じるテクニカルサポートと、納期の問い合わせや苦情、意見、返品などに応じるカスタマーサービスがある。
 パソコンについて技術的なアドバイスを行うテクニカルサポートは、24時間年中無休。1日、千数百件におよぶ問い合わせには、総勢百数十人のスタッフがローテーションを組んで対応している。受付経路にはフリーダイヤルの電話のほか、FAX、E-mailなど、さまざまなメディアが活用されている。今年2月からは音声自動応答システムを導入し、定型的な問い合わせに対応できるようにした。ここで解決しなかった場合はスタッフにつながるようになっており、相談のポイントを絞り込むのにも役立っているとのこと。インターネットのホームページにも、頻繁に寄せられる問い合わせへの回答が掲載されている。

カタログの各ページにフリーダイヤル番号が記載されている

カタログの各ページにフリーダイヤル番号が記載されている

 また、今年4月に開始したE-mailによる相談は、「今すぐ聞きたい」という要望には応えられないものの、回答が顧客の手もとに残るというメリットがある。フリーダイヤルが使えない海外からの相談が多いのも特徴だ。また同社にとっては、相談内容を入力する手間なく、自動的に蓄積されるのが利点。この問い合わせには24時間以内に回答がなされている。
 スタート当初は電話が混雑し、「なかなかつながらない」というクレームも多かったが、多様なメディアを活用し、また、スタッフ数を拡充したことによって混雑は大きく緩和し、現在は話し中はほとんどないという。
 一方、カスタマーサービスは、平日の午前9時から午後6時までの受け付け。40人のスタッフがローテーションを組んで対応している。入ってきた顧客の声は、その都度セールス・マーケティング・ミーティングにあげられ、同時に営業、技術担当などの関連部署にフィードバックされる。
 同社の顧客対応のモットーは、“フレンドリー”。顧客との親しい関係づくりを目標としている。そのせいかスタッフの平均年齢は若い。「パソコンのように技術的な進歩が非常に速い製品を扱うには、新しい技術に興味があり、商品知識を得ることに積極的で、チャレンジ精神に富んでいることが要求されます。そうするとどうしても若いスタッフが多くなりますね」と同社カスタマーサポート ディレクターの任田良平氏は言う。

今年度中にCTIを導入

 出荷台数に対する問い合わせ件数は、興味深いことに、アメリカと比較して、日本はかなり少ないという。しかし、日本のパソコン利用者の裾野が広がるにつれ、同社の顧客に占める初心者の比率もだんだん増えており、これにともなって、今後は問い合わせ件数も増加すると予測できる。同社では今、そうした初心者のためのサポート体制の充実について、検討している最中だ。
 また、「アメリカの顧客はあれこれ自分でいじることに慣れていますが、日本では、商品を自分で触ることに抵抗を持つ人が多いようですね。それから、機能を損ねるわけではない小さな傷を非常に気にするというように、商品に対する考え方もアメリカとは随分異なります」と任田氏が言うように、文化の違いを踏まえ、日本独自の顧客対応のノウハウを蓄積することも必要とされている。
 同社では、今年度中にCTIを導入する予定。具体的には、IVR(Interactive Voice Response Unit)を用い、入口で用件をきり分けて最適なグループに電話をルーティングすると同時に、顧客に自ら顧客IDを入力してもらい、これをもとに顧客データとともにスタッフに電話を転送するといった活用方法を考えている。
 最新技術を駆使することにより、同社では対面販売以上に顧客に密着したサービスを提供し、顧客シェアを高めようとしているのである。


月刊『アイ・エム・プレス』1998年7月号の記事