サービス向上を第一に考えた人にやさしいシステム作り

第一生命保険相互会社

お客様電話センター
課長
十川 邦男氏

お客様電話センター
課長補佐
田中 清氏

顧客接点として重要性を増す“電話”

編集部: お客様電話センター設立の目的は?
十川: お客様からの各種問い合わせを一括して受け付けることで、支社の営業活動を側面からサポートすることが目的です。東京・田端にあるこの「東京サービスセンター」では、以前は東京23 区内在住の96万人を対象としていましたが、今年6月からは、東京都下、神奈川県、埼玉県、千葉県の一部にお住まいの約227万人のお客様を対象にサービスを提供しています。
 お客様の都合のいい時に、営業担当者に代わって必要な手続きをスピーディに行うコールセンターの役割は、年々増してきていると感じています。
編集部: 同じ今年6月に、 CTI を導入されたとうかがっておりますが?
十川: 以前と大きく変わった点は、 IVRの導入と、アウトバウンド・テレマーケティングを開始したことです。現時点では最も基礎となるシステムを整備したという段階で、真の意味でのシステム構築はまだまだこれからだと思っています。
編集部: 業務内容は?
十川: インバウンド業務については、控除証明書の再発行、契約内容の照会などの各種問い合わせの受け付け、および、その処理です。この6月から、入ってきた電話はまずIVRで受け、用件別に振り分けた上で、担当のオペレーション・グループに転送する体制を整えました。オペレータによる受け付けは平日の午前9時から午後5時までですが、控除証明書の再発行依頼と支店所在地や手続き方法の案内は、 IVRにより 365 日、 24時間体制で対応できるようになりました。現在、総アクセス件数の 10~15%がIVRによる自動受付ですが、控除証明書の再発行の申請は10月から年末までがピークとなりますから、この比率は年末にかけて高まるだろうと予測しています。コール数は月間に約3万件。インバウンド業務に当たるオペレータは約40人で、ほかに、書類送付や入力作業を行う後方支援スタッフが約 10人います。
 アウトバウンドについては、これまでアウトソーシングしていた業務をインハウス化したというかたちです。契約をいただいて間もないお客様に、契約のお礼かたがた電話をかけて銀行口座からの引き落とし期日をお知らせしたり、前月に残高不足で引き落としができなかったお客様にその旨をお知らせするのが主な業務です。こちらは常時 13 人のオペレータが、月~土曜日の午前9時から午後8時まで、月間約3万件の発信を行っています。
編集部: 契約者データベースとの連動は?
十川: 証券番号を入力することによって、契約内容などのお客様情報が画面に表れる仕組みになっています。スクリプトなどを表示して応対をサポートする画面と、この契約者情報の画面は、簡単な操作で切り替えができます。
 対話内容はオペレータがワークシートに記入し、これをもとに後方支援スタッフが入力を行います。近い将来には、これをオンラインにし、リアルタイムで情報更新ができるようにしたいと考えています。

第一生命「東京サービスセンター」のシステムフロー

お客様に望まれるシステム作りを

編集部: お客様の反応はいかがですか?
田中: たとえばIVRは、導入する企業が増えてはいるというものの、まだまだ世情先行のシステムです。やはり、機械が電話を受けることに抵抗を感じるお客様はいらっしゃいます。お客様に違和感を与えたり、戸惑いを感じさせないように、一層PRに力を入れていく必要があると考えています。
十川: システム構築に当たっては、サービス向上を第一に考えなくてはなりません。まず何より、お客様にご迷惑をおかけしない安定したシステムを作り上げることが重要だと思います。
 来年には大阪、名古屋のセンターに東京サービスセンターと同様のシステムを導入する予定です。これを基盤にして、お客様のご要望をうかがいながら、より使い勝手の良いシステムへとレベルアップを図っていきたいと思います。


月刊『アイ・エム・プレス』1997年11月号の記事