お客様サイドに立って必要な機能を選択

全日本空輸(株)

営業本部 営業推進部
部長代理(顧客販促担当)
幸重 孝典氏

250万人の会員をがっちりサポート!

編集部: 4 月に 「 ANA マイレージクラブ」がスタ ート しましたが、現在の会員数は?
幸重: 旧「Program A」と「ANAカード」会員、合わせて65万人でスタートした「ANA マイレージクラブ」ですが、 9月末時点で会員数は186万人。 98年3月までに250万人の会員獲得が目標です。
編集部: 「ANA マイレージクラブ・サービスセンター」の業務内容は?
幸重: 入会方法、積算マイル数の照会、マイル数に応じた特典利用の申し込み、マイル数の追加登録など、入会希望者や会員からの問い合わせに、フリーダイヤルで対応しています。現在、40回線を使い、 100人のオペレータがシフト制で業務に当たっています。
 会員数の増加にともなって増加するコールに、 最少の人員で、しかも品質の高い対応をするために、このセンターに7月、 CTIを導入しました。
編集部: どのようなシステムですか?
幸重: お客様からの電話は、まずれIVRが受け、会員の場合には会員番号をうかがいます。またお客様はここで、IVRでの自動対応か、オペレータによる対応かを選択することができます。オペレータへ会員情報とともに電話が転送されますので、すぐにお客様のご希望の手続きに入ることができます。
 オペレータによる対応は平日の午前9時30分から午後5時まで。IVRは365 日24時間、受け付けが可能です。
編集部: 1 日の平均コール数は?
幸重: 会員専用ダイヤルでは、平日が約3,000~4,000件、土・日曜日は平日の約3分の1といったところです。総コール数の約30%が、IVRによる自動受付で処理されています。
 広告などに記載する入会案内窓口の「キャンペーン・ ダイヤル」は別の番号になっており、こちらには平均して 1 日500件以上のコールがあります。
 同じシステムでインターネットのホームページからの入会申込書の請求も受け付けています。こちらには1 日平均、100件前後の請求があります。
編集部: CTI導入の効果をどのように評価されていらっしゃいますか?
幸重: スタ ートから8月にかけて会員数が約3倍に増加したのに対応し、段階的に人員を拡充してきましたが、それ以降は大幅な補充の必要なく、応対の品質を維持できています。これはCTIの効果にほかならないと思います。

お客様の要望に合ったメニューを開発

編集部: 目的別に電話番号を分けていらっしゃるのですね?
幸重: 会員専用ダイヤル、「キャンペーン・ダイヤル」のほかに、「ANAカード」会員の専用ダイヤルがあります。このほか、多頻度利用顧客のための窓口を来年4月に本格スタートする予定です。
 入口をひとつにして、 CTI を活用して電話を振り分けることは十分可能なのですが、そうするとガイダンスが長くなり、お客様に入力していただく項目の数も多くなります。お客様にとっては、ほしい情報までなかなか行き着かないということになりますので、入口はある程度、分けておいたほうがいいと考えています。 CTIであれもこれも…と欲張るのではなく、お客様サイドに立った判断が必要だと思います。
編集部: 今後のご計画は?
幸重: 器ができ、システムが揃いましたので、今後はこれに魂を吹き込んでいく段階です。受付件数や効率は大幅にアップしましたから、次はオペレータの教育・訓練などに力を入れて、応対品質を今以上に上げていきたいと思います。IVRの音声ガイダンスの内容にも、改善の余地があるでしょう。定型的な問い合わせはどんどんIVRにシフトしていって、オペレータはより高度なスキルを要求される業務に専念したほうがいいのかもしれません。
 それから重要なのは、メニュー建てですね。お客様がどのようなメニューを望んでいるのかをリサーチして、中身を充実させていきたいと考えています。

「ANAマイレージクラブ」サービスセンターのCTIシステム


月刊『アイ・エム・プレス』1997年11月号の記事