アパレル産業の流通改革を展望する新システムを開発

セーレン(株)

 福井県福井市に本社を置くセーレン(株)は、繊維製品プロダクト・パイプラインの“川中”に 置する染色・加工業。1889 年に創業した同社は、1971 年には世界初の染色カラーマッチングシステムを開発するなど早くから業務のコンピュータ化に積極的に取り組んできたが、1988 年、コンピュータ技術をフル活用することによって製品企画・製作・販売までを一貫して行うシステム、VISCOTEC’S(ビスコテックス:ビジュアル+コミュニケーション+テクノロジーから命名)を自社開発。従来方式では得られないデザイン表現力を生かしてビジネスを拡大するとともに、繊維産業各社に対して新しいビジネスのあり方を提案している。
 新システム開発の目的は、「21 世紀に生き残る企業となるため、の一言に尽きる」(取締役 北川修一氏)という。約 20 年前まで、同社では繊維メーカー、または繊維商社から受託して、輸出のための衣料用生地の染色・加工を行っていた。しかし近代的な染色技術が世界各国に広まるにつれ、輸出用生地の需要が減少していったばかりか、逆に安価な輸入品が国内に出回るようになった。現在、綿製品の約 80%、かつてはわが国の“十八番”であった合成繊維についてさえ、約 40%が輸入ものである。
 そこで同社は路線を“内需化”に切り替え、価格より品質で勝負する高付加価値商品の開発を押し進めるとともに、カーインテリアなど、衣料品以外の取り扱いを増やすことで売り上げを拡大してきた。が、バブル崩壊後の数年は、自動車の国内生産の減少にともなって、年商は減少を余儀なくされていた。
 1996 年度から同社の年商を再び上昇に導いた原動力となったのが前述の VISCOTEC’S である。現在、同社の年商約 600 億円のうち、VISCOTEC’S によるものが約 100 億円にまで拡大している。
 VISCOTEC’S を活用した製品企画・製造・販売の流れは図の通り。テキスタイル・デザイナーが VISCOTEC’SデザインCADでデザインした生地と、ファッション・デザイナーが一般のアパレル CAD でデザインしたパターンを、通信ネットワークを通じて VISCOTEC’S アパレル CAD の画面上でドッキング。 3D でデザインを確認しながら、柄の大きさ、位置などを調整し直した上で、各パターンごとに決められた通りの柄をのせる。これを VISCOTEC’S CAM で生産データに変換。布地の必要な部分にだけ染色をほどこし、自動裁断した後に縫製すれば、完成品のでき上がりだ。
 アパレル・メーカーはあらかじめ 3D の画面で確認して微調整し、これで間違いないと思われるものだけを試作すれば良いので、企画段階にかかる時間がこれまでの 3 カ月から 1 カ月に短縮できる。

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月刊『アイ・エム・プレス』1997年6月号の記事