日本最大規模の会員組織をベースに“安心”と“プラスアルファ”を提供

(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモ

(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモでは、日本最大規模の会員組織「ドコモプレミアクラブ」を軸に、さまざまな顧客サポート施策を展開。特に、お客さまが携帯電話機を利用する上での“安心”を提供する「ケータイ補償 お届けサービス」は、有償でありながら3,000万人以上の加入者を獲得している。

日本最大規模の会員組織「ドコモプレミアクラブ」

 1992年7月の営業開始以来、日本の移動体通信市場をリードし続ける(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモ(以下、NTTドコモ)。同社では、2004年4月に従来の「クラブドコモ」を継承するかたちで発足した「ドコモプレミアクラブ」を軸に、さまざまな顧客サポート施策を展開している。
 ドコモプレミアクラブは、NTTドコモの携帯電話ユーザーを対象とした「ポイントサービス」「優待サービス」「安心サポート」の3つの柱で運営されている会員組織である。1つ目のポイント付与の仕組みは以下の2つの要素で構成されている。

①ステージポイント(SP)
 ステージを決めるステージポイント(SP)。前年1月から12月までの携帯電話利用金額に対して、100円(税別)を1SPに換算するかたちでSPが貯まる。

②ドコモポイント
 利用期間および年間の累計SPによって、「1stステージ」から「プレミアステージ」までの4段階のいずれかにステージが決定。ステージごとに設定された付与率によりドコモポイントが付与され、貯まったポイントは、NTTドコモ商品購入代金に充当したり、デジタルコンテンツや「グルメカタログ」「ホテル宿泊券」などの商品と交換することができる。

 ドコモプレミアクラブでは、ポイントプログラム以外にも、飲食・カラオケ店チェーン、シネマコンプレックス、百貨店などとの提携により、それらの店舗で使用できる優待クーポンの発行などを行っており、これらも日常的に利用できる特典として会員から好評を博している。
 なお、ドコモプレミアクラブでは、2010年10月から、獲得したポイントの有効期間を、従来に比べて1年1カ月延長し、獲得年度末から3年2カ月、最長50カ月とした。一方で、2011年4月からポイントの付与率を引き下げた。これは近年の携帯電話の販売方法の変更などにより、機種交換サイクルが長期化したことに対応するなど、お客さまの利用状況の変化に応じた見直しを行ったものである。

会員メリットの訴求を目指してポイント利用範囲を拡大

 ドコモプレミアクラブは入会金・年会費無料であり、NTTドコモの携帯電話ユーザーであれば、簡単な手続きで誰でも入会することができる。従って、大半のドコモの携帯電話ユーザーが入会するに至っており、2011年1月末現在では、同社携帯電話ユーザーの約90%の5,100万人を超える会員が存在している。5,100万人を超える会員を擁する会員組織は日本国内でも稀有の存在と言えるだろう。
 ただし、その入会障壁の低さゆえに、自らがドコモプレミアクラブ会員であることを特別には意識していない会員も少なくないようだ。実際に、携帯電話の機種変更時などに、販売店側からの指摘によってはじめて自分が持っているドコモポイントに気付き、商品購入代金の一部に充当するようなケースも少なくないようである。そこで同社では、例えば2010年12月から、各種アプリや音楽、ケータイ小説など、iモードでダウンロードできるコンテンツを集めた「ドコモマーケット」のコンテンツをドコモポイントと交換できるようにするなど、ドコモプレミアクラブ会員としてのメリットを日常的に感じられるように、利用範囲の拡大に取り組んでいる。

携帯電話機に関するあらゆるトラブルを補償する「ケータイ補償 お届けサービス」

 ポイントプログラムや提携企業の優待クーポンの発行は、いわばドコモの携帯電話ユーザーにプラスアルファのメリットを提供するサポート施策であるが、一方で同社は、お客さまがドコモを安心して継続的に利用してもらうためのサポートも数多く提供している。その代表的な存在が、ドコモプレミアクラブ会員を対象に提供している「ケータイ補償 お届けサービス」である。
 このサービスの内容は、事前の申し込みにより、水ぬれや紛失、全損、盗難、破損、故障など、携帯電話機に関するあらゆるトラブルを補償するというもの。しかもトラブル時の来店は不要。「ケータイ補償 お届けサービスセンター」への電話連絡のみで、一部の例外を除き1~2日以内に自宅やオフィスなど指定の場所に交換電話機(リフレッシュ品=顧客から回収した電話機に故障修理、外側カバーの新品交換、品質確認を行った上で、新品同様の状態に初期化した電話機)が届けられる。携帯電話機購入から14日以内の申し込みで加入でき、1年間に2回まで利用可能だ。
 サービス利用料金は機種により月額294円、または399円に設定されており(2011年2月以前の加入分は一律月額315円)、また、サービス利用時には5,250円(2回目は8,400円)の「お客さまご負担金」が必要となる有償のサービスであるが、携帯電話が日常生活に必須のツールとして定着し、また、携帯電話機が高額化傾向にあることなどから、サービス利用者は年々拡大しており、2011年3月現在で、ドコモプレミアクラブ会員の6割超に当たる約3,100万人が加入している。同社によれば、2006年のMNP開始以降に一般化した携帯電話キャリアの変更は、携帯電話機に何らかのトラブルが生じた時に行われる場合が多い。実際にケータイ補償 お届けサービス加入者は非加入者と比較して解約率が低い傾向が見られることから、このサービスは同社にとって、顧客満足度を向上しつつ、解約抑止を図る施策として有効に機能していると言える。
 なお、通信サービスの継続利用をサポートするためのサービスとしては、他にも電話帳データ、画像データ、メールデータなどのバックアップを行う「ケータイデータお預かりサービス」がある。これもやはり有償(月額105円)でありながら、徐々に利用者を拡大している模様である。

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多様なサービスを分かりやすく説明した「ドコモプレミアクラブガイドブック」。ドコモショップや取扱店で配布するほか、ホームページからダウンロードもできる

ケータイ補償 お届けサービスではスマートフォン普及への対応が課題

 今後については、ドコモプレミアクラブ全体では会員により一層メリットを享受してもらうことを目指し、店頭、eメールなどあらゆる経路で訴求を図り、特にモバイル、PCの双方に用意している会員向けサイトへの誘引を強化していく。また、特にケータイ補償お届けサービスに関しては、スマートフォン市場の拡大やお客さまニーズに即したサービスの提供・拡充が重要であると考えており、なるべく早い段階での対応を図っていく。また、1回線の契約で複数の電話機を利用するといったように、利用シーンの多様化が進んでいることから、それらの状況の把握と、新しいニーズへの対応にも努めていく意向である。


月刊『アイ・エム・プレス』2011年4月号の記事