(株)イオンフォレストは、英国の化粧品ブランド、ザ・ボディショップ社の日本国内における販売を手掛け、全国に178店舗を展開。同社では3週間ごとのプロモーション告知に紙DMを活用するほか、パーソナライズしたバースデーカードを上位顧客に送付している。
店頭誘致のプロモーションに紙DMを活用
イオングループの専門店事業のひとつである(株)イオンフォレストは、英国の化粧品ブランド、ザ・ボディショップ社の日本国内における販売を統括するヘッド・フランチャイジーとして、1990年に1号店をオープン。2009年4月現在では、全国に178店舗を展開している。2006年からはオンライン販売にも本格参入し、2007年度には118億円の総売上高を計上した。
同社の取扱商品は、天然原料をベースに古来からの知識を生かしたスキンケアをはじめ、ボディケア、メイクアップ、フレグランス、ヘアケア、メンズライン、マッサージグッズなど。日本においても女性からの高い支持と共感を獲得、中でもボディクリームは、マンゴー、パパイヤ、ココナッツ、イチゴ、ブルーベリーなど、フルーツの香りを楽しめるコレクションとして人気を博している。
今回フォーカスする紙DMは、同社のCRM部が担当しているもので、ザ・ボディショップへの来店促進を目的にしている。ザ・ボディショップの取扱商品には定番商品が多いため、3~4週間ごとに季節に合わせたテーマのプロモーションを展開。店頭の陳列・ディスプレーを一新すると同時に、DMにより来店促進を図り、新たに商品を試すきっかけを演出しているのだ。
DMのビジュアルにはプロモーションのテーマに即した陳列・ディスプレーの写真を使用することで、店頭とのイメージの統一感を醸成。また、特別割引商品の紹介やDMを店頭に持参すると小物がプレゼントされるなど、毎回、何らかの特典を設けることで、来店率の向上を図っている。
2009年に入ってからは、1月に「コミュニティトレード」、2月は「サクラ」、2月から3月にかけては「ローズ」、3月から4月にかけては日差しによる紫外線ケアを意識した「美白」をテーマにプロモーションを展開した。
定形外のプロモーションDMの裏面(上)と表面(下)
紙DMはロイヤルティの高い上位顧客が対象
プロモーション告知の紙DMの発信対象は、同社の店舗の顧客の会員組織である「LOVE YOUR BODY®」会員のデータベースから、プロモーション対象商品、およびこれに関連した商品の過去1年以内の購買金額に基づき抽出した上位顧客。商品ごとの購買履歴にまで踏み込んで対象を絞り込んでいるのは、同社商品が基礎化粧品からフレグランスまで多品種にわたり、商品ごとに顧客層が明確に分かれているため。結果的に、発信数もプロモーションごとに異なり、少ない時で3万通、多いときには5万通に上る。以前は店舗ごとに会員データベースを管理し、DMの発送も各店舗が担っていたが、2005年の個人情報保護法の施行に伴い、本社による一括管理に踏み切った。
ちなみに、「LOVE YOUR BODY®」への入会条件は、店頭で1回に3,000円以上の商品を購入すること。会員には購入金額に応じたポイント・サービスを提供しており、誕生月にはショッピングポイントが2倍になる仕組みになっている。
また同社では、紙DMの補完を目的にeDM(メルマガ)も配信している。具体的には、プロモーション開始の2、3日前に紙DMが届き、以降、eDMがプロモーション開始日とプロモーションの内容によって数回配信される仕組み。なおeDMは、配信を希望するすべての会員に送られる。
「LOVE YOUR BODY®」の会員数は一時期、100万人を超えるまでに拡大したが、同社では新データベースの導入に伴い、会員データをクリーニング。現在はアクティブ会員25万人のデータを活用しており、紙DMを配信する上位顧客はその20%程度に当たる。
同社では、商品プロモーションを主眼とした紙DMに加えて、顧客のパーソナルな事柄にフォーカスした「バースデーDM」にも注力している。こちらも過去1年間の購買履歴に基づき抽出した上位顧客が対象。このDMの特徴は、顧客個人の苗字ではなく名前がローマ字表記でDMに印字されていること。バースデーDMを誕生月内に店頭に持参すると、ポイントが2倍に加算され、かつ購入金額が3,000円以上に達するとプレゼントがもらえる仕組みになっている。
同社では、バースデーDMの制作に当たって、親近感の演出度合いに留意しているとのこと。顧客との適度な距離感を大切にするため、パーソナライズ部分も名前の印字のみにとどめている。結果的に顧客の驚きと適度な親近感が来店率アップにつながっているようだ。
バースデーDM
DMのレスポンスを向上するための取り組み
プロモーションDM・バースデーDMによる来店購買率は25~30%に上り、客単価もアップしているため、同社では紙DMの有効性を改めて認識。今年は紙DMの効果をさらに高めるため、プロモーションごとにハガキサイズから情報量の多いB5サイズや、さくらの花びらの形など、さまざまな形状の紙DMのテストを行っていく意向だ。
今後の新たな取り組みとして、会員登録時の記入情報に顧客の肌質や嗜好などの属性を追加し、そのデータを基に顧客のライフスタイルに合わせた商品情報を個別のプロモーション用DMとして送付するような施策を考えているという。
また、ゆくゆくは有効性の高い紙DMを、さらにロイヤルティの高い顧客に絞り込んだ2万~3万件に発信し、それ以外の顧客にはeDM(メルマガ)により情報を発信していく意向。これにより、プロモーションコストを抑える一方で、これまで以上に顧客の心に届く驚きと喜びを与える紙DM作りに注力していく。
同社は紙DMを最上位顧客に対するサービスのひとつと位置付け、ロイヤルティのさらなる向上を図るべく、今後も積極的に紙DMに取り組んでいく意向だ。