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(株)シーエー・モバイル

2000年5月にモバイル専門マーケティング企業として設立されたシーエー・モバイル。「ONE☆FESTA」をはじめ、数多くの人気モバイルコマースサイトを運営している。その最大の特徴は、同社の大半のサイトが国内3大ケータイキャリアの公式サイトとして認定されていることにある。同社のビジネス展開を検証してみた。

広告の空き枠利用からスタートし年間売上高34億円を達成

 2000年5月にモバイル専門マーケティング会社として設立された(株)シーエー・モバイル。同社では、2001年夏からモバイルコマース事業を展開している。
 同社がモバイルコマース事業を開始した理由は、自社のモバイルメディア事業で販売している広告の空き枠を有効利用すること。つまり、広告モデルで展開するモバイルメディア事業において随時発生する空き枠を有効活用し、物品を販売することにより、収益性を向上することが目的であったが、これが好評であったことから、その後、モバイルコマース専用サイトを開設。2005年度(2006年9月期)では同社の年間売上高108億円の31.5%に当たる34億円を売り上げるまでに成長している。2006年度(2007年9月期)ではさらに売り上げを伸ばし、年間売上高は54億円に達する見込みだ。
 同社が現在運営しているモバイルコマースサイトとしては、総合ショッピングサイト「ONE☆FESTA」のほか、「ストラップヤ」「香水の百貨店」「ブランドの百貨店」「お茶の百貨店」などの商品ジャンル・テイスト別の専門サイトがあり、大半が国内4キャリアのモバイルサービス(NTTドコモの「iモード」、KDDIの「EZweb」 、ソフトバンクの「Yahoo!ケータイ」 、WILLCOMの「CLUB AIR-EDGE」)すべてにおける公式サイトとなっている。
 サイト開設時期は「ONE☆FESTA」の前身である総合ショッピングサイト「パケおdeショッピング」が最も早く、専門サイトについては、2002年11月の「香水の百貨店」開設を皮切りに順次開設されたものである。なお、専門サイトは、専門性の高さにより注目を集め、最終的に総合ショッピングサイトへの集客を強化することを主目的に開設したものであるが、現状ではむしろ、総合ショッピングサイトの利用を経て、専門サイトの利用に至るというケースが多くなっている。

「ONE☆FESTA」の月間取扱商品数は延べ1,000~1,200アイテム

 主力である「ONE☆FESTA」の取扱商品は700~800アイテム前後。売り場の新鮮味を保つため、週1回、商品の大幅な入れ替えを行っており、月間の取扱商品数は延べ1,000~1,200アイテムにも及ぶ。ジャンル別では「美容・健康(ダイエット)」「家電」が中心であり、両者で60~70%(売上高ベース)を占めている。そのほかでは、「ファッション」「食品」なども最近売り上げを伸ばしているとのこと。なお、大半は仕入れ商品であるが、専門サイトを中心に、一部では委託型の販売も行っている。
 価格帯については、従来3,000円から5,000円程度が中心であったが、最近では家電を中心に、コストパフォーマンスが高いことを前提として、1万5,000円程度までの商品であれば一定の売り上げが見込めるとのこと。実際に価格の割に画素数が大きい「1万円のデジタルカメラ」などはヒット商品になっているようだ。なお、一度に複数商品を購入する顧客も多く、平均受注単価は少しずつ上昇してきている。
 配送・代金回収や問い合わせ窓口(コールセンター)などの業務は、マーチャンダイジングと販売促進というコア業務に人的リソースを集中させるという観点から、すべて外部業者に委託している。なお、決済手段としては、代金引換、クレジットカード、キャリア決済(携帯電話利用料金との合算請求)を用意している。

他社が運営するサイトとの協業を強化 リピートオーダーはメールマガジンで獲得

 新規顧客の獲得については、従来、無料の懸賞サイトやゲームサイト、着信音サイトなど、自社が運営するモバイルコマース以外のサイトからの集客のほか、各キャリアのショッピングメニューからの獲得を中心としていた。このうち、ショッピングメニューからの獲得の促進策としては、商品ジャンル別に専門サイトを立ち上げ、ジャンル別での上位ランキングを獲得することを中心に、メニュー上での露出強化を図ってきたが、近年ではモバイルでも検索エンジンの利用が一般化し、ショッピングメニュー以外からショッピングサイトに訪れる比率も高まってきた。
 そこで同社では近年、他社が運営するサイトとの協業を強化している。これは、他社サイト上にショッピングコーナーを設けてもらい、そこで会員登録をすると、同社が協業により立ち上げた専用のショッピングサイトに登録されるというもの。他社サイト上での購入については協業先に一定のマージンが支払われる仕組みだ。これまでに、乗換案内サイトやメルマガ配信スタンドサイトなどとの協業を実現しており、その結果、2005年度では前年度に比べて協業サイト経由での売上比率が9ポイント増加している。同社では今後も「会員数の多いサイト」「同社と会員層がバッティングしないサイト」を中心に、協業サイトの獲得を強化していく意向である。
 なお、顧客層も他社との協業の強化により若干変化しており、同社の調査によれば、年齢別では従来25~32歳が中心であったが、最近では20代から40代前半を中心に幅広く分布している。ちなみに男女比では、従来から変わらず女性が70%程度を占めているとのこと。また、地域的には首都圏が中心であるが、ほぼ人口分布通りの分布となっている。
 一方、リピートオーダー促進策として行っているのはメールマガジンの配信。会員には推奨商品を会員それぞれの購入履歴によりパーソナライズしたメールマガジンを毎日配信している。その結果、ポイント・プログラムなどを導入していないにもかかわらず、初回購入から2カ月以内に再購入がなされる比率は平均30~40%。「美容・健康(ダイエット)」分野では50%前後にも及んでいるとのことである。
 なお同社では、今後もモバイルコマース事業を拡大していく意向であり、そのための課題として以下の3点を挙げている。
 ひとつ目は取扱商品の拡大。これについては現在の売れ筋である「美容・健康(ダイエット)」「家電」分野を深耕するとともに、新規分野の開拓も図っていく意向である。
 2つ目は協業サイトの獲得による会員の増加。これについてはノウハウが蓄積されたことより、各協業サイトの特性に合わせた展開に自信を深めていることから、今後、積極的な開拓を図っていく。
 3つ目はモバイル以外の媒体との連動。現在、TVに関して、関西地区で放映されている情報番組との連携を図っているが、今後はこの動きを拡大していくほか、ダイレクトメールの活用なども検討していく意向である。

OneFestaTOP画像 香水の百貨店TOP画像

総合ショッピングサイト「ONE☆FESTA」(左)
商品ジャンル・テイスト別に専門サイトを運営(右)

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月刊『アイ・エム・プレス』2007年11月号の記事