国内最大規模のインターネット比較検索サイト「価格.com」を運営する(株)カカクコム。パソコンや家電をはじめ、スポーツ・レジャー用品、ブランド品など、さまざまなジャンルの商品の比較サービスを提供している。また同社では、このようなユーザーニーズに対応するため、新たなユーザー発信型の情報として2005年12月から「ユーザーレビュー」の提供を開始し、購買サポート情報のさらなる強化を図っている。
購買支援サービスとして月間約710万人の生活者に活用される
(株)カカクコムは創業7年目の2003年に東証マザーズに上場、2005年3月には異例とも言えるマザーズからの直接・最短の一部上場を果たした、購買支援サービス提供企業である。
同社では、購買支援サービスの一貫として価格比較サイト「価格.com」 、ホテルの当日予約サイト「yoyaQ.com」、グルメコミュニティサイト「食べログ.com」の3つのサイトを企画運営している。中でも「価格.com」は、パソコンや家電をはじめ、スポーツ・レジャー用品、ブランド品など、さまざまなジャンルの商品の比較サービスを提供する、国内最大規模のインターネット比較検索サイトだ。全国の参加店舗の協力のもと、 約20万点の商品に関する価格をはじめ、ユーザーの口コミ、評価などあらゆる情報を集約し、中立・公平な立場から「価格比較」「商品情報」「口コミ情報」などを提供している。1カ月間のPVは約3億1,400万を数え、商品を上手に「比較・選択」するためのサポートサイトとして、月間約710万人の生活者に幅広く活用されている(2005年11月30日現在)。
価格.comの価格情報は、参加店から直接、登録・更新され、最新の販売価格がリアルタイムにホームページに反映されている。それを支えているのは、独自の型番単位の「価格登録システム」である。このシステムは、型番単位での商品の絞り込みが難しいと言われるロボット型システムに比べ、膨大な商品情報から特定商品の情報を効率よく探し、比較・検索することが可能。また、型番ごとに販売店と販売価格を一覧できる「価格表」も人気の秘密だ。
価格情報以外にも、「商品仕様」「レビュー記事」「ユーザー評価」など、商品やサービスをさまざまな角度から比較、選択するための関連情報を個々の商品紹介ページに集約。各商品に関するユーザーの口コミ情報にも、ここから直接アクセスすることができる。そのほか、価格変動の推移を表したグラフや各店舗ごとの情報など、購入時期や購入先決定に活用できる周辺情報が充実している。
「くちコミ掲示板」に加え「ユーザーレビュー」の提供を開始し購買サポート情報の強化を図る
価格.comの大きな特徴のひとつである、ユーザー同士の情報交換が可能なコミュニティ「くちコミ掲示板」は、商品・型番ごとに設置され、購入者、購入予定者を問わず、各商品に関する口コミ情報が活発に交換されており、誰でも自由に閲覧できる。書き込み内容は、「質問」「レポート(良)」「レポート(悪)」「特価情報」「うわさ」「その他」の6つに分類。それぞれの書き込みの割合は、「質問」が80%、「レポート(良)」「レポート(悪)」が合わせて約1%、「特価情報」が約7%、「うわさ」「その他」が合わせて約3%である。現在、1日の書き込み件数は3,000~4,000件を数え、累計は約470万件に達している。
また、個々の掲示板はメーカーや「パソコン」「家電」など、より大きなジャンルごとにまとめられ、掲示板グループを構成しており、個々の商品についてだけではなく、幅広いトピックについて質問や情報交換を行うことが可能だ。
同社がユーザーに対して行ったアンケート(2005年10月実施)では、商品購入の際の情報源として重要視するのは「口コミ」という回答者が最も多く、一般生活者の意見がユーザーの購買意思決定に与える影響力は次第に強くなっているという。
同社では、このようなユーザーニーズに対応するため、「くちコミ掲示板」に加えて新たなユーザー発信型の情報として2005年12月から「ユーザーレビュー」の提供を開始し、購買サポート情報のさらなる強化を図っている。「ユーザーレビュー」は、ユーザーが自分の主観に基づき、製品の使用感や感想をコメントするとともに、 製品ごとに設定された購買のポイントとなる評価項目に対して、5段階で総合的に評価する機能が付いている。点数評価はグラフ化して表示され、点数評価では伝えきれない意見はコメントとして記入できるので、各製品が支持される理由や強みが一目でわかる。専門家ではない生活者の本音情報として、製品やサービス購入に当たって信頼できる情報源になると同社では見ている。ちなみに、コメントを記入しなくとも、点数評価だけでも登録は可能だ。
また、「くちコミ掲示板」との違いは、ユーザーレビューでは、書き込みに対してコメントはできないものの、個々のレビューに対する「評価する」ボタンを設けており、どのレビューがより多くのユーザーに支持されているかも確認することができる。
ユーザーレビューへの参加は、IDの登録が必須となっており、製品ごとのレビューはひとり1回までと制限することで、より信頼性の高い評価データとして活用できるようにしている。また、将来的にはユーザーの属性を限定した評価結果による製品検索を開始し、個々のユーザーによりフィットする商品選びができるサービスを目指すと同時に、カテゴリーごとのプロフェッショナルを表彰していく予定だ。
「くちコミトピックス」を設け掲示板への誘導を強化
「価格.com」では、2005年11月からトップページ上に「くちコミトピックス」を設けて、掲示板への誘導を強化している。従来のWebサイトではどんな書き込みがあるのかがわかりにくかっただけに、ユーザーからの反応は上々だ。例えば、最近できたばかりのカテゴリーである「ベビー」は、当初掲示板への書き込みも少なかったが、トピックスに「子供の利き手について」の質問を載せたところ、一気に書き込みが増えた。これまでは、パソコンや家電のカテゴリーは利用されていても、ほかのカテゴリーに関心を持つユーザーは限られていたが、これを機にほかのカテゴリーへの関心も高まってきている。
そのほか、 IDを登録すれば、 一元管理のもとでさまざまなサービスが受けられる「My価格.com」 がある。例えば、お気に入り製品を登録し、閲覧できると同時に、最安価格の変動時や口コミ情報書き込み時にeメールで知らせる「お気に入りリスト」 のほか、気に入った書き込みを登録し、それに新規のコメントが付いた時に、eメールで知らせる「お気に入りくちコミ」など。ユーザーからは、いち早く情報を仕入れることができるため好評を博している。現在、登録者数は約17万人を数える。
こうした口コミ情報は、多くのメーカーが注目し、問い合わせも多いという。そこで同社は、口コミデータの販売事業をスタートさせた。例えば、あるカテゴリーの掲示板の書き込み内容をマイニングし、どのような傾向があるかを抽出したり、ユーザーが商品購入時にどの企業の商品を比較していたのかといったデータを提供している。
個人の嗜好により購買行動も多様化している中、今後も同社では、購買支援の一環として、ユーザーが求める情報の提供、サービスの創造を続け、ひとりでも多くのユーザーに利用いただける購買情報ポータルを目指していく意向だ。