創業以来、三十数年にわたる通信販売で培ってきたノウハウと膨大なデータベースの活用を目的に開設された戦略的事業部「ベルーナダイレクト」。企業ニーズにあった的確なプロモーションを支援するサービスを提供。最近では、顧客属性を絞り込んだ媒体を活用したサービスの提案も行っている。
会員数は1,000万人のうち女性客層が90%に上る
大手通販企業のひとつである(株)ベルーナ。2000年3月には東京証券取引所1部上場を果たし、現在の売上高(連結)は約1,150億9,800万円に上る(2005年3月期)。
同社は、カジュアルからフォーマルまで多彩なファッションを満載したメインカタログ『BELLUNA(ベルーナ)』(対象:30代~50代のミセス中心)、アパレルやインナー・ブランド系の小物雑貨を多く取り揃えたオシャレに敏感な女性のための流行単品販売カタログ『RyuRyu(リュリュ)』(対象:20代女性)、カジュアルからエレガントまで、個性に合わせて楽しむファッション&グッズがいっぱいのカタログ『LUAR(ルアール)』(対象:30代~40代のヤングミセス)など、顧客ニーズに合わせた多彩なカタログを発行。会員顧客数は1,000万人強を数える。
同社がカタログを活用した封入サービス事業を始めたのは、約12年前に広告代理店からの打診があったことがきっかけ。それから2年後の1995年2月に、新事業本部の事業のひとつとして本格的なスタートを切る。スタート当時の名称は、「ベルーナ・マーケット・クリエイト・サービス(BMCS)」。2000年に、現在の「ベルーナダイレクト」に名称を変更した。
ベルーナダイレクトの特徴は、90%に上る女性顧客の存在だ。購買に関して非常に強い意欲、関心、そして行動力を持っている20代~60代の顧客層である。特に、40歳以上のミセスに圧倒的な支持を得ている。また、全国47都道府県にバランスよく分布しているのも特徴のひとつだ。全国展開の大規模なキャンペーンから地域限定のSPまで多彩なプランが展開できる。さらに、さまざまな属性からのセグメントが可能。顧客データも、カタログなどの未到着客や支払遅滞などを随時チェックし、リアルタイムで更新しているので、常に最新の情報を提供できる。
そのほか、同社では会員を「ベルーナ会員」と「リュリュ会員」に分けている。ベルーナ会員は新聞の折込みチラシから入ってきた顧客であり、リュリュ会員は書店やコンビニエンスストアで年5回発売するカタログ『RyuRyu(リュリュ)』(定価300円)による購入客である。
個人情報保護法の全面施行に伴い単独DMサービスの利用が増加傾向
現在、ベルーナダイレクトのサービスは、①商品同梱、②カタログ同梱、③単独DMの3つになる。広告物に関しては、事前審査があり同社の商材とバッティングするものや法律上問題がありそうなものなどは同梱を断る場合もある。商品同梱サービスは、数日前に注文された商品の発送に同梱するため、開封率は100%。企業のパンフレットや商品サンプルなどを同梱して、効果的なプロモーションに活用できる。すべての会員へ発送される商品の中に企業の広告物を封入する「通常同梱」と、送りたいターゲットだけに企業の広告物を封入する「セグメント同梱」の2種類がある。後者では、年齢、性別、エリア(都道府県別)、購入商品群(アパレル、服飾雑貨、生活雑貨、趣味用品、文化用品、美容健康)を選ぶことが可能だ。最近の利用傾向としては、メーカーの新商品サンプルの同梱が多い。
カタログ同梱サービスは、『ベルーナ』(発行:年3回)、『ルフラン』(発行:年5回)、『ルアール』(発行:年4回)、『リュリュ』(発行:年4回)の4媒体を活用。最新カタログが発行される時期に合わせて、企業の広告物を同梱し、会員に届ける。短期間に大量配布を希望する企業には適しているサービスだ。セグメントは、エリア(都道府県別)と年齢が可能。年齢に関しては、『ベルーナ』と『ルフラン』は10歳区切りで指定できる。
単独DMサービスは、①1~24カ月以内購入者+都道府県別セグメント、②1~48カ月以内購入者+都道府県別セグメント、③1~60カ月以内購入者+都道府県別セグメントの3つから希望のランクを指定。さらに、セグメントしてターゲットを絞り込むことも可能だ。セグメントは、年齢(1歳区切り)、性別、エリア(市町村)、購入商品群、購入商品の軸で指定することができる。あとは、同社がクライアントから広告物を預かり発送するといった具合だ。
2005年4月からの個人情報保護法全面施行により、同社の単独DMサービスを利用する企業が徐々に増えてきているという。これら3つのサービスの中で、当初、単独DMサービスの売上高構成比は数%だったものが、現在では10%を超えるまでに成長。地域密着型の企業の利用が増えているようだ。さらに、DMサービスの需要が伸びているのに伴い、封入・封かん事業の受託対応も拡充していく。
ベルーナダイレクトを利用している企業の顔ぶれを見ると、エステティックサロン、住宅・不動産、金融(証券・投資機関)、旅行、自動車メーカーなどで、利用社数は年間100社に上る。同社全体の売上規模に占める割合は大きくはないが、収益率は高いと言い切っていいだろう。
20代~60代に至るまで、それぞれの世代の女性に人気のあるカタログを揃え、40年近く培ったノウハウと顧客データベースを駆使し、クライアントのニーズに応えるサービスを展開している
顧客属性を絞り込んだ媒体を提案
コンビニ書店版『リュリュ』(年5回発行)は、女性ファッション誌『JJ』や『CanCam』と並べても見劣りしない誌面づくりであることから、20代女性を中心に好評を博している。発行部数は35万部。カタログの有効期間は半年間あるので、カタログの保存率が高く長期にわたり効果があることから、コンビニ書店版の『リュリュ』に限っては、広告ページを設けて提供。購買意欲のある“F1層”を対象にしていることから、広告も順調に伸びている。
また、書店や100円ショップで無料配布している『別冊ルアール』は、大手通販企業のカタログがむき出しで平積みにされているのに対して、1冊ずつラッピングされている。従って、企業のパンフレットなどの広告物を同梱しても紛失することがなく、さらにその場で立ち読みするのではなく、自宅に持ち帰って読まれる傾向にある。以前は、カタログのサイズもA4判だったが、B5判に変更。A4サイズ以上のバッグを持ち歩いている女性なら、無理なくバッグの中に入れて持ち運ぶことができるわけだ。こうしたところに、同社の工夫を垣間見ることができる。
最近、同社ではワインカタログ『My Wine Club』や無農薬・自然食品カタログ『いきいき家族』といった顧客属性が絞られた媒体を活用した提案も開始。こうした差別化が図れる媒体を通して、クライアントの要望に随時応えられる体制を整えていく。封入点数も通常は4点ほどだが、これらの媒体に関しては1、2点に制限し、レスポンス効果がより期待できるようにしている。この結果、富裕層をターゲットにしている企業の利用が増えているという。
同社では2004年5月に配送センターを新設したが、今後もクライアントのニーズにきめ細かい対応ができるよう、さらなる体制の整備に注力していく意向だ。