ディストリビューターと共に「顧客中心」を掲げ優良顧客の購買金額の拡大めざす

日本アムウェイ(株)

日本アムウェイ(株)は、2003年8月から、「Amway Interaction Program(AIP)」をスタートさせた。これは、「顧客」を企業のマーケティング活動の中心に置いた組織、文化を本格的に構築するための新しい施策である。従来から実施している優良顧客のロイヤルティ向上プログラムに加え、同社の中核顧客として位置付けられる、ディストリビューターのリーダー層にもAIPへの理解を深めてもらい、顧客の生涯購買金額の拡大につなげることを目指している。

購買実績などを基にディストリビューターを分類

 日本アムウェイ(株)は、1979年に設立された、日本における最大手のダイレクト・セリング企業である。25年間にわたり、「自由」「家族」「希望」「報われること」という共同創立者が掲げた4つの基本理念をもとに、世界56カ国でビジネスを展開している。最近では、消費者保護を徹底させた企業経営を目指すべく、企業としての透明性、誠実性、そして社会的責任を追求してきた。2003年8月末時点で、同社の売上高は1,038億8,700万円、会員数は契約更新ディストリビューター66万6,000組、2000年9月にスタートした「買うだけクラブメンバー」は38万組に上る。
 同社とビジネスパートナーの関係にあるディストリビューターの収入は、大きく分けて、小売利益、成績別ボーナス、そのほかのボーナスに分かれる。成績別ボーナスは月次の取引実績に応じ、同社が定めた数値に基づいて受け取れる仕組みになっている。また、ディストリビューターは、販売や販売員の勧誘(スポンサー活動)の実績に応じて、シルバー・プロデューサーからファウンダーズ・クラウン・アンバサダー・ダイレクト・ディストリビューターまでの22段階の資格に分類されている。このように同社は、顧客でもあるディストリビューターに対して、購買やスポンサー活動の実績に応じて詳細に報酬や資格を定めている。同社にとっての優良顧客が、ビジネス成長度と購買実績に優れたディストリビューターであることは、彼ら自身も理解しているという。
 同社では以前から、顧客のライフサイクル・マネジメントに力を入れている。顧客である同社に登録したディストリビューターができるだけ早いタイミングで製品購買、ビジネス成長の両面で価値を向上させるための支援をするにはどうすればいいのか。そのファクターを洗い出して、コミュニケーション上、あるいはどのようなインセンティブ、プロモーションを、いつ、誰に向かって展開すればいいのかということを常に考え、ディストリビューターを後押ししてきた。あるいは、ディストリビューターや「買うだけクラブ」メンバーによる購買実績の落ち込みを、できるだけ防ぐ取り組みも行っている。
 例えば、日々さまざまなチャネルで、顧客に対し直接的に行われるコミュニケーションに加え、地域コーディネーターである同社の営業担当者は、従来からグループ内のビジネス実績や製品購買傾向を分析。ディストリビューターのリーダー層に対し、フェース・トゥ・フェースで個々のグループの状況に応じたコンサルティングを行うことにより、「間接的にグループ内顧客の購買を向上させると同時に、その結果としての彼らの夢の実現を手助けしてきた」と、同社マーケティング本部リレーションシップマネジメント部LOSプログラム・グループ・リーダーの鈴木敦志氏は話す。

主要なアムウェイの市場でCRM施策「AIP」を実施

 同社では、2003年8月から「Amway Interaction Program(AIP)」をスタートさせた。アムウェイ社では、日本を含めた世界の主要な都市を対象としてこのプログラムをグローバルで進めている。これは、①アムウェイがディストリビューターとともにいかに成長できるか、②生活者としての顧客の購買をいかに助けるのか、③ディストリビューターのビジネス活動をいかにサポートするのか、に視点を置いて、CRMを全社的に推進するプログラムのことである。
 同社では、このプログラムのスタート時に経営ビジョンとなる「顧客中心の目標」を立てた。その趣旨は、「ディストリビューターの現在の価値および潜在的価値に基づき、すべてのディストリビューターのニーズと利益に対応可能な、全社的、マルチチャネルのリレーションシップ・マネジメント・プログラムを確立し、日本におけるアムウェイ・ビジネスの生産性、成長、競争力、そしてイメージの向上を達成します」というもの。これを中長期目標に掲げ、プロジェクトを推進している。
 同社ではフェイズ1とフェイズ2に分けて、プロジェクトを進めている。2004年2月に終了したフェイズ1では、方向性を固めるために、①社内のビジネス・プロセスへどのようなインパクトを与えるのか、②企業戦略に対してどのようなインパクトを与えるのか、③テクノロジーに対してどのようなインパクトを与えるのか、④人材に対してどのようなインパクトを与えるのか――という4つの基軸に基づく分析を行った。そして、マーケティング上の目的に応じた数種類のセグメンテーションごとに、顧客のニーズに焦点を当てた現状分析と検証を行った。
 また、プロジェクトでもうひとつカギとなるのは、顧客のライフサイクル・マネジメントをどうするかである。ディストリビューターとして登録した同社の顧客は、数カ月後には「ビジネス型」と「消費者型」に分かれてくるという。そこでまず、どちらの顧客に対しても早いタイミングでアプローチし、「ビジネス型」にはビジネスでの目標達成、「消費者型」にはひとり当たりの1年間の購入金額の底上げを後押しする。もうひとつは、登録後成長する「顧客」を早い段階で見つけ出し、さらに成長するために相応しい情報やプログラム、オファーを提供する。3つ目は、顧客のプロダクティビティが落ちる、あるいは成長が止まる兆候が現れた場合に、その原因をプログラムに反映させて防止措置をとる、という施策である。
 フェイズ2は2004年6月からスタート。前記の戦略を展開するためのインフラ整備の一環として、現在、6つの業務を進めている。①キャンペーン・マネジメントの実施、②顧客の統合データベースの作成、③アウトバウンド・コミュニケーションの強化、④コールセンターの再構築とコンタクト・マネジメントの一元管理、⑤チェンジ・マネジメントの遂行、⑥カスタマー・フォーカス・メトリックスの実行――の6つである。
 同社では、これらの業務について、2005年7月までに完成し、顧客中心のビジネスを展開していく。

ビジネスモデルの特徴を活かしたディストリビューターの参画

 同社のビジネスモデルの特徴は、独立事業主であるディストリビューターが自身のグループに属する顧客との接点を担い、セールスおよびマーケティング活動の現場を支えている点である。
 同社マーケティング本部リレーションシップ・マネジメント部部長の森哲男氏は、「チェンジ・マネジメントの遂行」に関して、カスタマー・セントリック(顧客中心)を全社員に徹底するとともに、ディストリビューターへの理解を得ることの重要性を説く。ビジネス現場においては、ディストリビューターのリーダー層を顧客への働きかけの中心的存在として位置付け、有用情報の共有を通して、顧客との良好な関係作りを支援することで、結果的に彼らのビジネスの長期繁栄につながるというのがその理由だ。そのためには、顧客のロイヤルティの向上と、ディストリビューターのリーダー層のAIP活動への参加が不可欠である。
 日本アムウェイにとって、AIPプロジェクトの成功は、ディストリビューターの参画をいかに促進し、顧客中心のマーケティングを展開できるかどうかにかかっていると言えるだろう。


月刊『アイ・エム・プレス』2004年10月号の記事