「hpダイレクト」を中心に積極的な販売店支援を展開

日本ヒューレット・パッカード(株)

流通チャネルの構造『hpフォワードプログラム』

 先頃、コンパックコンピュータの買収を発表した、ヒューレット・パッカード(hp:本社・米国)の100%出資による子会社、日本ヒューレット・パッカード(hp)(株)は、コンピュータ・システムやその周辺機器などの開発、製造、輸出入、販売、リース、レンタル、サポートなどを行っている。1963年9月、横河・ヒューレット・パッカード(株)(横河電機51%、HP社49%)として設立後、他企業との合併や営業権譲渡、分割を経て、1999年11月、「コンピュータ&イメージング会社」として新設された。自社が開発・製造したプリンタ、スキャナ、サーバ、パソコン(PC)、ワークステーション、ソフトウェアなどを、自社の営業部門や、数十社の代理店を通して販売。個人事業主や中小・零細企業から大企業まで幅広い顧客層をもつ。
 同社ビジネスPC製品を取り扱う販売店は“パートナ”と呼ばれ、条件により3つのカテゴリーに分かれている。①販売特約店(1次販売代理店):同社と直接契約、取り引きをしているパートナ。ディストリビュータ5社、UNIX商品の一次店を兼ねた7社の12社。②認定販売店(2次販売代理店):販売特約店と取り引きをして同社製品を販売しているパートナで、売上目標を設定し、同社が認定した販売店。③登録販売店(2次販売代理店):同社製品の販売意志を明確に表明しており、販売特約店と取り引きをして同社製品を販売しているパートナ。認定販売店と登録販売店は全国に3,000社強を数えている。
 同社では、インターネット等による直販が盛んになりつつある現在でも、PC・サーバの中心的な販売チャネルは販売店であることから、その存在の重要性は今後も変わらないと見ており、積極的な支援を行っている。

「hpダイレクト」で販売店支援を強化

 同社はインターネット上に販売ポータルサイト「hpダイレクト」を設けている。ここでは、同社のPC、サーバ製品群やプリンタ、ストレージ製品等の商品を取り扱っている。顧客は、インターネットを通じて24時間365日、これらの商品の注文・決済をし、希望した場所で購入した商品を受け取ることができる。
 2000年11月には販売店への支援の強化を行い、「hpダイレクト」にアクセスしてきた顧客の要求内容によって、最適な販売店を紹介する仕組みを設けた。紹介する販売店の選定に当たっては、事前に登録してある各店舗のデータや過去の販売実績に基づき、最適と思われる販売店を顧客に提案し、了承を得た上で、各販売店にその旨を連絡している。同社と販売店の間に綿密な連絡があるので、顧客も安心して商品を購入することができる。
 「hpダイレクト」のメリットは、同社にとっては製品の販売増。直近のIT不況の影響を別にすれば「hpダイレクト」経由による売り上げの伸びは順調だということだ。一方で各販売店にとっては、確実に売り上げにつながる引き合いを得られることに加え、企業側が販売商品のコーディネートや見積もりを済ませているため、それらの手間がいらないことが大きなメリットだ。またエンド・ユーザーにとってのメリットは、同社製品に興味をもった場合、あるいは購入したい場合に、販売店を自分で探さなくとも、とりあえず「hpダイレクト」にアクセスすれば、的確なサポートを受けられる点が挙げられる。

hpダイレクト

「hpダイレクト」http://www.hp.com/jp/direct/

その他の販売店支援

 同社では「hpダイレクト」に加えて、同社のホームページ“hp.com”上にも販売店の紹介を掲載しており、地域等の条件を指定すると、それに見合った販売店の一覧が表示されるという間接的な支援を行っている。
 また同社では販売店を強力に支援する『hpフォワードプログラム』を用意している。
 その内容は、●認定販売店●登録販売店に向け、同社製品、同社が販売店向けに行っているトレーニング、イベント、競合、カタログ、営業インセンティブ等の情報を提供する情報ポータルサイト「パートナシップ・オンライン(POL)」、●UNIX関連商品の情報ポータルサイト『パートナシップ・プラザ』、●「POL」に登録した販売店を対象にした、最新のトレーニング、イベント情報、トピック等のeメールでの配信サービス『パートナシップ・ウィークリー・ニュース』、●サーバ構成のアドバイスのための『構成支援センタ』、●パートナ専用問い合わせ窓口『パートナホットライン』、『パートナシップ事務局』、『サポートヘルプデスク』、●同社製品販売の際に必要となるデモ機を特別価格で購入またはレンタルできる『開発・デモ用機器支援プログラム』、●低コストでプロモーション活動が展開できる『オープンシステム・セミナ』の開催等である。
 また、指定期間中に対象の製品を販売した場合にポイントを付与し、貯まったポイントに応じた賞品がプレゼントされる『hp e-Pointsキャンペーン』や、同社指定商品を原則企業向けに販売し、一定の条件を満たした場合に報奨金を受け取ることができる『認定販売店報奨金プログラム』により、販売店のモチベーション・アップも図っている。

hp

「hp.com」http://www.jpn.hp.com

hp追加

「パートナシップ・オンライン(POL)」http://japan.pol.hp.com

製品の流通は販売店経由が基本

 「hpダイレクト」から直接同社製品を購入することも可能であるが、同社におけるインターネットの基本的な位置付けはあくまでも「ポータル」や、パーミッション・メールによる引き合いの創出といった販売店の支援である。インターネットによる直販も成長はするものの、売り上げの過半数になることはないであろうというのが同社の見解であり、製品の流通は販売店を経由することを基本に考えている。
 今後はこの考えのもと、販売店とのさらなる協調体制を強化し、販売店がより快適に同社製品を販売できる環境の提供を念頭においたサービス展開を図る。


月刊『アイ・エム・プレス』2001年10月号の記事