電話受付機能を2カ所に集約
NECの100%出資の子会社、NECフィールディング(株)。パソコンからスーパーコンピュータに至る各種コンピュータ、ネットワーク機器について、企画・設計から、導入・構築、運用・保守に至るすべてのフェイズで、各種サポート・サービスを提供している。2000年度の売上高は2,116億円。従業員数はNECグループでは最多の6,859名、拠点数は国内最大規模の462カ所(2001年3月現在)におよぶ。
同社では、パーソナル顧客向けの修理サービスや、各種サポートの問い合わせ窓口として、パーソナルコールセンター(以下PCC)を運営している。これは従来全国110カ所の営業所で、各々個別に受けていた電話問い合わせを、顧客サービス向上の視点から、2000年12月より、東京(横浜)・大阪2つのPCCにて集中して受けられるように改善したものである。
PCC設置で効率アップ
PCC設置の目的は、以下の2点によるものである。1点目は前述のように、顧客サービスの向上。まず、フリーダイヤルの全国共通番号サービスを設定することで、利便性を強化。またPCC設置により、全国110カ所の営業所で対応していた時には平均で30%前後であった応答率を、95%にまで引き上げることを目標としている。さらに以前は電話のみでの対応であったのに対し、FAXでの受け付けも可能になった。
2点目は経営の効率化。PCC設置にともない、全国で電話受付のための対応要員のうち約30%に当る90名を削減。また従来の修理サービスの受け付けだけでなく、他のサポート・サービスの紹介・販売も行っている。
PCCの基本機能は、図表1の通り。このうち②修理受付後問い合わせでは、配送(あんしんサービス便)に利用している日本通運(株)との連携によるトラッキング・システムにより、配送状況を、問い合わせがあった顧客にリアルタイムかつスピーディーに伝えている。また③技術相談、④一般相談に関しては、“故障の事例”をデータとして随時蓄積しており、顧客からの見積もりに関する問い合わせへの対応も迅速で確実になった。
効率を計る指標設定でPCCを活性化
同社はPCC品質目標を図表2のように定めている。応答率の目標値を95%に定めているのは前述の通りだが、新体制発足後、現在までに、かなりこの目標値に近い応答率を実現している。
オペレータの通話時間に関しては、その時々によりさまざまなケースがあり、一概に短ければいいというわけではないが、できるだけ簡潔に、そして1回の応対で完結させるというのが同社の考え。そのため、オペレータの技術相談役として、「後方支援グループ」が随時待機しているほか、クレーム対応にも、東京・大阪に2名づつ専任の人員を確保している。クレームに関しては、数の多さ少なさに関心を寄せることよりも、徹底した個別解決を図ることに力を入れており、さらなるCSの実現につなげたいとしている(実際のクレーム件数は100件に1件ほど)。
また対応の満足度に関しては年に4回、3社の調査会社に調査を依頼して定期観測を行っている。2001年6月度の回答時対応状況に関する調査では高い実績を示しており(図表3)、昨年12月に開設されて間もないコールセンターとしては、かなりのクオリティを実現していると言っていいだろう。
電話対応のオペレータは現在、全員が派遣社員である。同社では、採用の際にスキル調査を実施しており、採用後には1カ月半の研修期間を設けている。また新製品の発売時には、比較的電話の着信数の少ない夕方16:00から18:00の2時間を利用して、交代でオペレータに研修を行っている。ちなみに1日のうちで着信数がもっとも多いのは、9:00から11:00だということだ。PCCでは月に1回定期的にオペレータの反省会を実施しているほか、3カ月ごとに優秀なオペレータを表彰する褒賞制度を設け、モチベーションのアップを図っている。またチームごとに18:00から18:15の夕礼において、1日の反省を毎日行っている。
顧客視点のサービスを段階的に実現
同社では顧客からの問い合わせ情報を、データベースとして蓄積している。さらにこれらの情報は関連部門で共有化され、問い合わせ品質、修理品質、サービス品質といった対応品質の改善・向上や、新規メニューの創出に役立てられている。
顧客からの声を活かした具体的な例としては、同社のサービス体制のひとつ、全国で12店舗を展開する「アクティブワン」の一部において、新サービス─1日でパソコンのアップ・グレードを行う「ワンデー・アップグレード」が開始されたことなどが挙げられる。
今後は、受付時間の延長(現在18:00までの受付時間を19:00まで延長:2001年7月開始)、日曜・祝日受付対応(2001年10月開始予定)、eメール・ウェブ・i-modeなどによる受付方法の拡張による利便性の向上、サポート・サービスへの積極的な誘導、ウェブ上にFAQを掲載(今年度内に開始予定)などに段階的に取り組んでいき、さらに“顧客の視点に立った”サービスを実現していきたい考えだ。