顧客サポート部門でCTI技術を活用

(株)リムネット

顧客ニーズに応じた豊富なサービス・メニューを用意

 インターネット・サービス・プロバイダの(株)リムネットは1987年に創業。1994年10月1日から他社に先駆けて、月額1,800円の低価格で個人向けのインターネット接続サービス「リムネット」を開始し、現在では、情報通信サービスを軸に、オンライン・ショッピングモール等のインターネット関連サービスの運営やコンサルティングなどを行っている。
 1998年8月にはP-SINetと合併し、1999年5月からPSIグループとして、各種インターネット・サービスの強化と充実を推進中。同社では、PSIグループとしての出発を機に本社を東京都品川区大崎に移転し、1999年の4月末から、CTI技術を導入して、顧客サポート部門にコールセンターを開設した。
 「リムネット」は、Busy(話し中)の少なさと、バックアップ・システムに支えられた安定性に定評がある。初期費用は無料で、基本料金は利用時間7.5時間までの月額1,800円コースと、15時間までの2,000円コース、24時間までの3,000円コースの3種類が設定されている。「メーリングリスト開設サービス」といったオプショナル・サービスや、オンラインマガジンなどの有料・無料の配信サービスが充実。料金の支払い方法には、各種クレジットカードでの支払いと、口座振替の2種類がある。
 同社では、顧客満足の向上のためには、顧客ひとりひとりに合わせたサービスの提供が不可欠との観点から、「CGI・SSI利用」「128kbps高速接続対応」など多彩なインターネット対応機能を提供しているほか、新しいサービスにもいち早く取り組んでいる。たとえば、オンライン・サインアップは、パソコン通信では1997年から、インターネット上では1998年8月から開始。すでにインターネットのホームページを見ることのできる環境にあるユーザーの場合には、同社のホームページからオンライン・サインアップすれば、約30分後から同社のサービスが利用可能になる。ただし、オンライン・サインアップの場合の支払い方法は、クレジットカードに限られる。
 インターネットに未接続の場合には、通常、同社から申込書を取り寄せて郵便で申し込むが、この場合にはサービスの利用開始までは1週間程度かかる。会員には、全100ページにわたり、インターネット操作のA to Zをビジュアルでわかりやすくまとめた『リムネットメンバーズガイドブック』を無料で進呈。
 現在、「リムネット」の会員は7万人。法人サービスもあるが、個人会員が主流で、20代後半から30代前半の男性が中心。もともとは研究所などで仕事でコンピュータを使う“上級者”を対象としていたが、最近ではインターネットの裾野が広がり、中級者の加入も増えてきた。こうしたユーザー層の拡大に合わせて、ビギナー向けから上級者向けまで、サービス・メニューの幅を広げ、顧客満足度の向上に努めている。
 会員獲得は、インターネット関連雑誌への広告出稿が主体。ダイレクトメールとFAXによる案内も時折実施している。このほか、電子メールマガジンへの広告出稿もテスト的に行っていく予定だ。
 ちなみに、同社のサービスには、このほかに国内長距離電話が1分22円、国際通話が1分39円?(米国の場合)でかけられる、インターネット電話サービス「リムフォン」などがある。

(株)リムネットのホームページ画面(http://www.rim.or.jp)と入会案内パンフレット (株)リムネットのホームページ画面(http://www.rim.or.jp)と入会案内パンフレット

(株)リムネットのホームページ画面(http://www.rim.or.jp)と入会案内パンフレット

CTIの効果的活用法を模索中

 同社が「リムネット」会員へのサービスの一環として設置しているのが、ユーザー・サポート・デスク。ここでは、顧客からの問い合わせ等を、電話、FAX、Eメールで受け付けている。受付時間は、年中無休で、10時から18時まで。顧客の利便性を高めるために、サポート・デスクを休みなく稼働させるばかりでなく、時間外にもEメールによる資料自動返送の受け付けや、FAX BOXによる情報提供を行っている。
 サポート・デスクを担当しているのは、同社の顧客サポート部門。約30名のスタッフが、テクニカル・サポートと、会員サポート、サービス・サポートの3グループに分かれ、応対に当たる。3分の1がテクニカル・サポート担当の男性スタッフ、残りの3分の2がインフォメーションを中心に会員と非会員をサポートする女性スタッフだ。
 導入しているシステムは、沖電気工業(株)の「CTstage」。現在は、主にIVR機能と、FAX、Eメールのユニファイド・メッセージ機能が活用されている。
 サポート・デスクにかかってきた電話は、まず会員か非会員かに振り分けられる。入会前の問い合わせは、そのままインフォメーション担当のスタッフに、会員の場合はさらにテクニカル・サポートか、そのほかの問い合わせかに振り分けられて、各担当者につながる仕組み。顧客が必要とする情報を素早く提供したいとの観点から、専任の担当者に直接つなぐことで、対応の効率化を図っているわけだ。  サポート・デスクへの問い合わせは、電話が7?8割と最も多く、次にEメール、FAXの順。全部で1日平均250件程度を受け付ける。内容としては、入会したものの接続方法がわからないという顧客からの問い合わせが多い。こうした際には、無料進呈の『リムネットメンバーズガイドブック』を活用。お互いにガイドブックの同じページを見ながら、電話で話ができるようにしている。
 また、サポート・デスクにかかってくる問い合わせには、顧客サポート部門のみでは対処しきれないケースも生じる。そこで同社では、このような場合にも、素早く確実に対処できるように、別の部署の担当者や関連部署などにEメールで引き継ぎを行ったり、共有画面で情報を伝達したり、あるいはFAXボードと連携するなど、CTstageのユニファイド・メッセージ機能を試用して、効率的な社内の対応方法を模索している。
 同社の社員は約80名だが、グループ全体では270名ほどに上る。グループ内の情報の流れを整備することが、顧客サービスの向上には欠かせないと同社は見ている。現在、グループ内の企業それぞれがSFA(Sales Force Automation)やCTIといった技術を採用している状況を踏まえ、今後はBPR(Business Process Reengineering)を進めることで業務プロセスを最適化し、最終的には顧客サービスの向上に結び付けていきたいと同社では考えている。
 同社は、1999年4月から「リムネット」のアクセス・ポイントを16エリアから124エリアに拡大。それに合わせて、サービスの見直しと会員の拡大を推進中である。たとえば、会員特典のひとつとして従来から実施してきた友人紹介。紹介者にはこれまで、1カ月分の料金を無料にしてきたが、この特典を2年間、毎月100円割引に変更。会員拡大策としては、1998年11月から学生を対象に、1999年1月からは高齢者・障害者を対象に料金割引キャンペーンを実施中である。
 今後は“必要な情報を必要な量だけ、必要な人にタイムリーに”を推し進め、よりパーソナルなニーズに適うカスタマー・サポートを実現したい考え。そのために、インターネット・サービスの機能アップを図ると同時に、会員のプロフィールを蓄積したデータベースを整備・拡充させていく意向である。


月刊『アイ・エム・プレス』1999年7月号の記事