メディアとの連動で顧客の心をつかむモールづくり

(株)ピープル・ワールド

バーチャル・モールの成功要因はブランドにあり

 インターネット上には、インターネット通販を行う店舗がまとまって形成されたバーチャル・モールは数多く存在するが、その中には失敗例も少なくない。バーチャル・モールを訪れる顧客にとって、モールはいわばデパートのようなものであり、“いろいろなものを楽しみながら見てみたい”という期待をもってモールを訪れる。しかし、1度訪れてはみたものの、単なる店舗の羅列でしかない場合、そこにはただのリンク集以上の楽しみは見い出せず、ほとんどの顧客は再びそのモールを訪れようとは思わない。失敗の一因は、集客と再来店を促すだけの魅力がモールそのものにない点にある。まずは、単なる店の寄せ集めというバーチャル・モールの作り方を改め、新規顧客、あるいはリピーターを獲得するだけの集客力を持ったモールにしなければならない。そのためには、バーチャル・モールにも、実在するデパート同様にモール名を見ただけで顧客を引き寄せるような魅力、いわゆるブランド性の確立が必要とされてくる。
 そこで、ブランドを明確に打ち出したバーチャル・モールの構築を目指して、現在さまざまな試みを行っているのが、(株)ピープル・ワールドが運営する「supermall(スーパーモール)」である。
 同社は、日本アイ・ビー・エム(株)、三菱商事(株)、(株)フジテレビジョン、(株)日立製作所、(株)東芝、(株)フジミック、三菱電機(株)の7社の共同出資によるインターネット総合サービス会社。1994年7月に設立され、これまでにパソコン通信「People」で40万人のネットワークを形成してきた実績を持つ。昨年からはインターネット・プロバイダ業務を開始。フジサンケイ・エレクトロニック・コマース実験協議会が1997年9月から実験的に運営していた「supermall(スーパーモール)」を1998年10月から引き継いだのをはじめ、バラエティ豊かなインターネット・サービスの展開を図っている。
 「supermall」は、インターネットとテレビ、新聞、雑誌、通販カタログなど、他チャネルとのメディア・ミックスを積極的に進めている。テレビやラジオの視聴者をはじめ、雑誌の購読者、カタログ通販の利用者やイベント参加者を巻き込んで、ホームページの集客につなげていこうという戦略だ。
 その手はじめとして、2カ月に1回程度の割合で不定期に放映されている、フジテレビのテレビショッピング番組「出たMONO勝負」と連動。「出たMONO勝負」は東京地域のみの放映番組で、通販カタログ「ディノス」で取り扱っている約3,600アイテムの中から、セレクトした商品の販売を行っている。1998年の10月26日と12月10日にオンエアされた番組の中で、通常のフリーダイヤル電話による注文受付と同等の扱いで「supermall」画面からの注文方法を告知した。インターネットが急速に普及してきているとは言うものの、いざ買い物となると、顧客のインターネットへの信頼はまだまだ低いのが現状。そこですでに顧客からの信頼を得ているテレビと連動させることで、インターネットの信頼性を高めることを狙ったわけだ。

「supermall」のトップページ

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「栗原はるみのすてきレシピ」では、雑誌に掲載された通信販売の商品が購入できる

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 その結果、10月の放送では深夜の時間帯にもかかわらず、インターネットだけで、オンエア当日で約1,500万円、4日間の合計で3,000万円ほどの注文を受け付けた。受注ベースの客単位は5万円。当初の予想に反し、注文者の約4割が女性であった。2回目の放送では、ティファニーのブレスレット・ウォッチや、Gショック・ラバーズコレクション、セリエAの有名選手のサイン入りウェアなどの高額商品の販売も行ったが、150万円にも上る高額商品にも注文が入るなど、好調な滑り出しを見せている。
 このほか、「supermall」のテレビ・コマーシャルを実施。テレビ・コマーシャルの中でホームページ・アドレスの告知を行う例はあったが、ホームページそのものを紹介するコマーシャルは、おそらく国内でははじめて。開設から3カ月を経て、「supermall」の知名度は徐々に上がっている。
 「supermall」の仕組みは、図表3に示す通り。インターネット上の最新の認証、課金、決済の各機能を活用している。

【図表3】「supermall」のサービスの流れ

 バーチャル・モールのほとんどが出店企業こどに顧客対応を行っている現状の中で、「supermall」は専任スタッフ3〜4人をそろえて、一元的に顧客からの要望や苦情に対応しているのが特徴。顧客の組織化や、顧客情報の収集・履歴管理も同社が担っており、将来的には、このデータベースをもとに顧客とのOne to Oneマーケティングを推進していきたい考えだ。
 一方で、バーチャル・モールの明確な性格付けを行う上で、モール出店企業の管理も同社の重要な業務となっている。たとえば、同じ商品をモール内の2店舗が異なる価格で販売している場合には、価格の調整などを行う。また各店舗のサービス・レベルを一定に保つために、販売方法などショップ経営のアドバイスのほか、コンテンツ制作支援サービスや、蓄積した顧客情報の分析に基づくコンサルティングも行っていく予定である。

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月刊『アイ・エム・プレス』1999年3月号の記事