世界最大のオフィス用品チェーン店が日本上陸!

オフィス・デポジャパン(株)

5年間で50店舗を出店予定

 オフィス・デポ社(Office DEPOT Inc.)はアメリカ・フロリダ州デルレイビーチに本社を構える、世界最大のオフィス用品チェーン店。1986年の設立以来、オフィスで必要とされるあらゆる製品を“エブリデイ・ロープライス”で提供し、顧客の支持を得て急成長してきた。98年2月現在、アメリカ国内には576店舗、カナダ、メキシコ、ポーランド、イスラエル、フランス、コロンビア、タイ、ハンガリー、そして東京・五反田にある日本第1号店を加えて657店舗を有し、店頭および通販を合わせた97年度の総売上高は67億ドルに上っている。
 オフィス・デポジャパン(株)は、広島県広島市に本社のある家電量販店、(株)デオデオ(旧社名:(株)ダイイチ)とオフィス・デポ社との業務提携により、96年5月に設立された。準備期間を経て、97年11月17日、まず東京23区内、および横浜市、川崎市での通信販売をスタート。続いて12月12日に東京・五反田店をオープンした。98年3月26日には広島・大手町店を開店し、同時に広島エリアでの通販もスタートさせている。
 五反田店が2,910平方メートル、広島大手町店が2,250平方メートルと、いずれも広大な面積の店舗には、オフィス家具、コピー用紙やコンピュータ関連のサプライ用品、パソコン、コーヒーなど、1万アイテムにおよぶさまざまな商品が整然と並ぶ。約150のメーカーとの直取引による大量仕入れで低価格を実現。国内有名企業の製品が大半を占め、輸入品の比率は15〜20%程度である。12本入りボールペンが99円、ゼムクリップ1,000個パックが269円といった、高品質・低価格を追求したオリジナル商品もあり、これらは全世界のオフィス・デポで共通に取り扱われている。
 営業時間は平日が午前8時から午後8時まで、土曜日が午前9時から午後8時まで。日曜日と祝日は、五反田店は午前10時から午後6時まで、広島大手町店は午前10時から午後8時までとなっている。
 同社では、今後5年間で3,000平方メートル規模の店舗を50店まで拡大し、全国の大都市圏を網羅する計画。また、コピーサービス、FAX送受信、スピード印刷などのサービスを提供するビジネス・サービス・センターにステーショナリー売り場を併設した新業態、「エキスプレス」を、同じく5年間で300店舗、出店する予定だ。

オフィス・デポ東京・五反田店

オフィス・デポ東京・五反田店

通販売上高は月ごとに倍に

 五反田店の開店に先立ち、同社では従業員100人未満の中小企業、および一部の外資系企業に対し、約5万部のダイレクトメールを送付。また開店後は、日本経済新聞に毎週のように全7段の広告を出稿したり、月2回の頻度でB3判のチラシを折り込んで、商品購入、カタログ請求、および店舗への集客を促進した。広告への反応は上々で、たとえば折り込みチラシを配布した週には、約3,500件のカタログ請求があるという。もちろん店頭にもカタログを備え、希望者が自由に持ち帰れるようになっている。
 すでに8万部を配布した同社の『Office DEPOT』カタログは、A4判、324ページのボリューム。パソコン以外のオフィス用品、約5,000アイテムが掲載されている。6月発行予定の第2号からは、やはりパソコンは除くが、店舗での取扱商品に匹敵する1万アイテムを掲載予定という。カタログは今後、年2回の頻度で発行される。
 一方、広島エリアで配布されているのは、店頭の売れ筋商品500種類、約1,500アイテムを掲載した特選カタログ。これは、媒体のテストという意味も兼ねており、第2号以降は首都圏同様、総合カタログを作成・配布していく予定だ。

 注文は、いずれもフリーダイヤルの電話とFAXで受け付ける。電話は月〜土曜日の午前8時から午後6時まで、FAXは24時間体制で受け付け。電話の場合は午後6時まで、FAXの場合は午後3時までの受注分を、翌営業日に配達する仕組み。金曜日の注文に関しては、土曜日か翌週月曜日、いずれかの配達希望日を聞いて対応している。配送料は2,700円未満の場合は300円、それ以上の購入については無料。
 各種問い合わせは、注文とは別のフリーダイヤル番号で月〜土曜日の午前8時から午後6時まで受け付けている。この受け付けスタッフはバイヤーとの連携を密にし、商品の詳細についての質問は折り返しバイヤーから電話をかけるといった対応がとられている。
 現在のところ、これらの電話、およびFAXはすべて東京・五反田のコールセンターで一括して受けている。コンピュータに入力された受注データは、首都圏からの注文の場合は横浜市にある約8,600平方メートルのデリバリー・センターに、広島エリアからのものは約6,900平方メートルある広島市のデリバリー・センターに自動転送される。商品はここでピッキング、梱包されて翌朝の出荷を待つわけだが、この作業には連日、真夜中までかかっているという。受注からピッキング、配送までが、すべて同社の社員によって担われている。
 支払いは商品引き換え時の現金、またはクレジットカード決済。だが、同社のVIP会員として社名、部署名、担当者名、住所、電話番号、FAX番号を登録しておけば、月末締め翌月一括払いの精算が可能だ。法人か個人事業主であれば、入会金・年会費不要で誰でも登録できる。
 米国では大企業にも、早々と始業前からトラックで店舗に乗り付け、大量に商品を購入してオフィスに運ぶという慣行がある。そのため店頭販売と通販の売上比率は約7対3というが、日本の場合は逆。客単価も店頭の約4倍に上っており、通販売上高は月度ごとに倍々ゲームで増えている。
 店舗展開に合わせて通販実施地域も拡大。同社では店舗、通販ともに全国展開が実現する5年後の売上目標として、1,000億円という数字を掲げている。

カタログ掲載商品は約5,000アイテム。第2号からは1万アイテムに拡大する予定だ カタログ掲載商品は約5,000アイテム。第2号からは1万アイテムに拡大する予定だ

カタログ掲載商品は約5,000アイテム。第2号からは1万アイテムに拡大する予定だ

日本経済新聞に掲載された全7段広告

日本経済新聞に掲載された全7段広告

“低価格110%保証”“30日以内返品OK”

 “エブリデイ・ロープライス”を裏付けるサービスとも言えるのが、同社が大々的にうたっている“低価格110%保証”。これは、同社から商品購入後、1週間以内に、その地域で同一商品が購入価格より安く販売された場合、それが掲載された広告、チラシ、カタログなどを同社に届ければ、購入価格との差額に10%分をプラスした金額がキャッシュ・バックされるシステムだ。
 同社が通販実施エリアを一気に全国に拡大せず、店舗展開に合わせて徐々にテリトリーを拡げる戦略をとっている理由は、ここにもある。価格相場は地域によって差がある。顧客に“最も安い価格”を保証しながら利益を確保するためには、地域ごとにきめ細かく価格を設定する必要があるのだ。米国の場合、エリアは60以上に区切られ、そのそれぞれに価格が定められているという。同一エリア内であれば店頭とカタログの価格は同じ。カタログではパソコンを取り扱わないのも、価格が安定していないために、カタログ有効期間にわたって低価格を保証できないからだ。
 一方、低価格と同様に同社がこだわる“高品質”に対する自信は、“30日以内返品OK”というサービスに表れている。万が一商品に満足できない場合も返金に応じる姿勢を明確にし、お客様に安心して商品を購入していただくためのシステムだ。
 世界各国で多くのユーザーの支持を得ている同社の進出は、日本企業にとって大きな脅威。オフィス用品通販の“常識”を大きく変える可能性をも秘めた同社の動向は、今後しばらく注目の的となりそうだ。

カタログでも「低価格110%保証」を大々的にアピール

カタログでも「低価格110%保証」を大々的にアピール


月刊『アイ・エム・プレス』1998年6月号の記事