ここでしか手に入らないものを
カルビー(株)はこの 10 月、主力商品であるポテトチップスをリニューアルした。素材や製造方法はこれまで通りだが、出来たての美味しさをユーザーに届けるため、賞味期限をこれまでの 4 カ月から 3 カ月に短縮。さらにパッケージに窒素ガスを充填して劣化のスピードを低下させた。それとともに、従来はパッケージの裏面にあった製造年月日と賞味期限を、表面への記載に改め、パッケージ全体のイメージも大きく変えた。
同社ではこのリニューアルを TV、新聞広告で大々的に告知すると同時に、インターネットのホームページを開設して認知を促進している。
8月に開設した同社のホームページ(http://xxx. calbee.co.jp/)のメニューは大きく 5 つ。①会社概要の「Company」、②商品のラインナップやポテトチップスの製造方法や栄養などを紹介する「About Article」、③オークションの「Let’s Try」、④北海道・美瑛町の契約農場「ポテトファーム」の情報やポテトに関する知識を紹介する「Be Potato」と、⑤1972 〜 73 年に大ヒット商品となった仮面ライダースナックのおまけの仮面ライダーカードを毎月 20 枚ずつ紹介している「Excite Exhibition」である。この中で集客の目玉になっているのが、同社ゆかりの品物が毎月 1 品ずつセリにかかる「Let’s Try」のコーナーだ。
この 11 月は、タレントの大沢たかお氏がポテトチップスのコマーシャル出演時に着たシャツがオークションにかけられている。10 月は同社がチームスポンサーになっている J リーグ「サンフレッチェ広島」高木琢也選手の公式ユニフォーム一式が 4 万 5,000 円で、9 月は「かっぱえびせん」のコマーシャルでタレントの竹野内豊氏が着たネルシャツが 3 万 5,000 円で、8 月は同社が長年にわたって活動を支援している冒険スキーヤーの和田好正氏が、アラスカから持ち帰った石が 5,100 円でそれぞれ落札された。
オークションが行われる「Let’s Try」のページ。月初めは前月の報告と次回予告が表示されており、半ばからオークションがスタートする
収入は寄付金に
毎月上旬は前月の落札の報告と次回予告が行われており、中旬にオークションを開始。月末の午後 10 時に締め切られ、その時点で最高値を付けた人に獲得の権利が与えられる。すでに登録されているより高い金額で商品を獲得する意志がある人は、画面に金額、名前、住所、E-mail アドレス、コメントなどを入力して、オークションに参加する。コメント欄には「大沢さんの大ファンなので、いくら払っても絶対にこのシャツがほしい」など、熱い想いが寄せられるという。オークションが終了すると、落札者にはまず E-mail で知らせが届き、追って手紙と郵便振替用紙が送られる。売上金は全額、日本盲導犬協会に寄付される。同協会から入金があった旨の連絡が入ると、カルビー(株)から落札者に商品が配送される仕組みだ。
毎回マニアックな品物が設定されるので、参加者数そのものはそれほど多くはない。トップページへのアクセスは1日に50〜100件、月に約2,500件だが、オークション参加者は月に延べ数十人といったところ。しかしオークションは新聞、雑誌などで紹介されることが多く、ホームページそのものの PR効果という点では大きな役割を果たしていると同社では見ている。現在は特にホームページを告知する広告は展開していないが、今後は商品パッケージを活用するなどして認知度を高めていきたいという。
現在のところアクセスした人のデータ収集は積極的に行っていないが、オークション参加者のみに限って言えば、20 〜 30 代の男女が主体。同社の主力商品であるポテトチップスのユーザーは中学生、高校生が圧倒的に多い。同社ではインターネットがこの層にまで広く利用されるようになる将来を睨んで、アプリケーション開発に取り組んでいきたいと考えている。