日本語でラクラク海外通販

バーゲンアメリカ

海外通販初心者はまずここへ

 グローバルな視野で安価な良品を探す−。海外通販を利用するなら、インターネットが最も手っ取り早い方法だ。しかしそのためにはまず、どの企業がどんな商品を販売しているのかを知らなければならない。不慣れな英語を使って目指す商品にたどり着くのは、決して容易なことではない。そんな時に力強い味方になってくれるのが、日本人のために米国の通販企業を紹介するホームページ「バーゲンアメリカ」(http://www.bamerica.com)である。利用者はこのホームページを開くだけで、米国の信頼できる通販会社を多数見つけることができ、日本語の説明を読んで納得、理解した上で、直接コンタクトをとればよい。
 バーゲンアメリカの開設は 1995 年 10 月。「日本の顧客に誠意をもって商品を届けること」を条件に契約書を交わし、「バーゲンアメリカ」のテナントとなった米国通販企業のホームページとリンクを張ったショッピングモールとしてスタートした。その後、利用者から寄せられた要望をもとに、有料、無料のカタログ請求のメニューを増設。同社が開発した電子メール出版システムを用いた「バーゲンアメリカマガジン」を含め、計 4 つのサービスメニューが用意されている。
 ホームページの告知は、「Internet Magazine」に定期的に広告を出稿しているほか、コンピュータ、海外通販関連の雑誌と新聞などのパブリシティで行っている。アクセスは 1 日当たり数千件。参加している企業からは、本国の約倍の客単価が上がる日本人顧客からコンスタントなアクセスが得られると、大変好評。現在参加企業は約 150 社であるが、年内には 200 社になる見込みである。

米国 通販企業の豊富なカタログの中から、自由に選択、オーダーできる

米国通販企業の豊富なカタログの中から、自由に選択、オーダーできる

「バーゲンアメリカ」のトップページ。日本語で海外通販が楽しめる

「バーゲンアメリカ」のトップページ。日本語で海外通販が楽しめる

米国企業と日本人顧客の橋渡し

 オンライン・ショッピングのテナントは現在 52 店舗。ホームページには取扱商品ジャンル別に店舗のリストが表示されている。ジャンルを選択すると各店舗の説明が日本語で示され、利用者はそれを読んで好きな店舗を選び、その企業のホームページにジャンプできる仕組み。バーゲンアメリカは店舗からテナント料だけを徴収するというリンク型のショッピングモールなので、金銭取引や商品の受け渡しは利用者とテナントの間で直接行われ、同社は一切関知しない。
 契約条項にはないが、同社では日本人利用者のために日本語の注文フォーマットを用意するよう、テナント各社に要請している。今のところ約半数が日本語の説明を読みながら注文できる体制を整えている。トラブルの解決も原則的には利用者と店舗が直接行うことになってはいるが、過去には同社が仲裁した例もあったという。
 今年 7 月にスタートした、カタログを無料請求できる「カタログ・リクエスト・システム」には現在、 REI、スミソニアン博物館、カリフォルニアゴールド、マイクロウェアハウス、ロス – サイモンズ、ブロック&ジョンズなどが提供する 25 種類のカタログが用意されており、発行会社とカタログの説明を日本語で読むことができる。このサービスは E-mail で寄せられた「カタログを取り寄せるサービスをしてほしい」という二人の利用者の声からはじまった。カタログ希望者は好きなカタログを何冊でも選び、住所、氏名、年齢、性別を英語で入力して「OK」ボタンを押すと各社にリクエストが送信され、後日各社から直接カタログが送られてくるという仕組み。バーゲンアメリカはリクエスト件数に応じて各社から手数料を徴収する。このサービスでは、参加企業はある程度リクエストの件数がまとまってからバルクメールで送付する場合がほとんどだ。したがって通常カタログが届くまでに、2〜6 週間かかるという。
 一方、8 月にスタートした、有料でカタログをオーダーする「カタログ・エクスプレス」は、平均 4 日でカタログを届けるというスピードが“売り”。こちらはあらかじめバーゲンアメリカが各社からカタログを取り寄せ、ストックしておき、発送を代行している。現在、カタログ自体は無料のものから 10 ドルまで、62 種類を取り扱っており、利用者はこの価格と 1 回につき 5 ドルの送料を負担すればよい。請求方法はオーダー欄に住所、氏名、年齢、性別とクレジットカード番号を日本語で入力する。「オンラインで発注するのは不安だ」という声があったため、 FAX でも請求できるシステムを整えた。「カタログ・エクスプレス」へのカタログ請求は、平均 4 冊。1 日に 100 冊以上のオーダーがある人気カタログも少なくない。
 目下、注目を浴びている商品・カタログは、スニーカーなどのシューズ類。ほかにプロ級のスポーツ用品やフライトジャケット、ミリタリーウェアなども人気だ。米国ではプロしか身につけないようなマニアックな商品も、日本ではファッション・アイテムとして受け入れられ、ごく一般の人々が買い求めるのだという。

バーゲンB バーゲンC バーゲンA

 最新の個人輸入情報を無料で月 1 回、E-mail で届ける「バーゲンアメリカマガジン」の購読者数は約 1 万人で、1 日 100 人の割合で増えている。新規に取り扱いを開始したカタログや、おすすめ商品の紹介が中心で、利用者から E-mail で寄せられる質問や要望をヒントにした個人輸入に関する特集を組む場合もある。同社ではバーゲンアメリカ認知促進の口コミ効果を期待して、内容を変えない限り、購読者から友人・知人への「マガジン」の再配信を奨励している。今後は参加企業から利用者への広告媒体として活用していくことも考えているという。

インターネットで日用品を買う時代

 バーゲンアメリカでは今年 8、9 月に「カタログ・エクスプレス」にアクセスした約 1,000 人のプロフィールを調査。その結果 、「インターネット・ショッピング利用者は“家庭思いのパパ”」であると分析している。
 利用者の男女比は女性 26.5%、男性 73.5%。年齢は 25 〜 34 歳で全体の約 50%を占め、20 代が中心であると言われている日本のインターネット・ユーザー全体と比較するとやや高めになっている。未既婚の別では、既婚者が 57%であった。職業別では情報機器関連が 30.8%、次いで製造業が 22.1%と、コンピュータに馴染み深い職業に就いている人が圧倒的に多いと推測できる。その彼らがオーダーしたカタログをジャンル別に集計すると、おもちゃ、スポーツウェア、家具・インテリアの順に多かった。
 「コンピュータやインターネットに馴れた人たちの中で、コンピュータ関連商品ばかりでなく、日用品もインターネットで購入したいという要望が高まっているのではないか」と同社代表のトム・サトウ氏は分析する。
 バーゲンアメリカはまだまだ新しい可能性を秘めている。12 月にはクリスマスを意識し、テナントを巻き込んだプレゼント企画を予定。「サイトで単品の品物を売りたい」という企業のために、「バーゲンアメリカ」のショップを出店することも計画中だ。


月刊『アイ・エム・プレス』1996年12月号の記事