コンタクトセンター最前線(第64回):警備業に欠かせないいつでも、迅速なサービス提供を目指し365日・24時間有人対応のコールセンターを開設

綜合警備保障(株)

綜合警備保障 (株)では社会の安全確保に貢献することを経営理念に掲げ、さまざまなセキュリティサービスを提供している。同社では、警備会社の「いつでも」と「迅速」というイメージを資料請求や問い合わせを受け付けるALSOKテレホンサービスセンターにも具現化。365日・24時間のコールセンターを構築し、応対においても迅速をモットーに、日々取り組んでいる。

情報提供とリード獲得を担う営業支援拠点として稼働

 綜合警備保障(株)は、法人および個人を対象にセキュリティサービスを提供する警備会社である。主な業務内容は、機械警備、常駐警備、警備輸送、綜合管理・防災の4つ。中でも機械警備は通信技術とハイテクノロジーにより構築された集中管理システムによる警備システムで、オフィスはもちろん一般の住宅にもサービスを提供している。
 警視庁が発表した「平成17年上半期の犯罪情勢」によると、侵入窃盗、侵入強盗の発生件数はここ数年、高水準で推移。また、増加を続ける犯罪に対し、 検挙件数は低迷している。その後も犯罪は沈静化することなく、年々凶悪化する中、国民の治安に対する不安は増大。安心して暮らせる日常を求めて、ホームセキュリティへの関心が高まっている。とはいえ、ホームセキュリティの普及率は全国4,900万世帯のわずか1%にすぎない。
 まだまだ開発の余地が大きい未成熟な市場であることから、近年同社では営業力とサービスラインナップの強化に注力している。2003年3月に携帯型専用端末機を使用した位置情報検索・ガードマンによる現場かけつけサービス「あんしんメイト」 、2004年11月に月々4,000円からと低価格ながら高品質なホームセキュリティシステム「ALSOKホームセキュリティ7(セブン)」を発売した。さらに2005年11月には、多様化する市場のニーズを反映させた多機能型ホームセキュリティシステム「ALSOKホームセキュリティX7(エックスセブン)」の販売を開始し、個人市場に向けて積極的な営業を展開している。
 ホームセキュリティの営業活動において大きな役割を果たしているのが、ALSOKテレホンサービスセンターである。現在、同センターは、リードの獲得を担う営業支援拠点として、日々活躍している。

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テレビ、新聞、Webサイトなど、さまざまな媒体を活用して広く告知している

コンタクト阻害要因を排除し電話しやすい環境を整備

 同センターの具体的な業務内容は、テレビCMやインフォマーシャル、新聞、Webサイト、各営業拠点が独自に配布するツールなどを見て、ホームセキュリティに興味を持ったお客様からの問い合わせ対応および、資料請求の受け付けである。さらに、獲得したリードを全国の営業拠点につなぐことも大切な業務となっている(図表1)。

200703最前線図表1

 ホームセキュリティサービスは、百貨店などでは直接販売していない。また、お客様がホームセキュリティを契約するに当たっては、住宅環境など込み入った話をすることもめずらしくない。始めから詳細を営業担当者に話すとなると、お客様は契約しなければいけないのではないかと不安を抱き、問い合わせることすら躊躇する可能性がある。そこで、同センターがお客様と営業拠点の間に入り、ファーストコンタクトを行うことでこれを回避しているのだ。ちなみに同センターでは、お客様が資料請求などを希望した段階で最寄りの営業拠点に引き継いでいる。
 このほか、気軽にコンタクトしてもらうための工夫として、NTTコミュニケーションズのフリーダイヤルサービスを利用している。フリーダイヤルは認知度が高い。ひとりでも多くのお客様からの問い合わせを望む同社では、お客様の負担を軽減して電話を掛けやすい環境を整備しようと、着信課金のフリーダイヤルを導入したのだ。
 さらに、365日・24時間の受付体制を敷き、お客様がいつでも思い立ったときにコンタクトできるようにしている。

警備会社の「迅速」なイメージを問い合わせ窓口にも反映

 受け付けに当たるのは、総勢40名のオペレータたち。IVR(自動音声応答)は使用せず、午前9時から午後6時まで、午後6時から午後11時まで、午後11時から翌午前9時までの3交替制による24時間有人対応を実施している。
 資料請求や問い合わせは緊急の用件ではない。それをあえて365日・24時間の有人対応を採用した背景には、警備会社としての企業イメージがある。
 同社では、ALSOKテレホンサービスセンター以外に、365日・24時間で異常事態の発生を監視するガードセンターがある。ガードセンターでお客様の施設などに設置したセンサーの異常をキャッチすると、監視員が迅速かつ適確な判断で指示を下し、ガードマンが現地に急行。緊急対処を行うというフローになっている。同社にはいつでも、そしてスピーディーに対応するイメージがあることから、このイメージを損なわないよう、ALSOKテレホンサービスセンターもガードセンターと同様に、365日・24時間の受付体制を敷いているのである。
 同社では、ガードセンターは自社で運営しているが、ALSOKテレホンサービスセンターの運営はテレマーケティング・サービス・エージェンシーの(株)東京テレマーケティングへアウトソーシングしている。それには2つの理由がある。ひとつは、個人ユーザーへの対応は、きめ細かさや丁寧さが求められるなど、特殊なスキルを要すること。もうひとつは、コールセンターを運営するために必要なコール予測やスタッフィングのノウハウがなかったことである。こうした理由から、電話対応のプロに高品質な対応を行ってもらうことが得策と考えたのだ。

ALSOKセンターphoto

日中と夜間は大半が女性オペレータで、深夜は男性オペレータが対応に当たる

法人対応と異なる個人対応の難しさとは

 ALSOKテレホンサービスセンターのモットーは、“迅速な対応”である。例えば、資料請求受付の場合、電話を切った後に受付票を作成し、担当部門へ即日伝達しているが、同センターでは1日分の受付票をまとめて処理するのではなく、受け付けの都度、送っている。お客様もスピードを求めているため、少しでも早く資料が手元に届くよう最善を尽くしているのだ。
 また、同社では「安心」と「安全」という目に見えない商品を扱っているだけに、お客様対応の難易度が高いところがあるという。特に、セキュリティに関心の高いお客様は、資料請求においても個人情報を提供することに敏感だ。住所は公表しても電話番号は教えたくないというお客様からは無理に聞き出そうとせず、柔軟に対応している。
 さらに、実際に空き巣の被害にあった、あるいは近所で空き巣に入られたお客様が問い合わせてくるケースもある。この場合、お客様は不安を抱えているので、話を聞きながらこれを払拭することが必要だ。こうした点が法人対応とは異なると同時に、対応の難易度を高めていると言えよう。

課題はオペレータ育成

 個人のお客様への対応の難しさを踏まえた上で、同センターが日々の応対で留意している点は、お客様の希望を聞き出すこと。お客様にうまく質問を投げかけてニーズを引き出す力は、経験を積むことで養われていく部分が大きい。
 現在、同センターに寄せられるコール数は1カ月当たり約1,000件。大半が日中と夜間に寄せられており、深夜のコールは少ない。そのため深夜のオペレータは、昼間のオペレータより経験を積むのに時間がかかってしまうのが実際のところだ。 そこで、同センターではコールを全件録音し、新人レベルは1日1件、中堅レベルは週1回というようにスキルに応じた頻度でモニタリングを実施。品質の均一化を図っている。
 また、複数のサービスに対応できるマルチオペレータの育成に数カ月を要している点も解決したい課題である。
 課題解決に向けて同社が考えた施策は、ナレッジマネジメントシステムを構築すること。FAQのスピーディーな検索・閲覧を可能にすることで、オペレータの負担を軽減しようと考えているのだ。
 もうひとつの施策は、用件別のオペレータ・グループを構成すること。用件やサービスに応じてオペレータをチーム分けすれば、研修内容が特化され、ひとり立ちまでの期間を短縮することができる。

より多くのコールを逃さずキャッチ

 同社のホームセキュリティシステム「ALSOKホームセキュリティ7」や「ALSOKホームセキュリティX7」は、手頃な価格と長年にわたり法人向けに提供してきた高品質のサービスをそのまま家庭に提供している点が高い評価を受け、発売以降、着実に契約を獲得。契約の伸び率も向上している。2006年3月末には22.3%の伸び率を記録。2007年3月末も同様の伸び率が見込まれている(図表2)。

200703最前線図表2

 今後同社では、より多くの問い合わせや資料請求を募っていく意向。一方、ALSOKテレホンサービスセンターでは、寄せられるコールを逃すことなくキャッチしていきたいとしている。


月刊『アイ・エム・プレス』2007年3月号の記事