コンタクトセンター最前線(第19回):公社化に伴い相談センターを刷新 新しい受付体制でスタート

日本郵政公社

この4月、日本郵政公社が発足した。 公社化に伴い、各事業ごとに設けられていたコールセンターはどのように変化したのだろうか? 重要な顧客接点のひとつであるコールセンターの現状と今後の展開について話を聞いた。

「お客さま相談センター」を新設

 日本郵政公社におけるコールセンターの新受付体制を紹介する前に、郵政省時代のコールセンターについて簡単に説明しよう。
 旧郵政省では、1997年6月から8月にかけて順次、「郵便サービス案内センター」「郵便貯金電話案内サービス」「簡易保険電話案内サービス」の3つのサービスをスタート。各業務ごとに異なるフリーダイヤル番号を設け、全国の生活者および法人からの問い合わせに対応してきた。
 受付拠点は、全国の各支社や事務センター内などに設置。フリーダイヤルの付加サービスのひとつである「全国共通番号サービス」を利用し、発信地域の最寄りの拠点に着信させることで、コストを最小限に抑えながらもお客様満足度を高める受付体制を構築していた。
 そしてこの4月に公社化を迎えるに当たって、より一層、お客様の利便性を向上させ満足度を高めようと、さらにもうひとつのコールセンターを新設。既存のセンターとの位置付けを明確に分け、新たな受付体制を構築した。
 新コールセンターの名称は「お客さま相談センター」。この前身となったのが、旧郵政省が全国12カ所に設けていた「郵政相談所」である。郵政相談所は、3事業に関する問い合わせを一括して受け付ける窓口として1966年に開設。各事業に特化した3つのコールセンターが開設された後には、それらのコールセンターと一線を画し、すべての相談を受け付けるセンターとして位置付けられていたが、今回の公社化を機に、より一層機能の充実を図るべく、新たな体制で再スタートをきることになったのだ。
 NTTコミュニケーションズのフリーダイヤルサービスを導入し、「お客さま相談センター」を3事業のコールセンターを代表する日本郵政公社の顔として明確に位置付けたことが、大きな変化と言える。公社が目指しているのは、ユニバーサルサービスを確保しつつ、民間企業的な経営手法を導入しながら、効率的な経営やより良いサービスを実現していくこと。そのためには、これまで以上にお客様の声に耳を傾け、信頼の礎をさらに確かなものにしていかなければならない。また、新しい価値を創造し、常に進化していくためにも、フリーダイヤルの導入をはじめとする受付体制の強化は不可欠の施策と言える。
 日本郵政公社の顔としてお客さま相談センターを位置付けたことにより、 受付体制は次のように変化した。
 従来は3事業の各コールセンターをお客様が用件に応じて選択するかたちだったが、現在では、お客さま相談センターにおいても3事業すべての問い合わせや意見・要望を受け付け、専門的な案件については各事業部へ引き継ぐ仕組みを採っている。
 お客さま相談センターには電話を転送するシステムを装備していないため、引き継ぎは各コールセンターのフリーダイヤル番号をお知らせするか、お客様の電話番号を伺っていったん電話を切った後、適切な部署からかけ直すという方法で対応している。

0307-a1

事業別に独立した受付体制を構築

 では、各コールセンターの受付体制を見てみよう。
 まずお客さま相談センターは、全国13カ所に設置されている。前述の通り、電話受付窓口には、全国共通のフリーダイヤル(0120-087472)を利用し、発信者の最寄りのお客さま相談センターで応対している。
 コミュニケータ数は、全国で約60名。地域によって専任のスタッフを置いているセンターもあれば、ほかの業務を兼務するセンターもある。
 受付時間帯は、月曜日から金曜日の9時から17時までで、土日・祝日は休業。コールセンターシステムは導入せずに、一般のビジネスホンで対応しており、ペーパーベースの応対資料を使用している。
 また、電話以外のチャネルとしては、インターネットを活用。ホームページ上で問い合わせを受け付けている。
 次に、郵便サービス案内センターは、全国14カ所の郵便局に設置されている。電話受付窓口には、全国共通のフリーダイヤル(0120-232886)を利用。受付時間帯は月曜日から金曜日が8時から20時まで、土日・祝日が9時から17時までとなっており、年中無休でお客様からの問い合わせや意見などを受け付けている。コミュニケータ数は、全国で約100名。こちらも特別なシステムは使用しない、シンプルなセンターとなっている。
 また、電話のほかに、FAX情報サービスとインターネットでも情報を提供。受付時間外のサービス提供や電話の混雑解消に役立てている。
 そして、郵便貯金電話案内サービスは、全国の貯金事務センターおよび沖縄事務所の計36カ所に設置されている。ほかのセンター同様、電話受付窓口には全国共通のフリーダイヤルサービス(0120-108420)を利用している。受付時間帯は、月曜日から金曜日までの8時30分から18時までで、土日・祝日は休業となっている。コミュニケータ数は約200名で、4つのセンターの中では最も規模が大きい。
 郵便貯金電話案内サービスに限っては、東日本地域のみではあるが、2003年1月よりCTIを導入した。相談対応用の各種業務資料やQ&A集をデータベース化し、電話システムと統合。コミュニケータは、専用端末で必要なデータを検索・閲覧しながら対応に当たっている。西日本地域についても、今後、順次導入していく予定。同公社では、できるだけ早く導入したいと考えている。
 電話のほかには、郵便と同様にFAX情報サービスでサービスや商品の情報を提供。また、インターネットも活用している。
 最後に、簡易保険電話案内サービスは、全国7カ所にある簡易保険事務センターに設置されている。この受付体制はほかと少し異なる。沖縄にかんぽコールセンターを設けて、北海道と四国を除く地域からの問い合わせを一括対応しているのである。ここで回答できない個々の契約に関する問い合わせなどについては、仙台、東京、岐阜、京都、福岡の5カ所の簡易保険事務センターに振り分ける仕組みだ。ただし北海道と四国は沖縄を経由せず、直接、最寄りの地域からの問い合わせを受け付けている。
 かんぽコールセンターの受付時間帯は、月曜日から金曜日の9時から21時までと、土日・祝日の9時から17時まで。簡易保険事務センターは月曜日から金曜日の9時から17時までで、土日・祝日は休業となっている。
 コミュニケータ数は、全国で約70名。このうち30名が沖縄のコミュニケータで、派遣スタッフを起用している。
 電話以外には、TEL&FAX情報サービスで各種手続きの案内を行っているほか、インターネットを活用している。

全国で月に約33万件のコールに対応

 各コールセンターの告知媒体には、ホームページ、 広報誌、NTTのタウンページのほか、各事業部で作成しているパンフレットやポスターを活用している。また、全国の郵便局でもフリーダイヤル番号を掲示したり、窓口にフリーダイヤル番号を記載したパンフレットを置くなどしている(資料1)。

0407-a資料
告知媒体1-2 告知媒体2 告知媒体3

【資料1】告知媒体の数々

 各コールセンターの、1カ月当たりの受付状況は以下の通り。
 まず、お客さま相談センターに寄せられるコール数は、全国で約6,500件。中でも多い問い合わせは、郵便番号や料金の案内、書留郵便物や郵便小包の追跡照会となっている。やはり利用件数の多い郵便サービスに関する問い合わせが最も多くなっている。
 次に、郵便サービス案内センターに寄せられるコール数は、全国で約16万8,000件。問い合わせ内容は、郵便番号や料金の案内、書留郵便物や郵便小包の追跡照会に加えて、集荷や転居に関する相談などが多く寄せられる。
 そして、郵便貯金電話案内サービスに寄せられるコール数は、全国で約14万件で、規模としては郵便サービス案内センターとほぼ同じ。問い合わせ内容の多くは、郵便貯金の取扱内容や制度に関するものとなっている。
 最後に、簡易保険電話案内サービスに寄せられるコール数は、全国で約1万3,000件。具体的な問い合わせ内容は、特約の支払い手続き、加入商品の保障内容、各種商品の問い合わせとなっている。
 すべてのコール数を合計すると、1カ月当たり約33万件の問い合わせに対応している計算になる。このような大量のコールに迅速かつ的確に対応するためには、コミュニケータの教育が欠かせない。同公社では、各センターごとに外部講師を招いた集合研修や、本社から資料を取り寄せて独自に研修を行うなどして、応対品質の向上に努めている。
 特にお客さま相談センターでは、応対話法と併せて苦情対応の研修にも力を入れているという。同センターへは郵便局で解決に至らなかった苦情が寄せられることも多く、その対応は非常に難しいためだ。

サービス改善のヒントとして活用

 新しい価値を創造し、常に進化していくためには、お客様の声を収集するだけでなく、活用することが重要だ。各事業に関することから日本郵政公社全体に関することまで、ありとあらゆる声が寄せられるお客さま相談センターでは、収集したお客様の声を各事業部と共有することに努めている。ほかの3つのセンターについては、各事業にかかわる意見・要望が寄せられるため、これを速やかにサービス改善につなげるように努めているという。
 また、各センターで収集したお客様の声のエッセンスを抽出し、経営幹部に報告。全社的な情報共有に努めているという。

より多くの声の収集とスピーディーな情報共有化を目指す

 すでにお分かりのように、現在、各事業によって導入しているシステムが異なる上、事業ごとに必要な項目が違うために、情報を記録するフォーマットは統一されていない。今後、同公社ではこれらを統合し、総合的な情報の共有化を検討し始めている。本社で正確に各事業の状況を把握することにより、経営に役立てていきたいとしている。今はそのための方法を模索しているところだ。
 最後に、今後の取り組みについて話を聞いた。
 同公社では、今まで以上に多くの声の収集に努めていきたいとしている。具体的な収集方法については、郵便局モニター制度の見直しやアンケート調査の実施を検討しているところだ。そして、集めた情報を迅速にサービスや業務の改善につなげていきたいとしている。
 民間企業の参入でより厳しい条件での事業展開を迫られている中、お客様に選ばれるサービスを提供していくためには、声を収集し、いかに活用していくかが重要な課題。新体制でスタートをきったばかりの同公社の取り組みの、今後の展開がますます期待されるところである。

0407-aサイト

【資料2】ホームページ画面。トップページの「ご意見はこちらへお寄せください」という文字をクリックすると、問い合わせ窓口の入り口へジャンプ。用件に応じて窓口を選択すると、フリーダイヤル番号や受付時間帯、インターネットによる相談などが表示される


月刊『アイ・エム・プレス』2003年7月号の記事