筑波大学サービス科学シンポジウムに参加して

2009年3月20日

今週は『CRM年鑑2009』の印刷入稿と校正が何とか完了、
また、かねてより依頼されていた某勉強会での
ネットスーパーについての講演も終了し、ちょっとひと段落。
でも、それを良いことに、昨日は朝から晩まで、
セミナーやら勉強会やらに参加してしまったので、
結局のところ、この三連休は仕事の山をかかえることになってしまった。[[pict:horori]]
昨日、参加したセミナーのひとつは、筑波大学サービス科学シンポジウム。
テーマは、「文理融合型サービス・イノベーションの時代
—効率性・効果性のサイエンスと統合のアート」。
一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 准教授 藤川先生による
「サービス・ドミナント・ロジック:価値共有の最前線」、
(株)アサツー ディー・ケイ クリエイティブ開発室 室長
染谷さんによる日本ハムファイターズにおけるファン作りの事例の
2つの基調講演に加えて、筑波大学大学院の先生方による2つのセッション、
そして、月刊『アイ・エム・プレス』コメンテーターでもある
ウィトンアクトン社 代表取締役のルディーさんを交えての
パネルディスカッションと、計5つの講演が行われた。
基調講演の講師である藤川先生には、数年前に弊誌が主催した
CRMソリューションセミナーの基調講演をお願いしたことがあるのだが、
最近はサービス・ドミナント・ロジックに関する講演をされているようだったので、
かねてより、一度、受講してみたいと思っていた。
先生によると、サービス・ドミナント・ロジックとは、
モノとサービスを区別しない。
すなわち、サービスを「モノ経済の特殊形」と見るのではなく、
モノを「サービス経済の一形態」ととらえる視点であり、
そこではお客様との「価値共創」が重要になるとのこと。
そして、顧客と価値を共創するプロセスをデザインするに当たっては、
顧客との接点をどのように形成するか、
購買時だけでなく、購買前、購買後の接点をどう創造するか、
各接点において、顧客にどのような役割を担ってもらうか、
が重要とのことであった。
藤川先生の基調講演の後半では、
スポーツ・シューズメーカーによるユーザーのランニングのサポート事例や、
自動車メーカーなどによる商品のカスタマイズ事例、
医療機器のメーカーによる患者データのトラッキング事例、
建設機械メーカーによる建設機械の使用状況のトラッキング事例など、
国内外のさまざまな事例を紹介。
最後は実務家、研究者それぞれに対する問いかけで、講演を締めくくられた。
実務家に対する問いかけは、皆さんはお客さまと「価値共創」していますか?
というものだったのだが、これに釣られてふとわが身を振り返ると、
月刊『アイ・エム・プレス』誌上とネット上に読者の感想を尋ねる仕組みを設けたり、
メールマガジン「I.M.Express」を配信して感想の返信を促進したり、
連載執筆者などを講師に迎えての読者参加型イベント「Live!」を開催したりと、
価値共創のための機会こそいろいろ設けているものの、
ともするとその仕掛け自体のオペレーションにてんやわんやで、
その上で行うべき価値共創がなおざりになっているのではと反省仕切り。
手段が目的にならないよう、もう一度これらの活動の意義を振り返り、
業務プロセスを見直さなくてはならないと痛感した。