元旦の新聞より

2008年1月1日

あけましておめでとうございます。[[pict:kadomatsu]]
「通勤電車」は2005年1月4日にスタートしたので、
あと3日で3歳のお誕生日を迎えます。
この3年間にアップしたブログは570件。
このところ忙しさにかまけ、
更新頻度が下がりがちではありますが、
今年もがんばって継続しますので、
どうぞよろしくお願いいたします。
[[pict:kagamimoti]]
※写真は、我が家のベランダから見た元旦の富士山。
(小さくてよく見えないかもしれませんが・・・)

元旦の新聞を見て、つくづく思ったことがある。
それはこれまでにも何度となく「通勤電車」に書いたことだが、
インターネットのマーケティング活用が進む中で、
ダイレクトマーケティングがどんどん活発化しているということだ。
日本ではインターネット・マーケティングの世界と、
従来からのダイレクトマーケティングの世界が
異文化として並存している感があるが、
以下のように考えると、それがいかに近しい世界かがわかる。
1月1日の日本経済新聞の第二部・11面に
「ネット、双方向を駆使」という記事が掲載されていた。
①「広告、精度高く 行動や位置にも連動」、
②「会話に即し広告 口コミで信頼性 電話の声も認識」、
③「ブログ・SNS賢く利用 実名で正確な情報」の
3つのコンテンツで構成される特集記事だ。
①では、検索連動型広告に続いて、行動ターゲティング広告や
位置情報連動型広告の普及が進んでいることに言及。
②では、SNS内で繰り広げられる友人同士の対話内容に応じた広告表示や、
ネット電話での会話を音声認識技術で解析し、
同様の広告表示を行う仕組みに言及。
そして③では、ブログやSNS、さらには「セカンドライフ」に代表される
仮想空間サービスに言及している。
③はコンテンツ連動型広告と言い換えてもいいだろう。
つまり、単なるバナー広告にはじまったネット広告の仕組みが、
今やネット広告市場の4分の1に達するという検索連動型広告へ、
そしてコンテンツ連動型広告や行動ターゲティング広告、
さらには位置情報連動型広告へと進化しているわけだ。
これをアナログメディアによる双方向の仕組みに置き換えてみると、
バナー広告がTVや新聞などマス媒体のレスポンス広告に近いのに対し
(コンテンツやターゲットを絞り込んだ専門型サイトのそれは、
クラスメディアである雑誌広告のようなものか)、
それ以外のネット広告は、ターゲットの属性や行動履歴に基づき
広告が配信されるという意味で、パーソナルメディアである
DMやテレマーケティングに近い。
例えば、行動ターゲティング広告は、「○○のキャンペーン応募者」
「××の資料請求者」などの外部リストを対象にした
DMやアウトバウンド・テレマーケティングのキャンペーン。
そして、位置情報連動型広告は、特定地域の居住者を対象とした
DMやアウトバウンド・テレマーケティングのキャンペーンか。
もちろん、インターネットはデジタルメディアだけに、
従来からのアナログメディアでのそれとは様相が異なっている。
まず、従来は収集できなかったターゲット顧客の
アクセスログや位置情報が収集できるようになったことで、
ある意味、広告の“精度”が高まっているわけだし、
かつては膨大な手間とコストを要した対象の抽出や配信作業が瞬時に、
かつ低コストでできるようになったからだ。
確かに、位置を軸にした対象の抽出ひとつをとってみても、
従来は「△△に住んでいる人」というアプローチが関の山だったものが、
今では「今、□□にいる人」に広告を配信できるというのは
まさに画期的なことだと言えるだろう。
しかし、こうしたパーソナルメディアによる企業側からの
プロアクティブな広告配信は、常にプライバシー問題と背中合わせだ。
以前にもご紹介したように、ダイレクトマーケティングの先進国である米国では、
テレマーケティングに続いて、DM、eメールの規制が強化されつつあるが、
これらに加えて、消費者が行動履歴の収集を一括で拒否できる
第三者機関も設立されているという(日本経済新聞)。
こうした動きが日本にもやってくるのは、もはや時間の問題だ。
インターネットのおかげで企業の選択肢は一気に広がったが、
単なるカタチだけの双方向を追求していたのでは、
いつしか顧客や見込客から見放されることにもなりかねない。
なぜなら、インターネットは企業と同様、お客様の選択肢も広げ、
かつ(企業に対して)物言うお客様を増加させてもいるからだ。
月刊『アイ・エム・プレス(I.M.press)』の誌名は、
“Interactive Marketing(双方向マーケティング)”の頭文字を取ったものだが、
弊誌では2008年も、単なるカタチだけの双方向性ではなく、
新旧のチャネルやメディアを通したお客様との関係づくりに注目し、
企業事例や調査結果、そして実務家の経験知などを通して、
双方向マーケティングを巡る“事実”をお届けしていきたいと考えている。