スタイライフ㈱岩本社長インタビュー

2006年11月3日

先週は、スタイライフ㈱の岩本社長にトップインタビューを行った。
スタイライフは、女性向けファッション誌「Look!s」を発行する傍ら、
同誌上およびPCインターネット、モバイルインターネット上で
女性向けファッションの通信販売を展開する企業。
雑誌の売り上げと通信販売、および広告収入により、
2005年度で35億8,800万円の売上高を達成している。
同社の最大の特色は、アナログとデジタル双方の通信販売を展開していること。
しかもアナログでの通販展開には「雑誌」を活用しており、
これを書店等で販売することを通して、新規顧客を開拓している。
つまり、アナログ通販において売上高の25%程度を要すると言われる
媒体費の一部を顧客に負担してもらっているかたち。
既存のアナログ系出身の通信販売会社でも
カタログを書店等に置いている企業はあるが、
これらの企業のカタログは無料配布であったり、
有料であっても、顧客から回収したコストは
すべてカタログの流通コストに充てられているそうだ。
2つ目の特色は、ブランド物のファッションを取り扱っていること。
一般に、店舗で取り扱っているブランド物のファッションは、
原価率が60~70%と高いことから、
25%の媒体費を要する従来型のアナログ通販で取り扱うのは困難だが、
これを可能にしているのが販売コストが低いネット通販であり、
かつ、前述の雑誌販売を通した媒体コスト回収の仕組みである。
また、従来、ファッション性の高いアパレルは、
見て、触って、試着した上で購入したいという生活者が多いため、
通信販売での取り扱いは困難だと言われてきたが、
同社が取り扱っているのは女性誌等を通してブランドが確立した商品が主体。
顧客はあらかじめブランドを熟知していることから、
安心してリモート・ショッピングを楽しめるというわけだ。
3つ目の特色は、雑誌からネットへという顧客の動線。
同社の顧客層を媒体ごとに見ると、雑誌が20代前半主体であるのに対し、
ネットの顧客は30代が中心で、ネットの普及に伴い高齢化する傾向にあるという。
同社ではこうした傾向を受けて、媒体ごとに品揃えを差別化。
多くのアナログ系通信販売会社が「複数チャネルでの購入者=優良顧客」
との仮説に基づきマルチチャネル販売を推進している中、
同社においては、雑誌を卒業した顧客がネットに移行する構造になっている。
ただし、これはあくまでも販売チャネルという意味であり、
受注チャネルにおいてはネットが大半を占めている。
目下、岩本社長の悩みは、株式市場におけるアナログ系通販企業への評価が
ネット系通販企業に比べて低いこと。一方、一部のブランド物メーカーの中には、
ネット系企業には商品は卸さないといった差別的な意識もあるようで、
世の中のネットへの評価はまさにさまざまといったところか。
以上、岩本社長へのインタビューの雑感をご紹介した。
インタビューの詳細は、月刊「アイ・エム・プレス」1月号をお楽しみに。