コラボレーション型のコールセンターはいかが?

2008年1月19日

昨日は、ダイレクトマーケティング学会の分科会で、
(株)ワコール 宣伝部 Web・CRM企画課 課長の大藪さんと、
(株)もしもしホットライン プロジェクト&ソリューション
担当部長の森さんの講演をお伺いしてきた。
大藪さんの講演テーマは、「メーカーにおけるCRMとは?
~ワコールでの活動を通して見えてきたこと」。
ワコールにおけるCRMの考え方に続き、
以前に「通勤電車」でもご紹介したeCRM事例を、
その後の展開や今後の方向性を交えてお話しくださった。
http://gray.ap.teacup.com/impress/437.html
一方、森さんの講演テーマは、
「カスタマータッチポイント機能としてのCall Center
~コールセンター活用における新たな視点」。
コールセンターやコールセンターサービスの概要に続き、
森さんのご経験や研究結果を踏まえたコールセンターに関する考察、
事業貢献するコールセンター活用事例などを経て、
課題と展望についてお話しくださった。
私自身は、大藪さんの講演は以前にもお伺いしていたが、
森さんの講演をおうかがいしたのは今回がはじめて。
中でも印象に残ったのは、必ずしもすべての企業に
コールセンターが必要とは限らないのではないかという視点。
企業の顧客接点はコールセンターばかりではなく、
企業によりその優先順位が異なるというのがその背景だが、
実際問題、大量のコールが寄せられる企業では、
コール数の削減に向けて、FAQを含むWebサイトの充実や
商品の取扱説明書の改善などに取り組んでいるわけで、
そのあたりの予算配分は企業によって異なって当然だと思った。
また、事業貢献するコールセンターの活用事例のところでは、
流通業と製造業が取り上げられたのだが、
森さんによると最近では流通業によるセンター開設が進んでいるとのこと。
弊社の調査結果でも、店舗小売業はコールセンターの後発組と言えるが、
最近ではその店舗小売業においても、お客様からの問い合わせが増加し、
問い合わせ対応の専門部署=コールセンターが求められているというのだ。
私自身の購買行動を振り返ってみても、特に買回り品について、
昔は店に出向いてから希望の商品を探していたものの、
最近では、あらかじめ電話で取り扱いの有無や売り場を確認した上で
店に出向くケースが確かに増えているような気がする。
AIDMAからAISASへという購買プロセスの変化が、ここにも現れているのだ。
森さんの流通業におけるコールセンターのフローを眺めながら、
ふと思ったことがある。店舗小売業のコールセンターへの問い合わせ内容は、
お目当ての商品の取り扱いの有無や売り場の確認ばかりではない。
その店で過去に購入した商品の使い方や修理にかかわる相談だって寄せられる。
事例のフローでは、複雑な案件は二次対応部門に転送する仕組みになっていたが、
小売業にとって、専門知識を要する二次対応部門を設けるのは容易ではない。
であれば、複数のメーカーを束ねた二次対応専門のセンターを作り、
これを複数の小売業でシェアしたらどうなのだろう?
PCやTVなどのデジタル製品に需要が高そうだが、ガス器具なども同様だろう。
こうしたコラボレーション型のコールセンターのプロデュースは、
気が遠くなるほど大変なことだとは思うが、
メーカーと小売、エンドユーザーのwin-win-winをもたらし、
サービスの全体最適をもたらしはしないか?