インターネット・ショッピングモールとTVショッピングの最大手企業が強力タッグを形成

ジュピターショップチャンネル(株)

ジュピターショップチャンネル(株)は2010年2~4月、インターネット・ショッピングモール「楽天市場」とのコラボレーション番組「毎週開店! 楽天市場の人気グルメ店」をレギュラー放送。高い実績を上げたことから、今後、同様の企画の再開を予定している。

さまざまな異業種企業とのコラボレーションにより相互送客を実現

 日本初の本格的TVショッピング専門チャンネル「ショップチャンネル」の運営を行うジュピターショップチャンネル(株)は2010年2~4月、楽天(株)が運営するインターネット・ショッピングモール「楽天市場」とのコラボレーション番組「毎週開店!楽天市場の人気グルメ店」をレギュラー放送した。
 「ショップチャンネル」は全国のケーブルTV374局、デジタルハイビジョン放送CS055ch、スカパー!/スカパー!光などを通じて視聴することができ、視聴可能世帯数は約2,532万世帯(2009年12月末現在)にも及ぶ。しかし、実際の視聴者はコアなファン層を中心に固定化する傾向があることから、新たな視聴者の獲得が恒常的なテーマとなっている。
 その中でジュピターショップチャンネルでは、同社とは主要な顧客層が異なる異業種企業とのコラボレーションによる相互送客に積極的に取り組んでおり、最近でも、2010年3月19日に百貨店の大丸東京店から計3時間の生中継を実施したり、2010年4月からディズニーのキャラクターアイテムを紹介する「ディズニーコレクション」をレギュラー番組化したりするなど、さまざまな施策を展開している。
 「楽天市場」とのコラボレーション番組はこの流れに沿って、2009年4月と10月、2時間の特別番組として放送して好評を博した「楽天市場がやって来た!超人気グルメ店大集合!!」をレギュラー化したものである。

約半年をかけて紹介店舗・商品を決定

 ジュピターショップチャンネルでは、相互送客の可能性のある異業種企業との情報交換を恒常的に行っており、楽天との取り組みにも高い関心をもっていた。その中で、「ショップチャンネル」の主要顧客層が40代以上であるのに対し、「楽天市場」の主要顧客層は30代中心であること。また、「楽天市場」が「ショップチャンネル」では売上構成比が低い食品分野に強みを持っていることなどに着目して、「楽天市場」の食品分野での人気店の商品を紹介する特別番組として、「楽天市場がやって来た!超人気グルメ店大集合!!」の制作・放送を決定した。
 番組の制作に当たっては、2時間の中で紹介する6店舗を選ぶために、まず楽天側が100店舗以上の候補店舗を提示。その中からジュピターショップチャンネルが、ストーリー性やこだわり、あるいは希少性や限定感が演出できたりするなど、TVショッピング向きの商品力の有無という観点を中心に選定を行い、その結果に基づいて楽天を通じて出演交渉を行った。企画決定から実際の紹介店舗・商品が決定するまでには約半年を要したとのことであり、新たな試みを成功させるために慎重な姿勢で臨んだことがうかがわれる。
 番組放送に先立っては、それぞれの主力媒体を通じてプロモーションを展開した。具体的には、楽天が「楽天市場」で企画ページを立ち上げるほか、楽天会員向けにメールマガジンを配信。一方、ジュピターショップチャンネルでは「ショップチャンネル」の番組内でプロモーションを行うほか、視聴者向け冊子「番組ガイド」やTV連動型ECサイト「ネットでSHOP」の企画ページ、メールマガジンなどで周知を行った。
 また、番組の演出においては、「楽天市場グルメランキング○位」といった訴求を積極的に導入。また、出演店舗の担当者によるプレゼンテーションなども絡めることで、商品の魅力の浸透力を高めた。
 このような取り組みの結果、2回にわたって放送されたこの特別番組は好評を博し、例えば、それまで「ショップチャンネル」ではあまり扱っていなかった麺類、その中でも若年層をメインターゲットとする有名店“つけ麺”セットが、わずか5~6分で完売するなど高い成果を得た。その結果を受けて、レギュラー番組化が決定されることとなったのである。ちなみに「ショップチャンネル」にとって、毎週定時に他社とコラボレーションした番組を放送するのは初めての試みであったとのことだ。

食品以外の分野への対象拡大も検討

 レギュラー番組「毎週開店!楽天市場の人気グルメ店」は、2010年2~4月の毎週木曜日(3月11日を除く)、午前1時から1時29分まで、計12回放送された。放送1回当たりの紹介店舗は1店舗。番組の鮮度を高めるため、基本的には毎回新たな店舗を紹介するかたちとしたが、先行放送した特別番組の紹介店舗を含め、一部の人気店舗について再紹介も行った。なお、プロモーションについては、先行放送した特別番組と同様の施策を展開した。
 このレギュラー番組も全般的に好評で、売れ行きも好調であったが、その中でジュピターショップチャンネルとしては、いくつかの課題も確認できた。
 例えば、コラボレーションの主目的である相互送客という点では、特に人気が高かった商品については、「ショップチャンネル」での購入に慣れたコアなファン層を中心とする既存顧客層の注文で完売し、新規顧客の獲得まで至らないという事態が生じた。さらに「楽天市場」では人気が高い商品でも、ヘルシー感が低い商品などは、比較的高齢層の顧客が多い「ショップチャンネル」での受容度が低いということもわかった。
 一方、楽天側としては、多くの視聴者に支持されている「ショップチャンネル」の番組での訴求による「楽天」ブランドの認知度・イメージ向上という狙いは十分に達成されていると認識しているようだ。
 また、実際の紹介店舗においては、全般的に好調な売れ行きを示したことから、TVショッピングにおける可能性を確認できたことに加え、高い品質管理基準で知られる「ショップチャンネル」との取り引きを通じて、多くの店舗が「店舗運営上の参考になった」という感想を寄せるなど、店舗力の向上につながるという側面もあったもようだ。
 なお、「毎週開店!楽天市場の人気グルメ店」は、いったん放送を終了したが、両社ではこのコラボレーションが両社の事業にとって有効に機能しているという判断から、2010年7月から同様の企画を再開することを予定している。
 さらに、ジュピターショップチャンネルでは、今後も「ショップチャンネル」が得意としないターゲット層や商品分野に強みを持つ企業とのコラボレーションを積極的に展開していく意向であり、同社がこれまで本格的に展開していなかったサービス分野での取り組みなども模索していきたい考えである。

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TVショッピング専門チャンネルとインターネット・ショッピングモールのコラボ企画「毎週開店!楽天市場の人気グルメ店」


月刊『アイ・エム・プレス』2010年7月号の記事