飲食店とのコラボレーションにより野菜ジュースのプロモーションを展開

グルメぴあネットワーク(株)

(株)グルメぴあネットワークでは、独自の加盟店ネットワークの活用により、カゴメ(株)が新発売した野菜100%ジュース「やさいしぼり」のプロモーションをサポート。参加店舗によるオリジナル・メニューの開発・提供など、ユニークなコラボレーションを演出することにより話題性を高め、同商品の訴求に大きな貢献を果たした。

飲料メーカーと飲食店のコラボレーションによるプロモーションを展開

 (株)グルメぴあネットワークでは、独自の加盟店ネットワークの活用により、カゴメ(株)が2009年3月に新発売した野菜100%ジュース「やさいしぼり」のプロモーションをサポートした。
 グルメぴあネットワークは、社名の一部にもなっている飲食店検索サイト「グルメぴあ」の運営・加盟店有料掲載事業で知られているが、顧客囲い込みの優待特典プログラム「CLUBグルメぴあ」提供事業、富裕層囲い込みプログラムの提供事業など、加盟店ネットワークを活用した調査・セールスプロモーション支援事業も展開しており、事業規模としてはこれらの事業が「グルメぴあ」の運営・加盟店有料掲載事業を上回るまでになっている。
 今回紹介するカゴメとの取り組みも、セールスプロモーション支援事業の一環として行われたものであり、「グルメぴあ」と加盟店の連携により、さまざまな施策が複合的に展開された。なお、今回のプロモーション企画は2009年3~6月、および8月の2回にわたって段階的に実施されたものであり、それぞれ目的に応じた施策設計がなされた。
 まず、発売当初の2009年3~6月の第1段階については、新商品発売時の利用体験促進による商品ブランド訴求を目的に、ターゲットを絞ったサンプリングを柱とする施策を展開した。
 サンプリングに当たっては、原料となる野菜と製法にこだわった「やさいしぼり」の商品特性に合わせて、「グルメぴあ」加盟店を中心に、東京・大阪などで“野菜の仕入れや料理に力を入れている”飲食店約100店舗を抽出。これらの店舗を通じて「やさいしぼり」のメインターゲットである“野菜好きの人”を対象に、サンプルおよびリーフレット約33万セットを配布した。同時に「グルメぴあ」内にも「やさいしぼり」のページを設置。商品紹介コーナーやサンプリング参加店舗紹介コーナーのほか、サンプリング実施店舗スタッフや来店客の投稿コーナーを設けるなど、ソーシャルメディア的な機能も持たせ、野菜のオーソリティや野菜好きなど、いわば“野菜”のオピニオンリーダーからの口コミの誘発も図った。
 このような取り組みの結果、サンプリングは実施飲食店およびその顧客には好意的に受け入れられ、「グルメぴあ」の「やさいしぼり」ページにも多くの肯定的なコメントが寄せられた。また、飲食店を訪れたアナウンサーやモデルといった著名人のブログなどで取り上げられる副次効果も発揮され、目的である商品ブランド訴求に大きな貢献を果たした。
 さらに、ほぼすべての参加店舗が「今後も同様の取り組みがあれば参加したい」との意向を示し、中には独自に「やさいしぼり」を使った新メニューの開発・提供を手掛けるなど、予想以上の関与を示した店舗もあったことが、次段階のプロモーション施策設計において、大きな意味を持つことともなった。

参加各店舗が対象商品活用によるオリジナル・メニューを開発・提供

 2009年8月に実施された第2段階のプロモーションの目的は、商品名の認知がある程度進んだ「やさいしぼり」について、ブランドの持つ上質さなどの世界観を味わってもらうこと。具体的にはコンセプトとして定めた「贅沢(ぜいたく)なオトナの時間」の浸透を目指し、このコンセプトの演出にふさわしい飲食店を全国で56店舗抽出し、第1段階と同様のサンプリングを行うほか、各店舗に合わせたオリジナルPOPなども設置。さらに参加店舗それぞれに「やさいしぼり」を使ったスープ、ソース、デザート、カクテルなどのオリジナル・メニューを開発・提供してもらい、話題性の喚起を図った。これらの施策の結果、参加店店頭で実施したアンケート調査で、「『やさいしぼり』を買って飲んでみたい」という回答が80%以上に上るなど、高い成果を得ることができた。

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「やさいしぼり」を使ったオリジナルのカクテル

プロモーション・パートナーから取引相手に

 飲料メーカーであるカゴメと飲食店とのコラボレーションによるプロモーション・キャンペーンを手掛けたグルメぴあネットワークでは、成功のポイントとして以下の3点を挙げている。
 1点目は、メーカー、参加店舗、そして最終顧客のいずれもが“笑顔”になる、いわばwin- win- winを目指した企画設計を行うこと。今回の事例で言えば、メーカーはターゲット層への新商品訴求を効率よく行うことができ、飲食店は顧客サービスと同時に話題づくりやサンプリングをきっかけとした顧客コミュニケーションの拡充が図れる。当然のことながら顧客は無料でサンプル商品を試すことができるので、“笑顔”が連鎖するコミュニケーションが成立するというわけだ。
 2点目は、参加店舗の徹底した絞り込みを行うこと。今回の事例で言えば、産地にこだわった原料を使用し、製法にもこだわった「やさいしぼり」のコンセプトや世界観にフィットする、野菜にこだわった、いわば“野菜コンシャス”な飲食店に限定して店舗を選択。従来からの「グルメぴあ」加盟店以外にも、レストランガイド本「ミシュラン」の星を獲得するなどグレードが高い飲食店に参加を呼び掛け、エッジが立った展開につなげた。なお、これらの店舗はマスコミで取り上げられる機会も多いことから、その参加によって、キャンペーンにかかわるプレスリリースのニュース性を高めることにもつながったとのことである。
 3点目はオペレーションを徹底すること。今回の事例で言えば、「グルメぴあ」の「やさいしぼり」ページで紹介しているサンプリング参加店舗において、オペレーションの不徹底により、実際にはサンプリングが行われていないなどとなれば、企画全体の信頼性が薄れ、場合によっては悪い評判がインターネット上に氾濫するようなことにもなりかねない。企画の進行役であるグルメぴあネットワークでは、このような事態を避けるため、参加飲食店に対して事前の徹底した説明を実施、十分な理解と積極的な協力を得るとともに、キャンペーン開始後も定期的な巡回を行うなどして、特に“現場”での円滑な進行に努めた。
 なお、今回紹介した事例は、「やさいしぼり」のプロモーションを目的とするコラボレーション・キャンペーンであり、新商品の拡販を目指したものであるが、キャンペーン参加店舗の中には、「やさいしぼり」や同商品を活用したオリジナル・メニューをレギュラー・メニュー化した店舗もあった。これはつまり、プロモーション・パートナーが取引相手になったということ。コラボレーションにおいてはこのような副次的効果も期待できることを証明する結果となったと言えよう。


月刊『アイ・エム・プレス』2010年7月号の記事