「がん保険」をはじめとする“生きるための保険”の日本におけるパイオニアであり、リーディング・カンパニーであるアフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)。同社では2008年1月から、保険代理店スタッフの“スキル” と“知識”の強化と均質化を目的とするeラーニングをベースとした研修カリキュラム 「てっぺん塾」を運用している。
“生きるための保険”のリーディング・カンパニー
1974年に日本での営業を開始したアフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)。同社は「がん保険」をはじめとする“生きるための保険”(第3分野の保険)の日本におけるパイオニアであり、リーディング・カンパニーでもある。1974年、日本での営業開始とともに「がん保険」を発売。その後、がん医療の進化や時代のニーズにこたえた先駆的な「がん保険」を次々と発売。また、1985年には、世界初の「痴ほう介護保険」、2002年には終身医療保険「EVER」を発売。近年にはがんをはじめとする三大疾病保障と万一の際の死亡保障を同時に確保できる、一時払三大疾病保障保険「三重奏」、業界トップの利回りを誇る「アフラックの夢みるこどもの学資保険」を発売するなど、常に時代のニーズに合った商品を開発し続けている。
営業体制については創業以来「アソシエイツ(販売代理店)制度」を採用しており、お客さまと同社を結ぶ強力なパートナーとして、商品・サービスの提供を行っている。全都道府県に設置している81の支社が全面的にアソシエイツをサポートしており、2009年3月末現在、1万8,682店のアソシエイツが登録している。
一方、同社はCSR活動にも積極的に取り組んでおり、特に社会貢献活動では、小児がんなどの難病による長期入院や通院治療のため、遠隔地の自宅を離れ、専門病院が集中する都内に滞在する子どもたちとその家族の経済的・精神的負担を軽減することを目的とした日本初の総合支援センター「アフラックペアレンツハウス」の運営を支援。また、がんで家庭の主たる生計維持者を亡くし、経済的理由から修学の機会が狭められている高校生のための奨学金制度「公益信託アフラックがん遺児奨学基金」への運営支援、さらには、小児がんの子どもたちを支援する「ゴールドリボン運動」を推進するなど、「がん・医療」をメインテーマとした同社ならではのさまざまな社会貢献活動を展開している。
顧客ニーズの変化に対応し来店型の保険ショップ「アフラックサービスショップ」を展開
生命保険業界では従来、営業担当者がお客さま(見込客)の職場や自宅を訪問し、保険商品の説明・販売を行うというかたちが一般的であり、同社でも企業の子会社・グループ会社として設置された保険代理店を通した職場での販売が主流であった。しかし、1990年代に入ってバブル経済が崩壊し、後半には、生保や大手金融機関の破綻などが相次いだことで、生活者の保険会社に対する信頼感は薄らいだ。また、インターネットの普及が進んだことで、生活者自らが保険商品に対する情報を収集することも比較的容易になった。
アフラックではこのような状況に対応して、「お客様視点」を重視し、お客さまに最適なプランを提供できるアソシエイツの育成を強化。さらに、「身近な場所で気軽に保険相談をしたい」というニーズにこたえるため、1998年4月から来店型店舗である「アフラックサービスショップ」の展開を開始。路面店のほか、大型商業施設内や地下鉄駅構内のテナントなど多様な立地条件の下、お客さまとの接点強化を図り、最適な保障内容の提案や保険全般にかかわるさまざまな相談業務など、総合的なサービスを提供している。店舗数は2009年3月末現在、551店に及ぶ。
この「アフラックサービスショップ」でのコミュニケーションの質を高めるために、eラーニングのノウハウに定評があるウィルソン・ラーニング・ワールドワイド(株)の協力により新たに開発を進め、2007年9月より試験導入、2008年1月より本格導入を行った研修カリキュラムが「てっぺん塾」だ。なお、導入当初は希望するアソシエイツのみが受講するかたちであったが、2008年6月に行った「アフラックサービスショップ」に関する規定の見直しにおいて、1店につき、「てっぺん塾」修了者1名以上が常駐することを条件に加えたため、現在では「アフラックサービスショップ」を運営するアソシエイツすべてが受講の対象となっている。
eラーニング「てっぺん塾」の狙いは、ショップスタッフに 保険商品販売のための“知識”と“スキル”を身に付けてもらうこと
優秀なショップスタッフの応対ノウハウを整理・体系化
「てっぺん塾」の狙いは、ショップスタッフに保険商品販売のための“知識”と“スキル”を身に付けてもらうこと。最終的にはお客さま心理に基づく応対プロセスを学習し、知識・スキルの強化と均質化を目標としている。
保険商品の販売プロセスにおいては、お客さまの「売り付けられるのではないか」という“不信”、「必要ないのではないか」という“不要”、「自分に合っていないのではないか」という“不適”、「今でなくてもよいのではないか」という“不急”の4つの“不”の感情を払拭する必要がある。つまり、各段階の“不”の感情を取り除くために、「信頼関係を作る」「問題を認め合う」「解決策を示す」「決断を勧める」というステップを、徐々に進めていくことが肝要である。こうしたステップを経て納得の上、契約に至った顧客は満足度も高い。このようなことから、優秀なショップスタッフの応対ノウハウなどを整理・体系化し、段階的に身に付けられるよう工夫した研修カリキュラムが「てっぺん塾」なのである。
「てっぺん塾」はスキルを磨くために1年間で、1カ月3本×4カ月の“シーズン1”を学んだ後、それぞれ2カ月のインターバルを挟んで、1カ月4本×2カ月の“シーズン2”“シーズン3”を受講する仕組みになっている。さらに、知識を身に付ける目的で年間50本のテストを用意、これらを修了することで保険商品販売に必要なスキルと知識を身に付けられる。これに合わせて各ショップでは、ロールプレイングを中心に実践応対の問題点をチェックすると同時に、学習したスキルをさらに磨く“職場学習会”を週1回ペースで実施しており、ショップ全体としてのコミュニケーション力向上を図っている。
なお、研修コンテンツの作成に当たっては、理論を重視するあまり、販売現場との乖離が生じてしまうことを避けるため、高い販売成績を上げているサービスショップの店長5名の協力を仰いだ。その結果、「最初から商品の話はしない」「なぜ保険に関心を持ったかを聴き取ることを重視する」など、現場で培われたノウハウがふんだんに盛り込まれている。
修了率の高さと保険料収入の伸びが連動
一般的にeラーニングでは、実際の受講をいかに担保するかが大きなテーマとなるが、同社では毎週月曜日に配信する研修コンテンツについて、翌週の金曜日までに修了していない受講対象者がひとりでもいるサービスショップとそのショップを担当する支社の営業担当者に受講を促すeメールを配信。また、半年に1回、各サービスショップに受講進捗状況に関するレポートを郵送することで、その解決を図っている。その結果、受講対象者の修了率は70%以上に及んでいる。
なお、「てっぺん塾」の本格導入から1年数カ月を経て、各サービスショップにおける修了率の高さと保険料収入の前年同月比の伸びに明確な相関関係が見られるようになるなど一定の導入効果が現れつつある。また、各サービスショップにおいても、「スタッフ教育における軸ができた」など歓迎の声が多い。従って、同社では今後も「てっぺん塾」の運用を継続していく意向であり、1年間の初期カリキュラム修了後に継続して行える新たなコンテンツの開発が課題と考えている。