今までにない保険を開発
チューリッヒ保険会社は、チューリッヒ・ファイナンシャル・サーピシズ・グループ( Zurich Financial Services Group)の日本支店である。同グループは1872年に設立、スイスのチューリッヒを拠点に、世界60カ国以上で損害保険、生命保険、再保険、アセット・マネジメントなどのサービスを展開。保険金支払い能力では、スタンダート&プアーズ社やムーディーズインベスターサービスといった世界的な格付け機関から高い評価を受けている。1997年度の総収入保険料は約2.8兆円、正味保険収入料は約2.5兆円であった。
日本では、同社のダイレクト事業本部が1997年から各種損害保険の通信販売を開始。顧客とダイレクトに取り引きすることによって、中間マージンを削除し、より低価格な商品を顧客に提供してきた。1998年1月からは、アメリカンホーム保険会社に次いでリスク細分型自動車保険「スーパー自動車保険」の取り扱いを開始。沖縄を除く46都道府県で一斉に発売をはじめると同時に、新聞、雑誌、テレビ、ラジオで大々的に商品告知を行った。これはリスク細分によって最大40%の割引率を実現すると同時に、従来にない補償内容を持っているのが特徴。
「スーパー自動車保険」で保険料を左右する主な要素は、年齢と居住地域だ。「21歳未満不担保」「26歳未満不担保」「全年齢担保」のほかに、30歳代以上のドライパーによる事故発生頻度は非常に低いため、「スーパー自動車保険」では「30歳代以上の方だけが運転される場合」の「30歳未満不担保」の区分を設けている。また、事故発生頻度は地域の交通量や運転環境によって異なるため、同社では全国を北海道、東北、関東・甲信越、東海・北陸、近畿・中園、四国、九州の7つのエリアに区分し、各々の事故発生率に見合った保険料を設定している。
このほか同社独自の保険料算定基準として、1998年11月から新たに「安全運転者特別割引制度」を導入。1年間無事故の“16等級”を続けている優良ドライパーの場合、さらに5%の割引を追加。このほかワゴンやバン、セダン、クーぺといった車の形状によっても事故発生率が異なることから、車両形状ごとの保険料も設定している。またデュアルエアバック、ABS装備車も割り引きの対象にした。
誠意ある対応の充実を図る
「スーパー自動車保険」は「ケア」、つまり「お客様を大事にすること」を基本コンセプトに据えている。価格だけではなく、事故時に誠意ある「ケア」を提供できるかどうかが重要なポイントであると同社は考えているのだ。これは「家族を大切にする人を、家族のように大切にしたい」という同社の企業理念にも通じている。
このコンセプトに基づき、「スーパー自動車保険」の開発に当たっては事前調査を実施し、その結果を踏まえて、日本でははじめての補償内容やアフターサービスを導入した。
たとえば補償面では、従来の「対人賠償保険」「自損事故保険」「無保険車傷害保険」「対物賠償保険」「搭乗者傷害保険」「車両保険」に加えて、遠方で事故に遭遇した時に必要となるホテル代やタクシ一代なども「緊急宿泊費用補償」ゃ「帰宅費用補償」でサポート。事故時に契約車の車内やトランクに積んでいた生活必需品が破損した場合に備えて「身の回り品補償」のサービスも用意している。
アフターサービス面では、同社では独自の指定優良修理工場システムを採用しており、技術力、対応力をはじめ品質管理や工程管理など、32項目におよぶ資格基準をクリアした独自の修理工場ネットワーク作りを推進しているが、保険金支払対象事故の際、これらの同社指定工場で行った修理については修理箇所の永久保証を付けた。
一方、「スーパー自動車保険」発売と同時に、自動車保険に関する問い合わせ、見積もり、契約、事故処理まで一貫して対応に当たる「カスタマー・ケア・センター」を開設。開設に当たっては、スタッフ全員が顧客に関するさまざまな情報を瞬時に正確に把握し、迅速な対応ができるように、顧客データベースを構築すると同時に、契約書などの大量画像データや電話などの音声データを高速高品質で転送できる最新の通信技術を駆使したシステムを導入している。事故への対応は、深夜や休日にかかわらず24時間365日フリーダイヤルで受け付けており、専門スタッフがアドバイスを行うほか、必要に応じてレッカー車や修理工場の手配を行っている。また、示談に至るまでの事故相手との交渉の代行も行う。示談交渉が難航したり、訴訟に至った場合には、同社の全国弁護士ネットワークを活用することが可能だ。
3月15日からはホームペ-ジ上で見積もりのサービスを開始。
事故や故障などのトラブルの現場では、JRS (日本ロードサービス)が対応に当たる。「スーパー自動車保険jでは、加入者は契約時に自動的にJRS会員として登録され、全国5,000カ所以上のサービス・ネットワークを利用できるようになる仕組み。事故連絡は「カスタマー・ケア・センター」が受け、JRSに連絡、JRSの最寄りのサービス拠点から、先進のナピゲーション・システムを駆使して、専門スタッフが現場に急行する。日本全国どこでも30分前後で現場に到着できる体制が整っている。
このほかのきめ細かいサポートとして、「新車提供サービス」、医療・健康相談にも応じる「ライフ・アシスタント・サービス」などのサービスも提供している。
保険の価値は顧客がクレーム処理にどれだけ満足したかで決まると言われている。「スーパー自動車保険」には、日本以上に保険に厳しい目を持った欧米で培った、同社のノウハウが生かされているのだ。
インターネットによる見積もりサービスを開始
「スーパー自動車保険」の見積もりは無料で、電話、FAX、郵送で受け付けている。1999年3月15日からはこれらに加えて、保険会社としては国内ではじめてのインターネットによる見積もりサービスを開始した。
電話による見積もりでは、現在契約している自動車保険があればその「自動車保険証券」と「車検証」を用意してフリーダイヤルに電話をかけると、その場で見積もり金額の回答が得られる。同社ではダイレクトマーケテイングの豊富な経験をもとに、見積もりをはじめとする顧客対応はすべて数分の電話で終了させることを目指しており、保険料を正確・迅速に算出するためのシステムを独自に整備している。顧客が見積もり金額を承諾した場合には、申込書、重要事項説明書等の必要書類を24時間以内に発送する仕組みだ。顧客が申込書に署名捺印の上、必要書類を返送すると申込が完了する。電話は「カスタマー・ケア・センター」がフリーダイヤルにより午前8時から深夜12時まで、年中無休で受け付けている。「スーパー自動車保険」の発売により、昨年度は電話受付件数が前年度の3倍以上にはね上がった。
インターネットによる見積もりでは、同社のホームページ(http://www.zurich.co.jp)の見積もり画面に、現在加入している自動車保険証券の必要事項を記入するだけで、24時間365日、いつでも見積もりが得られる。申し込む時はブラウザに表示された申込書を出力して、必要事項を記入後、署名、捺印の上、同社に送付。インターネットの見積もりを入手して申し込んだ場合、通常保険料から一律1,500円の割引となる。
同社では「スーパー自動車保険」の販売を通して、“The Smart Choice”(“ The Smart Savings”“The Smart Service”“The Smart Care")を導入。インターネットの見積もりサービスなど、最新技術の積極的な導入で顧客の利便性の向上を図るとともに、国内顧客のニーズを探り、ニーズに合わせたサポートの強化を図っていくことで、サービス、料金、ケアのいずれの点でも「これこそ、スマートな選択だ」と顧客に選ばれる保険を目指している。