企業の枠を超えた共通ポイントサービス「Tポイント」およびTカード発行を展開する(株)Tカード&マーケティング。同社では、TポイントおよびTカードに関する問い合わせに対応するTカードサポートセンターを運用すると同時に、同センターに集まった情報をサービスの改善や提携企業のマーケティングに活かす取り組みに注力している。
サービス拡充に伴い重要度を増すTカードサポートセンター
近年、企業の枠を超えた共通ポイントサービス「Tポイント」が、顧客サービスの向上策を検討する企業や、ポイントサービスを有効に活用したいと考える生活者に注目されている。
Tポイントは、TSUTAYA やTSUTAYA online を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)グループである(株)Tカード&マーケティングが2003年10月より提供を開始したサービスである。Tポイントを貯めるには、まず、ポイントカード機能のみの「Tカード」もしくはTカードとクレジットカードの機能を持つ「クレジット機能付きTカード」に入会。TSUTAYAや提携先での利用時にカードを提示すれば、利用金額に応じてTポイントが貯まる仕組みになっている。一方、貯めたTポイントは、TSUTAYAや一部の提携企業での買い物のほか、ANAのマイルや楽天ポイントに交換することもできる。サービス開始以降、会員数、提携企業数は着実に拡大。2008年4月末時点の会員数は2,788万人、提携企業数は43社、利用可能店舗数は約2万9,000店舗に達している。
Tカード&マーケティングでは、今後も提携企業数を増やし、Tポイントを貯めて、使える拠点を全国に拡大していく意向。最終的に、日本最大規模の共通ポイントサービスを通じて、提携企業に精緻なマーケティングデータを提供することにより、生活者と企業の双方にメリットを提供し、新しいバリューチェーンを構築することを事業の目標としている。
同社の目標達成において次第に重要度を増しているのが、Tカードサポートセンターだ。同センターの発足は、ポイントサービスの提供開始と同じ2003年10月。当時は「Tポイント問い合わせセンター」の名称で、会員を対象としたポイント照会および提携企業へのサポートを目的としていた。その後、提携企業でもカード発行を可能にするなどポイントサービスの拡充に伴い、同センターが担う役割の幅も広がっていった。そこで、窓口の役割をよりわかりやすくするため、「Tカードサポートセンター」に改称。現在では、会員および提携企業のサポート業務を行っているほか、コールデータのマーケティングへの活用を推進している。
TSUTAYA発行のTカード。左がクレジット機能なしで、右がクレジット機能があるタイプ。クレジット機能付きカードには、このほかに提携企業が発行するものもある
低コストでのセンター運営や将来の受付体制拡充を見据えナビダイヤルを導入
Tカードサポートセンターの具体的な業務内容は、① Tカードに関する問い合わせ受付、② Tポイントに関する問い合わせ受付、③ Tサイト(TポイントとTカードの総合Webサイト)に関する問い合わせ受付、④ Tポイント照会、⑤そのほか登録情報に関する問い合わせ受付。年中無休で、10時から21時まで対応している。提携企業店舗の営業時間はまちまちで、24時間営業や22時ごろまで営業している店舗は少なくないことから、同センターでは受付時間帯を長めに設定した。
受付チャネルには、NTTコミュニケーションズ(株)のナビダイヤルを使用している。会員の年齢層を見ると20代が約752万人と最も多いことや、CCCグループで携帯サービスを提供していることから、携帯利用者が多いと判断。携帯電話からの着信も可能にしている。実際、電話を掛け直す場合に電話番号を尋ねると、携帯電話の番号であることが多いという。
ナビダイヤル導入の目的としては、センター運営にかかる費用を抑えることが挙げられる。ポイントの対象が主に客単価の低い商品であることから、一般加入回線と同様に通話料は100%発信者側の負担としているが、通話時間が長くなる場合は、センターから電話をかけ直して対応している。ちなみに、平均応答時間は約15分(2008年4月実績)で、通話時間と後処理時間の比率は1対1であるという。
また、将来への備えも目的としている。同社では、この秋には会員数が3,000万人に達すると予測していることに加え、その後も新たな提携企業を増やしていくことを考えると、受付体制の拡充が必要になる可能性がある。その際、ナビダイヤルであれば柔軟に対応できると考えたのだ。
同センターでは、もうひとつの受付チャネルとしてeメールも用意しているが、キャンペーンなどに限定して使用しており、通常はナビダイヤルだけで受け付けている。
センター運営はアウトソーシングを選択 月間1万件のコールに対応
会員および提携企業への対応に当たるのは、約30名のスタッフたち。常時、コミュニケータ14名、スーパーバイザー(SV)3名の17名体制で対応している。
もともとCCCグループの別のコールセンターの運営をアウトソーシングしていたことから、Tカードサポートセンターの運営も同様にアウトソーシングすることになった。アウトソーシング先への情報提供や管理は、Tカード&マーケティングのCS担当者が行っている。
現在、同センターに寄せられる問い合わせ件数は、月間約1万件。提携企業の増加に伴い会員数が増え、コール数も増加傾向にある。問い合わせ者の構成を見ると、3〜4割が提携企業、6〜7割が会員となっている。また、提携企業はTカードサービスに関する問い合わせ、会員はポイント照会での利用が多い。