顧客主導型マーケティングの文脈をどう捉えるか

2008年4月12日

今週は月刊『アイ・エム・プレス』4月25日号の入稿も終え、
未だその他のプロジェクトの締め切りに追われてはいるものの、
ようやく、トンネルの先が見えてきた。
毎年、暮れから連休明けにかけては、営業日が少ないことに加え、
月刊『アイ・エム・プレス』はもちろん『CRM年鑑 2008』の締め切り、
そして世の中の年度末ということもあって、どうしてもバタバタしてしまう。
今年は以前にご紹介した単行本「『顧客』の時代がやってきた
『売れる仕組み』に革命が起きる」
も発行したので、
なおのこと、弊社の編集チームは大童であった。
となると、私に回ってくるのは、山のような原稿のチェック。
今年に入ってから、なんだかんだ合計して1000ページちょっとを
入稿していることになるので、(一部はスタッフにまかせているものの)
それらの大半に目を通すとなると、容易なことではない。
そんなこんなの中で、最近、ふと思うことがある。
それは、インターネットの普及により生活者と生活者、生活者と企業、
そして企業と企業が国境を越えてさまざまに繋がり、
これまでの常識が音を立てて崩れている中、
文章を書くにせよ、口頭で話すにせよ、何らかの表現をする者は、
自分の立ち位置や視座をしっかり確保しておかないと、
文脈を構成することが困難な時代になってきたということだ。
弊誌がテーマとしているマーケティングの世界においても、
市場の成熟やインターネットの普及に伴い顧客のパワーが増大し、
顧客中心、顧客主導型といったコンセプトが声高に叫ばれると同時に、
インターネットを駆使した新たなビジネスモデルが次々と登場、
これらのことが従来からのビジネスの常識をジワジワと崩壊している。
例えば、ECサイトとブロガー、そしてブログの読者を繋ぐ
アフィリエイトプログラムを言葉で説明するのはそもそも難しいが、
これに加えて3つの利害関係者のうちのどれを主体に語るかによって、
表現のアプローチは大きく異なってくることになる。
つまり、「誰が、何のために、誰に、何を、どのように」という文脈が、
主体の置き方により変わってくるからだ。
また、顧客中心、顧客主導型というコンセプトを突き詰めていくと、
企業が商品・サービスを開発してその顧客にアプローチするのか、
企業がその顧客のために商品・サービスを開発するのか、
という2つの文脈のどちらを採用すべきかを、
悩ましく感じることが増えている気がしてならない。
しこうして、弊社のライターにはこれまでにも増して、
自分の立ち位置、視座をしっかり確保し、
一貫性のある文脈を構成することが求められている気がする。
なにやらわかりにくい話で恐縮だが、
これが今年に入って1000ページに上る双方向マーケティング、
あるいは顧客主導型マーケティングについての
原稿をチェックした私の、正直な感想なのである。