銀座テーラー・鰐渕社長へのインタビュー

2007年6月9日

今週は、月刊「アイ・エム・プレス」7月25日発行号の
トップインタビューで、銀座テーラーの鰐渕社長をお訪ねした。
同社は創業62年の老舗テーラー。
戦後間もなくに舶来の生地を使った高級紳士服の製造を開始し、
確かな技術に裏付けられた銀座発のブランドとして、
国内外の数多くの賞の受賞暦を誇る。
鰐渕社長は、ご主人のお父様、そしてご主人の跡を継いで、
フツーの主婦から急遽、社長になられた同社の三代目。
バブル崩壊直後の1992年に入社し、友人・知人への営業活動を進める中、
それまでは手がけることのなかったレディースや、
皮のスーツなどのオーダーメイドを考案。
保守的な考えに固執する古くからの従業員を1年がかりで説き伏せ、
既存のリソースを活用して新規商品分野を手がけるに至ったという。
その後、さまざまな苦労を経て、現在の専務と出会ったのをきっかけに、
社是、基本方針などを整備、2003年に第二の創業期を迎えた。
創業当初からの技術は残しながらも、2回のリストラを経て辿りついたのは、
顧客第一主義のコンセプト。店舗のみならず、WebサイトやPR誌、
イベントなどさまざまな顧客接点を整備すると同時に、
従来製品に比べて低価格の紳士服セミオーダーブランド「サムライ」、
オーダーデニムパンツ「ジーンズバー」など、多様な新商品を生み出している。
お客様との関係づくりについてお伺いする中で、思わず唸らせられたのは、
オーダーメイドをご注文いただいたお客様への手紙。
①来店御礼&仮縫いのお知らせ、②来店の御礼+出来上がりのお知らせ、
③着心地のお伺いを、各担当者がお客様のお名前はもちろんのこと、
お客様とのやりとりを踏まえて個別に作成し、お送りしているという。
重要とはわかっていても、なかなか実現できないこの基本中の基本を、
しっかりと続けておられることに頭が下がる思いだった。
もうひとつは、事前に撮影したお客様の写真を使って、
お客様がオーダーメイドのスーツを着用している様をシミュレーションする仕組み。
レクトラジャパンと共同開発した「オーダーセレクトシステム」を使ったものだが、
事前に新聞記事を見ている限りは店頭での販売支援システムかと思ったが、
これに限らず、出力してDMとして送付したり、Web上でシミュレーションしたりと、
さまざまな使い方ができるらしい。
取材時には、お客様にDMとして送付している出力紙を見せていただいたが、
B4ほどの大きさの横長の紙に、3種類のシミュレーション結果を並べてあり、
お客様のお名前とともに、そのお客様がオーダーメイドスーツを
着用したイメージ画像、そのスーツの生地アップ画像が表示されている。
ちなみに、イメージ画像のバックは、ニューヨークのオフィス街であったり、
ロンドンであったり、それぞれのお客様に合わせて変更しているという。

インタビュー終了後、同じビル内にある工場を見せていただいたが、
そこには業務用のミシンやアイロン台が所狭しと並んでおり、
銀座のど真ん中にこんなところがあったのかとビックリ!!
そこで働く職人さんたちの平均年齢は65歳に達しているとか。
同社では2005年に「日本テーラー技術学院」も開設、
洋服作りを機械に頼らず人間の手で創り上げる技術と精神、
そしてテーラービジネスのノウハウを後世に伝えるべく、
業界の人材育成にも乗り出している。
ちなみに、同社の鰐渕社長は明日の6月10日、東京12チャンネルの
「ソロモンの指輪」(夜9:54~10:48)に出演されるらしい。
ご興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。