去る5月17日(土)、福岡大学で開催された、日本ダイレクトマーケティング学会の第13回全国研究発表大会に参加してきた。今大会のテーマは、「ダイレクトマーケティングの構造変化」。同学会史上過去最多である約230名の参加があったという。
会場となった福岡大学の広大なキャンパス
同大会では、まず午前中に、3会場に分かれて計6本の研究発表を開催。午後からは、上原会長の挨拶に引き続いて、再春館製薬所 代表取締役 西川正明氏による基調講演「永続する会社を目指して ~たくさん、よりも、お一人おひとりを大切にしたい~」、および、同学会理事の柿尾正之氏の司会のもと、キューサイ 代表取締役社長 藤野孝氏、新日本製薬 代表取締役社長 後藤孝洋氏、やずや 代表取締役社長 矢頭 徹氏の3名をパネリストに迎えてのパネルディスカッション「日本の通販をリードする 九州通販の未来」が開催された。
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研究発表では、“スマートフォン”“マルチチャネル”“電子モール”など、インターネットにかかわるテーマも目についた
再春館製薬所 代表取締役 西川正明氏による基調講演の模様
同学会会長である上原征彦氏(明治大学専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授)は、挨拶の中で、“九州は通販のシリコンバレー”と述べているが、九州――中でも福岡は、通販会社の多いエリア。
私自身は、月刊『アイ・エム・プレス』(2014年3月に発行を終了)の取材やダイレクトマーケティングの勉強会を通して、九州の通販会社のパワーには何度となく刺激を受けてきたが、同大会参加を通してこれを改めて痛感すると同時に、その源には地域社会への熱い想いと、これに裏付けられた企業理念、さらにはこれを商品・サービスに具現化するうえでの徹底的なこだわりがあることを痛感させられた。
特に九州には単品通販企業が多いことや、その多くがオーナー経営者により営まれていることが、こうした1本筋の通った経営を促進する要因となっているのだろう。実際問題、これはいわゆる“雇われ経営者”が多く、従業員の出身地もさまざな東京の大企業には、なかなか真似ができないところだ。
前述のとおり、今回の大会のテーマは、「ダイレクトマーケティングの構造変化」。ナショナル・クライアントの参入による競争の激化、モバイルの伸長、オムニチャネル化、個人にかかわるデータ量の増大など、ダイレクトマーケティングをめぐる環境が大きく変化していることに異論はない。
しかし、今大会で登壇した“シリコンバレー”のリーダーたちは、こうした構造変化の中で生き残っていくために最も大切なことを、すでに手中に収めているのではないか。そんなことを考えながら、帰路についた。
九州に本社を置く通販会社3社の経営者が一堂に会してのパネルディスカッション。3人は日ごろから活発な情報交換を行っているという
日本ダイレクトマーケティング学会第13回全国研究発表大会に参加して
2014年5月20日