コールセンター見学雑感

2012年4月1日

先日、あるコールセンターを見学させていただくと同時に、
そのセンターのこれまでの歩みにかかわる、心温まる話を聞いた。
取材に行ったわけではないので社名は伏せておくが、
金融機関などを対象とした業務用機械メーカーの
カスタマーサポートを担うセンターの話だ。
このセンターは開設されて3年とまだ日が浅いのだが、
センター長は当初、いかに社内にセンターの存在をPRするかに注力。
動画やパネル、印刷物などの見学者用ツールを製作すると当時に、
見学プログラムを開発して、社内にセンター見学を呼びかけたのだ。
この結果、自らセンターに足を運び、
自分達が開拓した顧客へのサービス提供の様子を目の当たりにした営業担当者は、
今度は、商談や接待の前後の空き時間を活用して、
取引先や見込客を同行してセンター見学に訪れるようになった。
こうしてこの企業では、“製品のみならず、サービスに優れた企業”という
ブランド・イメージを醸成することに成功。
それまではともすれば価格交渉に陥りがちだった商談の最終段階において、
“サービス力”への評価を加味していただけるようにもなったという。
ちなみにこのセンターでは、営業部隊のみならず、
修理部隊に対しても、技術研修のスケジュールに組み込むかたちで、
センター見学の機会を提供している。
カスタマーサポートを担うこのセンターでは、
取引先からの問い合わせや修理依頼を受けて、
電話により顧客が抱えるトラブルの自己解決を支援すると同時に、
電話だけでは解決できない場合は修理部隊の派遣を担っている。
いわば修理部隊のフロントエンドであるセンターと
バックエンドである修理部隊が相互の関係性を密にすることは、
サービスをめぐる品質や効率を高める上で、
大きな意味があることは言うまでもない。
今では、このセンターには、社内関連部署、そして見込客や顧客のみならず、
この話を聞きつけた社長までもが見学に訪れているという。
先月末で定年となり、現場を離れる初代センター長は、
コールセンターの社内における位置付けの確立は、
こうした地道な取り組みなしにはあり得ないと語っていた。
現在のセンターが設立されて約3年。
この地道な取り組みの成果は、徐々に経営数値に現れ始めている。
そして、第二ステージを迎えたとも言えるこのセンターの次なる課題は、
センターで働くスタッフの教育体系と評価制度の確立だ。
初代センター長から、今日に至るまでの歩みをお伺いする機会を得て、
なんだか思いっきり感動してしまった私としては、
4月から着任する新センター長はもちろん、さらにそのずーっと先に至るまで、
この想いが脈々と引き継がれていくことを願って止まない。